イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) ビルボードジャパンソングチャート上位3曲は僅差…Mrs. GREEN APPLE「breakfast」が急伸した背景

(※追記(7月18日4時39分):プランテックによるラジオOAチャートの記事リンクが未掲載となっていました。つきましては当該リンクを追記しています。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

最新7月16日公開分(集計期間:7月7~13日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週首位のTWS「はじめまして」が22位に後退。フィジカルセールス初加算に伴いPLAVE「かくれんぼ」が首位初登場を果たしています。

さて今回、PLAVE「かくれんぼ」と2位のMrs. GREEN APPLE「breakfast」はわずか83ポイント差となっています。さらにはM!LK「アオノオト」も含めると、194ポイント以内で3曲が競っていたことになります。

・7月16日公開分ビルボードジャパンソングチャート(→こちら)より

Mrs. GREEN APPLE全体の勢いについては別の機会にお伝えするとして、今回はこの結果に至った背景を分析します。

 

 

7月16日公開分ビルボードジャパンソングチャート、1~3位における各指標の順位および最新週における各曲のCHART insightは以下の通り。なお『』内は冒頭に掲載した記事の文言となります。また各指標はCHART insightにおいて、フィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青、ラジオが黄緑、動画再生が赤およびカラオケが緑で表示されます。

・1位 PLAVE「かくれんぼ」

『初週388,211枚を売り上げてセールス1位、ラジオ5位で本チャートを制した。』

・2位 Mrs. GREEN APPLE「breakfast」

『ラジオ1位、ダウンロード20位、ストリーミング2位、動画8位で、前週の5位から3ランクアップとなった。』

(※カラオケ指標は100位未満ながら300位以内に入り、加点されています。)

・3位 M!LK「アオノオト」

『初週セールス数は自己最多となる184,542枚で、セールス順では2位に。その他、ストリーミングで32位につけ、総合3位デビューを飾った。』

(※ダウンロード指標は100位未満ながら300位以内に入り、加点されています。)

 

最新チャートにおけるストリーミング表はこちら。このストリーミング表から、Mrs. GREEN APPLE「breakfast」とM!LK「アオノオト」の違いが読み取れます。

 

 

M!LK「アオノオト」はキャリア最大の初週フィジカルセールスを記録したほか、ストリーミングも上位に。そのストリーミングでは、LINE MUSIC再生キャンペーンを採用しています。

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・M!LK公式Xによるポスト(→こちら)より

最大9,999回という再生回数ハードルが設けられていることもあってかLINE MUSICで強さを発揮したM!LK「アオノオト」ですが、他のサブスクサービスでは一定順位以内に入っていないため企画終了後に総合チャートで大きく後退する可能性が考えられます。それでも「イイじゃん」のバイラルヒットを機に、総合ソングチャートでの(週間最高位単位での)ステップアップを果たしたといえるでしょう。

 

 

PLAVE「かくれんぼ」とMrs. GREEN APPLE「breakfast」ではフィジカルセールスとデジタルが大きく異なり、「かくれんぼ」は当週デジタル3指標が未加算、「breakfast」はフィジカル未リリースにつき未加算となっています。つまりは2曲の指標構成が極度に異なるのですが、共通しているのがラジオ指標でのトップ10入りです。

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標は主要ラジオ局におけるOAチャート(プランテック調べ)を基に、各局の聴取可能人口等を加味して算出されます。そのOAチャートでMrs. GREEN APPLE「breakfast」が首位、PLAVE「かくれんぼ」が4位を記録していますが(指標化後は前者が首位および後者が5位)、「breakfast」においては施策の存在がみえてきます。

TV情報番組「サン!シャイン」テーマソングとして書き下ろされ、7月8日リリースのベストアルバム「10」に収録された同曲。6月4日の配信リリースと同時に広くオンエアが開始され、6月2日~6月8日チャートで14位に初登場するとその翌々週に1位へと浮上。その後も上位をキープするなか、チャートイン6週目かつアルバム発売週を迎えた今週、再びオンエアが502%増となり3週ぶりに首位へと返り咲いた。

オンエア開始以来、週毎に増え続けてきたリクエストオンエアの数は今週最多。また、帯放送枠を主体としつつも調査対象87.1%のステーションと最広範囲でのオンエア獲得であり、文句なしに今週最も注目された曲と言える。さらには、同ベスト盤から10曲が同時チャートインしており、夏ソングの「青と夏」(45位)を含めると実に計11曲がTOP200入り。文字通りの“ミセスウィーク”となった。

Mrs. GREEN APPLE『10』収録曲では「慶びの種」がアルバムリリースのタイミングで初お目見えとなっていますが同曲はラジオ指標99位と高くはなく、他方「breakfast」はOAベースで前週比502%増となっています。また『帯放送枠を主体』とあることから、近年男性ダンスボーカルグループが多く用いるような、歌手側(レコード会社含む)が定期枠でOA回数を重ねる施策を実行していることが想起可能です。

 

ここから浮かび上がるのは、Mrs. GREEN APPLEが音楽チャートを意識しているということ。ビルボードジャパン主要3チャート(ソングチャート、アルバムチャート、および双方のチャートを合算したトップアーティストチャート)全制覇は叶わなかったものの、しかしながら最良のチャートアクションを目指して動いていたことが解るでしょう。結果、「breakfast」は総合ソングチャートでポイント前週比138.0%を記録しています。

ただ、ストリーミング指標首位が「クスシキ」だったことを踏まえれば、同曲にラジオOAを集中させていれば総合首位を獲得することができたかもしれません。「クスシキ」が第2期第2クールのオープニングテーマに起用されたテレビアニメ『薬屋のひとりごと』(日本テレビ)は7月4日が最終回だったことを踏まえ、Mrs. GREEN APPLE側はラジオOAを「breakfast」に集中させたものと捉えています。

一方でPLAVE「かくれんぼ」がラジオでも強く、また前週総合首位のTWS「はじめまして」が当週総合22位に後退しながらもラジオ指標が14位となり総合での下落幅を抑えています。PLAVE、TWSは共に日本ではユニバーサルミュージック発でありMrs. GREEN APPLEとも共通しているゆえ、このレコード会社におけるラジオ施策が当週のチャートを大きく動かしたと言っていいでしょう。

 

 

なお、Mrs. GREEN APPLEのソングチャートにおける強さについては、明日公開予定のブログエントリーにて紹介します。