【今週の総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年11月19日
1位 米津玄師
2位 timelesz
3位 NMB48
4位 米津玄師、宇多田ヒカル
5位 HANA
6位 アイナ・ジ・エンド
7位 HUNTR/X
8位 BE:FIRST
9位 HANA
10位 米津玄師 pic.twitter.com/6EkxhPceUx
最新11月19日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは2位にtimelesz「Steal The Show」、3位にNMB48「青春のデッドライン」が初登場を果たしています。しかしながら2曲ともデジタル(ダウンロードおよびストリーミング)が加点されていません。
ビルボードジャパンは最新のソングチャートにて、2曲を次のように紹介しています。
続く2位にはtimelesz「Steal The Show」が初登場。11月12日に発売された、timeleszが新体制として初めてリリースしたシングル『Steal The Show/レシピ』の表題曲で、初週に520,300枚を売り上げセールス1位、ラジオ17位という結果に。3位も初登場のNMB48「青春のデッドライン」で、初週197,490枚を売り上げてセールス2位を獲得した。
【ビルボード】米津玄師「IRIS OUT」が“Hot 100”で9連覇、timelesz「Steal The Show」が続く https://t.co/0gQ85ZQTuK
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年11月19日
では、2曲のCHART insightはどうでしょうか。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
timelesz「Steal The Show」はラジオでかなり前に、またミュージックビデオは1ヶ月以上前の段階で解禁されながら、ダウンロードおよびサブスクは未解禁のまま。その未解禁の旨をブログエントリーで紹介した数日後にオリジナルアルバム『FAM』等の解禁がアナウンスされましたが、しかし最新フィジカルシングルに関する解禁アナウンスはありませんでした。
前作の倍近いフィジカルセールスを記録したtimelesz「Steal The Show」ですが、CHART insightにおいて注目はフィジカルセールス指標(黄色)初加算のタイミングで動画再生指標(赤で表示)が伸びていないということ。動画再生は同じ接触指標であるストリーミング(青)と比例する傾向にあるためサブスク未解禁が影響したと考えるのは自然なことですが、YouTube公開版がショートバージョンだということも大きかったはずです。

上記は2025年度ビルボードジャパンソングチャートで週間1位および2位を記録した曲の一覧表ですが、timelesz「Steal The Show」は週間2位以内に入り且つフィジカルセールスが週間単位でハーフミリオンを達成した曲として、このチャートにおける週間獲得ポイントが最も低くなっています。フィジカルセールスは上昇しながらもデジタルを味方にできないことで、コアファンとライト層との乖離も招いているといえるでしょう。
またデジタルが解禁されていれば、フィジカルシングルでダブルAサイドに設定されながらフィジカルセールス指標が加点されない「レシピ」においても、総合100位以内に登場した可能性が考えられたはずです。

一方、3位のNMB48「青春のデッドライン」は最新11月19日公開分にて総合ソングチャート自体に初登場を果たしていますが、同曲はフィジカルセールスの前週にデジタル解禁されながらもストリーミングおよびダウンロード(CHART insightでは紫で表示)の双方にて300位以内に登場していません。ミュージックビデオはフィジカルセールスのタイミングで解禁されるも、動画再生指標も未加算の状況です。
AKBグループはデジタルの強くなさが目立ちますが、その一方でフィジカルセールス施策に伴い同指標が幾度となく再浮上し、総合ソングチャートでも100位以内にリエントリーすることがみられます。しかしながらデジタルが強くない状況は、たとえば『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と表記)での出場可能性を生みにくいということを先日も記したばかりです。
デジタルが強くなくとも話題性の高い歌手は紅白に選ばれる傾向があり、たとえばM!LKは「イイじゃん」がビルボードジャパンソングチャートで週間最高45位、100位以内4週在籍ながら今年紅白に初出場します。8名体制後にオリジナルアルバム『FAM』や先述した「Steal The Show」のフィジカルセールスが増加したtimeleszにおいても、オーディションの話題に伴い紅白に出場する(後にアナウンスされる)可能性が考えられます。
そのような話題性を現在のAKBグループが生み出すことは難しいというのが厳しくも私見であり、やはりデジタルを充実させなければいけないのではないでしょうか。
デジタル未解禁作品に話を戻すと、ビルボードジャパンではそのような作品に対してチャート登場時に未解禁の旨を記していません。その件は先述した記事の引用部分からもみえてきますが、たとえば米ビルボードでは記事にて施策の内容をきちんと紹介しています。
たとえば、米ビルボードではテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』のアルバムチャート初制覇時にソングチャートで収録曲が12位までを占めているのですが、リリースから最初の1週間は収録曲すべてで単曲ダウンロードができない状態だったことが記事にて紹介されています(下記リンク先は記事翻訳分)。ソングチャートはダウンロードも指標のひとつゆえ、同指標ゼロの背景を米ビルボードは記しているのです。
「The Fate Of Ophelia」は米ビルボードソングチャートにて通算1,184曲目の首位獲得作品に。ストリーミング9250万(同指標首位)、ダウンロードゼロ、およびラジオ3850万(同指標7位)を記録しています。なおダウンロード指標においては『The Life Of A Showgirl』にて単曲ダウンロード不可だったことに伴い、未加算となっています。
初週における単曲ダウンロード不可という状況は、テイラー・スウィフト側が『The Life Of A Showgirl』の初動ユニット数を伸ばすことを意識しての手法(施策)だったのではないかということを、米ビルボードがコラムにて示しています。
翻ってビルボードジャパンでは、デジタル未解禁作品についてはその旨を記事にて示していないという印象を抱いています。そのことがデジタル未解禁という施策に対し音楽ファン、そして(その施策を採る)歌手自身が疑問を抱きにくいことの一因となり、デジタル解禁が進まない背景ではと捉えています。直近2週においてチャート上位に入った複数の作品をサブスクでチェックできないというのが、日本の音楽業界の現状です。
B'zやSnow Manのみならず、当週ソングチャートで2位を記録したtimelesz「Steal The Show」、また前週フィジカルセールスが初加算された山下達郎「オノマトペISLAND」もサブスク未解禁の状況です。彼らにとってはフィジカルが大事、もしくはデジタルがフィジカルを駆逐しかねないと未だ捉えているのかもしれませんが、それではコアファン以外に"見つかる"可能性は低く、機会損失ではと考えます。
さらに、日本の音楽に興味を持つ海外の音楽ファンはビルボードジャパンの音楽チャート記事を自ら翻訳してチェックするか、ビルボードジャパンソングチャートの米ビルボードにおける英訳記事を読み、日本の情報を仕入れている可能性があります。その記事にてデジタル未解禁を記さないことは、海外の音楽ファンに(デジタル未解禁にもかかわらず探すという)手間をかけさせてしまいかねません。
デジタル未解禁をきちんと伝えることは海外の音楽ファンのためにもなるはずです。無論日本の音楽業界全体への不信感につながりかねませんが、その不信感を高めてもらうことで海外からの視線を強めさせ、日本の音楽業界に焦りをもたらさなければ、日本の音楽業界は変わらないのではとも考える自分がいます。