イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年1月29日公開分)

昨年夏以降再開したこのエントリー、今年に入ってからタイトルを一部変更しています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー再開の理由です。

 

 

<2025年1月29日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

STU48「地平線を見ているか?」

 1月22日公開分 3位→1月29日公開分 100位未満

BSS「CBZ (Prime time)」

 1月22日公開分 5位→1月29日公開分 100位未満

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

1月15日公開分で初めてトップ10入りした3曲(Kis-My-Ft2「Curtain call」、Lienel「Go Around The World」およびLIL LEAGUE from EXILE TRIBE「刺激最優先」)も翌週に総合100位未満へ急落しており、フィジカルセールスで強い曲がデジタル(特に接触指標群)で強くなることの必要性が理解できるでしょう。なおBSS「CBZ (Prime time)」は当週もストリーミングが加点されていますが、当該指標は100位未満となっています。

STU48「地平線を見ているか?」は『ミュージックステーション』(テレビ朝日 1月24日放送回)にてランクインした旨が紹介され、歌手側のSNSでも発信されていますが、指標構成の偏りはキャプチャからもみえてきます。なお番組では昨日放送回でもビルボードジャパンソングチャートを長尺で採り上げており(指標構成については棒グラフに表示を変更)、弊ブログでは以下のエントリーを昨日公開しています。

 

さて、前週はSEVENTEEN「消費期限」が総合20位、HKT48「僕はやっと君を心配できる」が同72位に、いずれも再登場。共にフィジカルセールスが再浮上し、指標の基となるTop Singles Songsチャートでは前者が45,884枚(初週売上514,233枚)、後者が17,699枚(同152,017枚)を記録していましたが、当週は2曲とも総合100位未満に。「僕はやっと君を心配できる」に至ってはフィジカルセールスも300位未満に急落しています。

(HKT48「僕はやっと君を心配できる」については1月29日公開分ビルボードジャパンソングチャートで構成指標がひとつも300位以内に達していないことから、1月22日公開分が最終ランクインとなりCHART insightは前週表示分と変わりません。)

 

最近ではリリース後のフィジカル施策に伴い総合でも再浮上する曲が少なくありません。その場合は前週および翌週のフィジカルセールス動向や総合チャートの順位推移、そして施策反映時の他指標の動向をチェックし、真の社会的ヒット曲に成っているかを見極める必要があります。

上記はMステが採り上げるビルボードジャパンソングチャート、深く知るための表を紹介します(1月31日付)で掲載したヒットの7段階表。SEVENTEEN「消費期限」やHKT48「僕はやっと君を心配できる」は第2段階に該当しますが、真の社会的ヒットとして断言可能なのは第5段階以降であるというのが音楽チャート分析者としての見方です。

K-POP歌手やAKB48グループで目立つリリース後のフィジカル施策をすべて否定するわけではありませんが、デジタルヒットさせ社会に浸透させるための尽力を運営側に対し願うばかりです。この施策はコアファンに頼る部分が大きく、主に金銭面での疲弊とそれに因るファン離れを生み出しかねないと危惧します。

(なお、リリース後のフィジカル施策による総合ソングチャートへの反映について、ビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)変更の必要性を前週のエントリー(→こちら)にて提案しています。)