最新7月16日公開分のビルボードジャパン主要3チャート(ソングチャート、アルバムチャート、およびふたつを合算したトップアーティストチャート)ではMrs. GREEN APPLEの存在が際立っています。ソングチャートは「breakfast」が首位と僅かの差で2位となっていますが、アルバムチャートでは『10』が、そしてトップアーティストチャートでは自身が首位となり、且つ構成全指標を制するいわば”完全制覇”に至っています。
アルバムチャートではMrs. GREEN APPLE『10』が首位初登場を果たしています。
本作はMrs. GREEN APPLEのデビュー10周年を記念したベストアルバムで、“フェーズ2”始動以降にリリースされた楽曲に、インディーズ時代にライブ会場限定でリリースされていた1stミニアルバム『Introduction』のシークレットトラック「慶びの種」を加えた、全19曲が収録されている。初動成績はバンドとして、Billboard JAPANチャート史上最多のアルバム初週売上枚数(集計期間:2008年1月7日~)となる772,214枚を達成してCDセールス1位を記録。そしてダウンロード数20,942DLで1位、ストリーミング1位となり、3冠を達成した。
【ビルボード】Mrs. GREEN APPLE『10』がCDセールス/DL/ストリーミングの3冠で堂々の総合アルバム首位 https://t.co/tsinsXfsJZ
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ビルボードジャパンは2024年最終週(2025年度4週目)よりアルバムチャートにストリーミング指標を組み入れ、3指標にて構成されるように。そのチャートで3指標完全制覇を果たしたのは、Mrs. GREEN APPLE『10』が初となります。

ストリーミング指標組み入れ前はTravis Japan『VIIsual』が2指標同時制覇を果たした最後の作品となり、同作品は週間ダウンロード数が今年度最高を記録していましたが、Mrs. GREEN APPLE『10』はその週間ダウンロード数においても今年度最高を更新した形です。
そして『10』はストリーミングでも首位となり、デジタル解禁以降13週連続でこの指標を制していたSnow Man『THE BEST 2020 - 2025』を上回っています。
Snow Manは「One」を昨秋解禁した以外は『THE BEST 2020 - 2025』のみデジタル解禁され、聴取分はほぼすべて同作品のストリーミング指標に加点される一方、Mrs. GREEN APPLE『10』は既発曲が大半ゆえ、『10』を介して聴かれなければアルバムのストリーミング指標に加算されません。その状況下で、収録曲数の差(『10』は『THE BEST 2020 - 2025』の3分の1未満)も踏まえれば尚の事、『10』の勢いがよく分かるでしょう。
『10』の勢いはソングチャートにも。最新7月16日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、Mrs. GREEN APPLEが100位以内に23曲を送り込んでいます。
【ビルボード】PLAVE「かくれんぼ」が総合首位、Mrs. GREEN APPLEはトップ100内に23曲 https://t.co/M3ANdf1KOu
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特に原動力となったのはストリーミング指標。その基となるStreaming SongsチャートではMrs. GREEN APPLEが100位以内に26曲がランクインしています。
当週は、7月8日にベストアルバム『10』がリリースされたことにともない、収録曲を中心に総じて再生回数を大きく伸ばしたMrs. GREEN APPLE。「ライラック」は4週連続での首位キープを達成し、再生数の前週比は約108.5%と、首位返り咲き以降は週を重ねるごとに加速度的に再生回数を伸ばしており、当週ついに週間再生回数が900万回を超えた。また、当週で「ライラック」の当チャート通算首位獲得回数は36回目となり、これまで首位であったOfficial髭男dism「Pretender」を抜いて、歴代最多記録を更新した。
なお、Mrs. GREEN APPLEは当週、チャートトップ100圏内に計26曲を送り込んだ。『10』への収録によってストリーミング解禁されたインディーズ時代からの楽曲「慶びの種」(11位)が初登場したことに加え、「ニュー・マイ・ノーマル」「ナハトムジーク」もトップ100圏内に返り咲いている。また、前週および当週ともにチャートインした楽曲のうち、再生回数の前週比が最も大きかった楽曲は「私は最強」であり(約162.4%)、アルバムリリースの影響の大きさがうかがえる。
【ビルボード】Mrs. GREEN APPLE「ライラック」、通算36回目のストリーミング・ソング首位で歴代記録更新 チャート占有率は4分の1超 https://t.co/zoT0qAnlq2
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なお双方の記事で未記載ですが、ビルボードジャパンでは2025年下半期の集計期間初週である6月4日公開分以降、ソングチャートおよびアルバムチャートのストリーミング指標においてリカレントルールを導入。Streaming SongsチャートおよびStreaming Albumsチャート(後者は未公表)を指標化する際、ソングチャートは100位以内に53週以上、アルバムチャートでは同27週以上ランクインした作品に減算処理を施しています。
(ビルボードジャパンに対し、認知拡大の意味においてもリカレントルールの存在をしばらく記し続けることを提案します。)
Mrs. GREEN APPLEの作品でリカレントルールが適用されている作品は少なくありませんが、しかしながらベストアルバム『10』収録曲主体にソングチャートで伸びていることは、弊ブログにて毎週掲載しているストリーミング表をベースにMrs. GREEN APPLEの作品のみを抽出した下記表から解ります(『10』収録曲を収録順に並べ、また『10』未収録の作品も併記)。なおLINE MUSICでは『10』収録版が別途カウントされています。
(LINE MUSICにおいては坂道グループの作品においても別カウントの事態が発生しています(再生キャンペーンが適用された先行公開版およびフィジカルリリース時に登場する”Special Edition”版)。同サービスには、楽曲単位で取りまとめることを希望します。)



