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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

最新のトップ2、櫻坂46「The growing up train」と稲葉浩志「タッチ」におけるストリーミングの内訳に注目

3月18日公開分(集計期間:3月9~15日)のビルボードジャパンソングチャートでは、前週首位に立った嵐「Five」が3位へ後退。櫻坂46「The growing up train」がフィジカルセールス初加算に伴い同曲初の首位に立っています。一方で、稲葉浩志「タッチ」が前週の21位から2位に浮上。櫻坂46「The growing up train」との差は872ポイントとなっています。

 

当週トップ2入りした2曲について、ビルボードジャパンは次のように紹介しています。

櫻坂46「The growing up train」が首位を獲得した。

本作は初週で597,740枚を売り上げセールス1位、ダウンロード9位、ストリーミング18位、ラジオ37位を獲得。フラゲ日でハーフミリオンを突破するのは『自業自得』、『Unhappy birthday構文』に続く3作目、総合首位を獲得するのは9作目となる。

(中略)

続く2位は稲葉浩志「タッチ」。岩崎良美のカバーで【2026 ワールドベースボールクラシック】 Netflix大会応援ソングに起用されている。3月6日から配信がスタートし42,231DLでダウンロード1位、動画3位、ストリーミング10位、ラジオ2位で総合21位から大きく浮上した。「羽」や「Stray Hearts」といった過去曲も、3月6日に以降1日当たりのストリーミング数が約2倍に増加するなど、新規リスナー流入の動きが見えている(Luminate調べ)。

櫻坂46「The growing up train」はCHART insightにて黄色で表示されたフィジカルセールス指標の初加算に伴い、一方で稲葉浩志「タッチ」はワールドベースボールクラシックの開催による楽曲の浸透によりダウンロード指標(紫)主体に、それぞれ伸びていることがCHART insightから解ります。また2曲ともストリーミング指標が高く、前者は18位そして後者は10位に。しかしながら2曲の聴かれ方は大きく異なります。

上記ポストは最新3月18日公開分ビルボードジャパンソングチャートに即したストリーミング表から抜粋したもの(表は毎週土曜掲載の"CHART insightからヒットを読む"カテゴリーのエントリーにて貼付)。櫻坂46「The growing up train」は主要4つのサブスクサービスにてLINE MUSIC以外で週間チャートに入っていない一方、稲葉浩志「タッチ」はそのLINE MUSICやApple Musicでトップ10入り目前となっています。

 

 

重要なのはロングヒットに至るかであり、その可能性はストリーミング動向からみえてきます。

週間単位での上位進出は好いことですが、ロングヒットし年間チャートにランクインする作品ほど真の社会的ヒット曲に成りやすいというのが音楽チャート分析者としての見方です。

2026年度第1四半期、ソングチャートを中心にビルボードジャパンの各種データ一覧表を掲載する(3月8日付)より

社会的ヒットと呼べる曲はビルボードジャパンソングチャートにおいて、ストリーミングが獲得ポイントの過半数を占めるようになります。初登場や急上昇時は所有指標が強いためストリーミングの割合は高くありませんが、ロングヒットに至れば割合は徐々に変化。さらにロングヒットは年間チャートでの好成績にもつながります。

 

櫻坂46「The growing up train」はストリーミング指標(CHART insightでは青で表示)が既に獲得ポイントの半数近くを占めるものの、先行配信日から今度の日曜までを対象とするLINE MUSIC再生キャンペーン(→こちら)実施に因る部分が大きいと断言可能。このキャンペーンは採用期間中のストリーミング指標高位置安定と、企画終了直後の急落をもたらす傾向にあります。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)

櫻坂46は前作のフィジカルシングル表題曲「Unhappy birthday構文」でもLINE MUSIC再生キャンペーンを昨年10月16日から11月30日まで実施(内容はこちら)。ストリーミング指標の高位置安定は長期のキャンペーン実施に因るものですが、この指標は企画終了日までの1週間を集計期間とする昨年12月3日公開分にて43位に入った翌週に300位未満へ急落しています。

ストリーミングのロングヒット曲はその後退がなだらかになることが一般的ゆえ、この指標における急落は不自然と呼べます。LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲におけるこの指標の急落は所有指標に似た動きと形容可能ゆえ、コアファンによる再生回数割合が高い一方でライト層が付いているとは言い難いと考えられます。ライト層が支持する楽曲は、どのサブスクサービスでもまんべんなくヒットするはずです。

坂道グループはフィジカルシングル表題曲の先行配信日以降、LINE MUSIC再生キャンペーンを積極的に実施する傾向にあります。企画実施中にフィジカルセールス指標を加点することで総合ソングチャートで存在感を示すことも目的とみられますが、CHART insightの動向にて真の社会的ヒットに至ったかを判断することが重要です。

櫻坂46「The growing up train」が「Unhappy birthday構文」の流れを辿るならば尚の事、社会的ヒットに成ったとは言い難いというのが厳しくも音楽チャート分析者としての見方です。たとえば『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への復活出場を目指すならば、企画に頼らない形でのストリーミングヒット輩出は必須でしょう。

 

他方、稲葉浩志「タッチ」にも気掛かりな点が存在します。

「タッチ」は当週ダウンロード指標を制していますが、同曲のリリースは前週の集計期間5日目。この指標はリリース直後の瞬発力が高いゆえ、本来は前週ダウンロード数が伸びてもよかったのではと考えるのですが、「タッチ」は前週この指標が300位未満となり未加点の状況でした。

上記記事では『3月6日に配信リリースされ、3月10日に東京ドーム行われた「日本 対 チェコ戦」の試合開始前にライブで初披露されている』とあります。この披露が上昇の契機だったならば、そのパフォーマンスの話題性が薄れること、さらにはワールドベースボールクラシックでの日本敗退に伴うイベント自体への熱量低下に伴い、音楽チャートでの次週の後退度は小さくないのではと捉えています。

 

それでも稲葉浩志「タッチ」は様々なサブスクサービスでまんべんなくヒットしており、櫻坂46「The growing up train」よりは高位置で残る可能性が高いかもしれません。2曲の次週の動向に注目です。