イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) 前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年1月22日公開分)

(※追記(1月29日12時06分):1月15日公開分にてトップ10内に初登場した3曲について、CHART insight紹介時の公開日に誤記がありました(本来は”1月15日公開分 ●位→1月22日公開分 ●位”と記すところを誤って”1月18日公開分 ●位→1月25日公開分 ●位”と掲載していました)。つきましては正しい公開日に訂正しております。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

昨年夏以降再開したこのエントリー、今年に入ってからタイトルを一部変更しています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー再開の理由です。

 

 

<2025年1月22日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

Kis-My-Ft2「Curtain call」

 1月15日公開分 4位→1月22日公開分 100位未満

・Lienel「Go Around The World」

 1月15日公開分 6位→1月22日公開分 100位未満

・LIL LEAGUE from EXILE TRIBE「刺激最優先」

 1月15日公開分 9位→1月22日公開分 100位未満

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

前週のソングチャートで100位以内にランクインしていた曲のうち当週100位圏外に後退したのは13曲。しかし、前週50位以内からの後退となると今回紹介した3曲のみとなります。いずれも前週のフィジカルセールス指標上位3曲であり、同4位のLiella!「笑顔のPromise」が総合100位以内未達だったことを踏まえれば尚の事、フィジカルセールス指標と総合ソングチャートとの乖離が見て取れるはずです。

 

 

他方、当週のソングチャートではSEVENTEEN「消費期限」が20位、HKT48「僕はやっと君を心配できる」が72位に、いずれも前週の100位未満から再登場を果たしています。共にフィジカルセールスが急上昇し、この指標の基となるTop Singles Songsチャートでは前者が45,884枚(初週売上は514,233枚)、後者が17,699枚(同152,017枚)を売り上げていることが解るのですが、2曲とも前週は100位未満となっています。

加えて「消費期限」「僕はやっと君を心配できる」共に、当週は他指標が300位圏内に達せずポイントを獲得できていません。後者においては初登場時以降、フィジカルセールスのみでポイントを積み上げている状態です。最近はリリース後のフィジカル施策に伴い総合ソングチャートでも返り咲く作品が目立っていますが、フィジカルセールスばかりが強い作品を社会的ヒット曲と呼ぶことは難しいというのが厳しくも私見です。

この点についてはビルボードジャパンに対し、チャートポリシー(集計方法)の変更を求めています。以下にその内容を再掲すると共に、特にアイドルやダンスボーカルグループの運営側は、コアファンだけではなくライト層やグレーゾーンに届けることを意識し、デジタルを強化することを願うばかりです。

ビルボードジャパンソングチャートにおけるヒットの理想形はストリーミングや動画再生といった接触指標群が高水準で安定し、総合チャートでロングヒットに至ることです。所有指標は持続力に欠けるものの、瞬間的には上位進出に寄与します。

2024年度においても所有指標、その中でもフィジカルセールスがストリーミングと乖離することが目立つ印象です。そのような曲が上位進出した場合、音楽チャートに精通していない方ほどオリコンとの差異を感じにくいかもしれません。フィジカルセールス指標のロングヒット曲との乖離を踏まえれば、ウエイト自体の減少は検討すべきと考えます。

加えて、リリースから時間が経過した曲が施策に伴いフィジカルセールス指標で再浮上し、総合ソングチャートでも上位進出するケースが目立っています。ただ、そのような曲のほとんどは他指標が伴っていません。

一定以上の週間セールスを記録した曲に対しビルボードジャパンがその超過分に減算処理を行うというチャートポリシー(集計方法)を適用した2017年以降、このチャートは社会的ヒット曲の鑑となりました。しかし一旦適用されるとその翌週以降は減算処理されないため、施策に伴うフィジカルセールス指標の再浮上がそのまま総合での再浮上にもつながります。そして中長期でみると、売上枚数と指標化後の順位が異なっています。

ゆえに、一定以上の枚数を売り上げた作品には翌週以降も減算処理を適用すべきと考えます。

 

2025年度の集計開始日に、ビルボードジャパンへの改善提案をまとめる(2024年11月25日付)より