Mrs. GREEN APPLE『10』収録曲はビルボードジャパンソングチャート、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートにおいて、「慶びの種」(当週初登場)および「アポロドロス」(2週連続で100位未満)を除くほとんどの曲で順位が上昇。トップ3(「ライラック」「クスシキ」「breakfast」)は順位が変わらないものの、再生回数を伸ばしていることが解ります。
そしてソングチャートにおいては「慶びの種」および2週連続で100位未満の「私は最強」「アポロドロス」を除き、順位を下げた曲もあれど大半が上昇しています。アルバムの巻頭を飾る「ニュー・マイ・ノーマル」が48位に急伸し、81位にランクインした2022年5月4日公開分以来となる100位以内返り咲きを果たしているのは、アルバムが冒頭から聴かれていることのひとつの証明といえるかもしれません。
そしてこれらふたつのチャート結果が、トップアーティストチャートにおける完全制覇の原動力となっています。
常勝と呼べるMrs. GREEN APPLEのチャート動向にあって、今年は1月8日公開分より2週続けて構成6指標すべて10位以内に、また4月23日公開分より2週連続、且つ総合2位ながらも6月25日公開分にてフィジカルセールス以外の5指標がいずれも首位を獲得していますが、構成6指標全制覇は初。Mrs. GREEN APPLEはベストアルバム『10』のリリースに伴い、さらなる高みへと到達した形です。
Mrs. GREEN APPLEの強さは、今年度におけるトップアーティストチャート、週間5位までの指標構成からもよく解ります。如何に安定しているか、そしてフィジカルセールスの次に安定していなかったラジオにおいても当週強くなったことがみえてきます。

ソングチャートのラジオ指標はフィジカルセールスと同じくらい安定しにくいのですが、Mrs. GREEN APPLEは当週「breakfast」で施策を行っています。その点はビルボードジャパンソングチャート上位3曲は僅差…Mrs. GREEN APPLE「breakfast」が急伸した背景(7月17日付)でも紹介していますが、この指標の基となるプランテックのラジオOAチャートでは、『10』収録の10曲が200位以内に入っていると発表されています。
フィジカルセールスおよびラジオでも強さを発揮したMrs. GREEN APPLEがアルバムチャートそしてトップアーティストチャートで完全制覇を果たしたのは自然なことです。
