(今回のエントリーは、5月16日付note(→こちら)の内容がベースとなっています。)
5月5~11日を集計期間とする最新5月14日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、KinKi Kids「愛のかたまり」がソングチャート14位に初登場。この点についてはデジタル解禁に伴いトップ20入り…KinKi Kids「愛のかたまり」がロングヒットする可能性(5月16日付)にて紹介していますが、そのひとつ上となる13位には宇多田ヒカル「Mine or Yours」が初の1週間フル加算に伴い、前週の100位より上昇しています。
一方で、この曲のチャート動向には気になる点があります。
以前ポストで述べたように(→こちら)、ビルボードジャパンソングチャートのCHART insightをみると宇多田ヒカル「Mine or Yours」では動画再生指標(赤で表示)が未加算という状況です。一方でYouTubeでは5月7日水曜夜にミュージックビデオが、そして音源のリリース日である5月2日金曜夜にはTHE FIRST TAKEでのパフォーマンス映像が公開されています。つまりはそのどちらも加点されていないということが読み取れるのです。
ビルボードジャパンでは言語のみの違いを除き異なるバージョンは合算されないのですが、動画に付番されたISRC(国際標準レコーディングコード)がカウント対象となる動画再生指標においては、ISRCが同じ場合は合算されます。THE FIRST TAKEは音源が異なりながらもこれを理由にオリジナルバージョンに合算されることが一般的でした(なおTHE FIRST TAKEの音源がデジタルリリースされた場合、動画はその音源版に紐付きます)。
しかし宇多田ヒカル「Mine or Yours」においては、THE FIRST TAKEが音源リリース日に、そして前週にはミュージックビデオが解禁されながら、そのどちらも動画再生指標には加算されていない状況といえます。まずはISRC未付番の可能性を踏まえ、レコード会社側は動くべきでしょう。またビルボードジャパンが動画再生指標の集計(合算)基準を仮に見直したならば、その旨を発信することが必要と考えます。
(なお指標によって合算する/しないの基準が異なることから、自分はビルボードジャパンに対し様々なバージョンの合算を以前より提案しています。米ビルボードによる米やグローバルのソングチャートでは合算が基本であることが、その理由です。)
実は今回、THE FIRST TAKE側にとってはチャンネル人気再燃の機会と捉えていたのではと感じています。
THE FIRST TAKEの動画一覧をみると、5月19日午前5時のブログ執筆時点で2千万回再生を突破したもののうち、1年以内に公開された動画はこっちのけんと「はいよろこんで」(2800万強)およびBABYMONSTER「DRIP」(2440万強)の2本のみ。また同チャンネルは年末の音楽特番にて映像をみかけてきましたが、その機会も減ってきたという印象です。
ゆえに、宇多田ヒカルさんの招聘はチャンネルの人気再燃、再興という意味でも大きな意味があったと考えます。社会的な影響力の復活もさることながら、今回の宇多田ヒカルさんにおけるスケジュールが異例だったことからもTHE FIRST TAKEの本気度がうかがえます。
#THEFIRSTTAKE は通常の場合一組の歌手が二度パフォーマンスを行いますが、一度目は代表曲、二度目は新曲というのが通例です。#宇多田ヒカル さんの場合は一度目に新曲「Mine or Yours」を披露。これはおそらく、音源リリース日と動画公開日を合わせたものと思われます。 https://t.co/wNbknhrhlw
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月14日
加えてTHE FIRST TAKEは水曜と金曜という週2回の公開を基本としながら、「Mine or Yours」に続くパフォーマンス映像の公開には1週間のブランクが設けられています。仮に一回分を空けたとしても宇多田ヒカルさんの回に集中したい、そして集中して観てもらいたいというチャンネル側の意向もあるのではというのが私見です。
だからこそ、最新のビルボードジャパンソングチャートにて宇多田ヒカル「Mine or Yours」の動画再生指標が未加点だったことに驚いています。THE FIRST TAKEの動画が合算されなくなった、またTHE FIRST TAKEやミュージックビデオの再生回数が(指標の加点対象となる)300位に満たなかった可能性もあるかもしれませんが、YouTubeデイリーミュージックビデオランキング(→こちら)をみればその可能性は高くはないと考えます。
宇多田ヒカル「Mine or Yours」における動画再生指標未加算の理由がISRCの未付番にあり、きちんと付番されていたならば同曲は最新のビルボードジャパンソングチャートでトップ10入りを果たした可能性があります。そうなればテレビによるチャート紹介時等においてTHE FIRST TAKEの映像が用いられ、チャンネルが再び注目を集めたかもしれません。この仮説が正しいならば、THE FIRST TAKEの対応を勿体なく感じます。
その一方で、THE FIRST TAKEはこの数日で大きなインパクトを起こしています。
本日5月16日に公開されたYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の第547回に、ちゃんみなと彼女がプロデューサーを務めたオーディション「No No Girls」のファイナリスト10名が出演している。
ブログ執筆時点で再生回数が500万目前に迫った上記動画は、動画公開日となる5月16日付のYouTubeデイリーミュージックビデオランキングでは公開時間が22時だったにもかかわらず首位に初登場。そして同曲は各種サブスクサービスでも順位を一気に上げています。
#ちゃんみな「#SADSONG」、主要サブスクサービスにおける5月17日付デイリーチャート動向。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月18日
Apple Music 14位
Spotify 46位
LINE MUSIC 7位
一方で宇多田ヒカルさんによるTHE FIRST TAKE動画は5月14日公開の「First Love」が公開日のYouTubeデイリーミュージックビデオランキングで首位に初登場した一方、「Mine or Yours」は公開日に100位未満という状況であり、ビルボードジャパンソングチャートにおける動画再生指標の未加算は自然かもしれません。ただ同曲の動画は5月3日付で3位に初登場を果たしています。
宇多田ヒカル「Mine or Yours」における動画再生指標未加算の件がISRCの未付番ゆえか再生回数が加算対象順位に至らなかったのか、それとも別の理由があるのかは解りかねます。ただ、THE FIRST TAKEにおいてはここにきて宇多田ヒカルさんの出演もさることながら、ちゃんみな feat. No No Girls FINALISTS「SAD SONG」を契機に再度注目を集めるかもしれないのではと感じた次第です。