最新5月14日公開分(集計期間:5月5~11日)のビルボードジャパンソングチャートではMrs. GREEN APPLEがトップ3を独占したことについて、このブログでも紹介しました。
【ビルボード】Mrs. GREEN APPLEが史上2組目となるトップ3を独占、KinKi Kidsは5曲チャートイン https://t.co/rzwR6lCCNy
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年5月14日
一方でWEST.「ウェッサイソウル!」は4位初登場。3位のMrs. GREEN APPLE「クスシキ」とはわずか3ポイント差であり、トップ3入りを逃した形です。
WEST.「ウェッサイソウル!」のCHART insightにおける累計ポイント構成比をみると赤で表示される動画再生指標が加点されていることが解ります。ただ、最新5月14日公開分ではこの指標が300位以内に入らず未加点という状況です。
(総合チャートおよび構成指標における20位未満の順位はCHART insight有料会員のみが確認できますが、ビルボードジャパンでは有料会員のみ知り得る情報の掲載を可能としています。)
STARTO ENTERTAINMENT所属歌手の作品はフィジカルリリース前にミュージックビデオが公開されることが多く、今回のWEST.「ウェッサイソウル!」も同様です。ただフィジカルセールス初加算週に動画再生指標が加点されないのは、コアファンがミュージックビデオをCD同梱の映像盤にてチェックするようになった、一方でライト層がこの曲に十分ついているとは言い難いという、ふたつの理由が考えられます。
加えて、WEST.は現時点でもデジタル解禁を行っていません。KinKi Kidsが5月5日、そしてSixTONESが昨日デジタル解禁を行ったことで、STARTO ENTERTAINMENT所属で現在も音楽作品をリリースしている歌手のうち未だデジタル解禁を行っていないのはWEST.およびAぇ! groupの2組のみとなっています。仮にWEST.が解禁を実施していれば、ダウンロード指標の加点に伴い当週の総合ソングチャートは入れ替わったことでしょう。
音楽チャートがすべてではない、ゆえにデジタルを解禁する必要はないとの向きもあるかもしれませんが、デジタル時代はいつ何時どの曲がブレイクするか良い意味で解りません。加えてデジタル解禁を行ったことで、たとえばSnow Manのベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』は4連覇を達成するに至っています。デジタルがフィジカルセールスを毀損するわけではないことも見えてきた以上、解禁に前向きになることを勧めます。
さて、最新5月14日公開分のビルボードジャパンソングチャートではtimeleszによるニューアルバムのリード曲「ワンアンドオンリー」が動画再生指標を初登場で制し、総合でも79位にランクインしています。STARTO ENTERTAINMENT所属歌手作品による動画再生指標制覇は、2024年10月30日公開分におけるSnow Man「EMPIRE」以来となります。
timeleszは8人体制での第一弾シングル「Rock this Party」が最新ソングチャートで68位に入り、アイドルやダンスボーカルグループの作品としては長期滞在といえる11週ランクインを果たしています。新メンバー発掘オーディションの話題性もさることながらデジタル解禁の効果がはっきり表れた形ですが、しかし「ワンアンドオンリー」およびニューアルバム『FAM』(6月11日リリース)はデジタル解禁されないことになっています。
(5月17日6時時点におけるALBUM『FAM』2025.6.11 Release! - Over The Topより。右下に『※『FAM』のデジタル配信は現段階で予定されておりません』との記載があります。このキャプチャに問題があった際は削除いたします。)
「ワンアンドオンリー」のミュージックビデオは今回のソングチャート集計期間初日に公開されており、仮にデジタルを同日解禁していたならば同曲は初週1週間フル加算に伴いビルボードジャパンソングチャートにおいて「Rock this Party」に次ぐトップ10ヒットに成り得たかもしれません。そしてその好調が『FAM』のデジタル解禁にもつながったのみならず、フィジカルの購入促進にもつながったものと考えます。
timelesz『FAM』でのデジタルアプローチに関する違和感は昨日Xにて表明していますが、その中でこちらの発信はともすれば大げさに映るかもしれません。
#timelesz のチャートヒットは、デジタル配信があったからこそだと断言可能です。だからこそ『#FAM』のデジタル配信が予定されていないことはtimeleszにとってのみならず、STARTO ENTERTAINMENTにとって、そして日本の音楽業界全体においても成長の足踏みとなりかねないと考えます。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年4月11日
しかしながら、Snow Manによるサブスク解禁手法(ベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』に限っての解禁)は、timeleszが新曲以外に『Hello! We're timelesz』に限って解禁したことを想起させます。
音楽チャート上でのtimeleszの好成績がSnow Manサブスク解禁の背中を押し(た可能性)、そして他のサブスク未解禁歌手もその手法で追随することで日本の音楽業界がデジタルを重視するようになるという可能性を、『FAM』のリリース手法は止めかねないと危惧します。
・前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年4月9日公開分)(4月12日付)より
「Rock this Party」や『Hello! We're timelesz』が好調なtimeleszの新作がデジタル解禁されないことについては以前も疑問視しています。『FAM』のデジタル未解禁はtimeleszのコアファンに成りきれていない(フィジカル購入をするとは限らない)方に対し、フィジカル購入を促す以上にデジタルリリースされないことから来る疑念を抱かせかねないのではというのが厳しくも私見です。
デジタルを解禁すればフィジカルセールスに影響が及ぶ、ゆえにその逆を行うというのがtimelesz側の判断かもしれませんが、デジタルがフィジカルを毀損したとしてもしすぎるわけではないと考えます。STARTO ENTERTAINMENT所属歌手側がデジタルに前向きになることを、心から願います。