(※追記(7月12日18時36分):櫻坂46「Make or Break」のLINE MUSIC再生キャンペーンについて当初、7月9日公開分ビルボードジャパンソングチャートの集計期間中も企画継続中と誤って認識しておりましたが、正しくは当週の集計期間初日まででした。つきましては一部内容を訂正しています。心よりお詫び申し上げると共に、ご指摘くださったBillion Hits!管理人のあささんに心から感謝申し上げます(Billion Hits!のブログはこちら)。)
昨年夏以降再開したこのエントリーですが、先週よりタイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”に変更した上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。
この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。
そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。
<2025年7月9日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・櫻坂46「Make or Break」
7月2日公開分 1位→7月9日公開分 33位
・LE SSERAFIM「DIFFERENT」
7月2日公開分 2位→7月9日公開分 21位
・IMP.「Cheek to Cheek」
7月2日公開分 8位→7月9日公開分 100位未満
当週のストリーミング表はこちら。



IMP.「Cheek to Cheek」は総合100位未満に後退。前週フィジカルセールス(指標)5位以内に入った曲の中で当週における同指標の順位が最も低くなっている点から、IMP.の作品がTOBEオフィシャルストア限定発売であることが所有行動に結びにくく、フィジカルセールスの下降幅を大きくした可能性を感じています。『ミュージックステーション』(テレビ朝日)初出演を機にライト層へどれだけリーチできるかが、今後の鍵でしょう。
前週首位の櫻坂46「Make or Break」については、前作(フィジカルシングル表題曲)「UDAGAWA GENERATION」と似たチャートアクションをなぞっていると紹介しました。
しかしながらフィジカルセールス指標加算2週目において「UDAGAWA GENERATION」は17位、3,756ポイント(前週比36.4%)を記録したのに対し、今作「Make or Break」では33位、1,839ポイント(同17.6%)と大きく異なっています。


(上記は7月9日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおける櫻坂46「UDAGAWA GENERATION」および「Make or Break」のCHART insight。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なお、ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。なお、以下に紹介するCHART insightも有料会員が確認可能なものとなります。)
要因はストリーミングの差。フィジカルセールス初加算時から翌週にかけて、「UDAGAWA GENERATION」のストリーミング指標は18→21位と推移したのに対し「Make or Break」では同指標が10→77位に急落しています。
ビルボードジャパンは下半期に入り、Streaming Songsチャートからストリーミング指標を算出する際に総合ソングチャートで53週以上エントリーした曲に対し減算処理を行うというリカレントルールを採用しています。それにより総合ソングチャートにおける新曲の優位性が高まる中にあって、「Make or Break」はStreaming Songsチャートにおいても14位から100位未満に大きく後退しています。
LINE MUSIC再生キャンペーンを展開していることでストリーミング指標でも存在感を示す櫻坂46ですが(その旨は前週記載のエントリーにて紹介)、その施策がコアファンに周知されることで前作よりも企画開始時における参加人数が増えただろうことが、フィジカルセールス加算初週におけるストリーミングの順位から読み取れます。しかし今回の企画が当週の集計期間初日(6月30日)に終了したことで、急落につながった形です。
ロングヒットにはストリーミングの安定が欠かせず、そのためには歌手のファンではないが曲が気になるというライト層にリーチさせることが重要となります。櫻坂46に限らず坂道グループ全体がLINE MUSIC再生キャンペーンを徹底し、今月デジタル先行解禁された乃木坂46「Same numbers」でも企画効果が表れていますが、キャンペーン終了後もヒットを継続させるためには企画に頼っても頼りすぎないことが必要でしょう。





