イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年8月21日公開分)

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で今夏再開しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

急落傾向はここ最近、特に目立っています。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

 

<2024年8月21日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

最新週における指標毎のポイント構成

 (CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明しています。)

 

・&TEAM「青嵐 (Aoarashi)」

 8月14日公開分 1位→8月21日公開分 47位

・僕が見たかった青空「スペアのない恋」

 8月14日公開分 4位→8月21日公開分 100位未満(300位圏内)

当週におけるストリーミング等動向を記した表はこちら。

 

前週総合首位の&TEAM「青嵐 (Aoarashi)」は47位にダウン。フィジカルセールス指標加算2週目はそのフィジカルセールスが後退しますが、その分をデジタルで補完することはできませんでした。ストリーミングは100位圏外となっていますが獲得ポイントの3割以上を占めていることを踏まえれば、接触指標の充実、特にストリーミングを支えるライト層への認知浸透を図ることが重要だと考えます。

 

 

さて、フィジカルセールス指標は通常加算2週目に急落しますが、2~4週目も万単位で売上を記録していたのがAKB48「恋 詰んじゃった」でした。

前週までの推移は以前のエントリーで紹介していますが、フィジカルセールスが好調を続けたこと、一方で他指標がほぼ加点されていない状況は特殊といえるものでした。

その「恋 詰んじゃった」は3→23→48→19位と推移した翌週、最新8月21日公開分にて総合100位圏外に急落。フィジカルセールスは前週の45,560枚から1,461枚にこちらも大きく後退していますが、当週も他指標が未加算のため、フィジカルセールスの動向が総合チャートにダイレクトに反映された形です。

「恋 詰んじゃった」は最近のAKB48作品の中ではロングヒットしているように映りますが、フィジカルセールスの高位置での安定が寄与した形であり、デジタル(特に接触指標群)の未加算を踏まえればコアファンの熱量に支えられた作品といえます。真の社会的ヒット曲とはロングヒットする作品であると冒頭で紹介しましたが、ロングヒットの要たるストリーミングが未加算という状況からは、ライト層との乖離を感じるに十分です。

 

 

僕が見たかった青空「スペアのない恋」も当週急落していますが、音楽業界にはフィジカルセールスが今も重要である、他方デジタルには重きを置かないと考える方が未だにいらっしゃるのかもしれません。フィジカルが全く重要ではないとは思いませんが、しかしながらライト層に認知浸透した曲が時を越えて親しまれることを踏まえれば、先述した考え方を持つ方が仮にいらっしゃるならば発想を変えることを願うばかりです。