イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

超ときめき♡宣伝部、「ハートな胸の内♡」よりも「超最強」をフィジカルシングルの1曲目に据えてよかったのでは

最新9月3日公開分ビルボードジャパンソングチャートではトップ10の半数が初登場曲で占められています。そしてこの勢いは、アルバムチャートと合算するトップアーティストチャートにも反映されています。

このブログでは勝手ながらトップアーティストチャートを”記事化”したエントリーを木曜夜に公開しており、「カリスマックス」がソングチャートを制したSnow Manが歌手別チャートで15→2位、「Secret Garden」がソングチャート2位に入ったBE:FIRSTが歌手別チャートでは24→6位に上昇したことをお伝えしました。

またソングチャートではSTU48「傷つくことが青春だ」、超ときめき♡宣伝部「ハートな胸の内♡」そしてOCHA NORMA「女の愛想は武器じゃない」がそれぞれ4、5、6位に初登場を果たしているのですが、トップアーティストチャートではSTU48が13位、OCHA NORMAが14位となり、共に前週未カウントの状態から上昇したのに対し、超ときめき♡宣伝部は53→8位に浮上しトップ10入り、且つ自己最高位を更新しています。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

 

 

ビルボードジャパントップアーティストチャートで超ときめき♡宣伝部がトップ10入りを果たした背景には、フィジカルシングルで「ハートな胸の内♡」とダブルAサイドとしてクレジットされている「超最強」のヒットが挙げられます。

「超最強」は元々アルバム『ときめきルールブック』に収録され、TikTok等でのバズを機に人気に。ビルボードジャパンソングチャートでは7月2日公開分で最高17位を記録しています。当週はラジオ(CHART insightでは黄緑で表示)でも人気ですが、CHART insightからはストリーミング(青)や動画再生(赤)が総合順位(棒グラフ)と比例していることが解ります。つまり、接触指標群の人気がロングヒットに至らせているといえるでしょう。

 

ビルボードジャパンソングチャートのフィジカルセールス指標は、フィジカルシングルがダブルやトリプルAサイドの場合は1曲のみに加点されます。超ときめき♡宣伝部による2曲は当週のラジオ指標でも「超最強」が強いながら、しかしフィジカルセールス指標は「ハートな胸の内♡」に加点されています。仮に「超最強」がフィジカルセールス指標加算対象曲だったならば、同曲は最新ソングチャートで3位に入ったでしょう。

 

ではなぜ、超ときめき♡宣伝部は「超最強」よりも「ハートな胸の内♡」を(ダブルAサイドという位置付けながら)フィジカル1曲目に据えたのでしょう。

おそらくは「超最強」が既にアルバムの形でフィジカルリリースされていたこと、「ハートな胸の内♡」がより新しい作品であること等がフィジカルシングルの収録曲を決めた背景にあるものと推測します。また現在はフィジカルがコアファン向けアイテムという位置付けが強く、CDを買ってもらうにはより新しい曲をより大きく訴求することが必要だという姿勢が、収録曲の順番決めに影響したのかもしれません。

しかしながら、7月頭にデジタルリリースされた「ハートな胸の内♡」のCHART insightからは、この曲が最新チャートに至るまでデジタル関連指標が一度も週間300位以内に入っていないことが見て取れます。リリース日から逆算していつまでにフィジカルを(物理的な意味で)完成させる必要があるかは解りかねますが、仮に1ヶ月を要するならば7月末までの動向を読んだ上で「超最強」を1曲目に据えてよかったのではと考えます。

 

 

無論、これは音楽チャートの側面だけを踏まえてと言われればそれまでです。しかしながらビルボードジャパンソングチャートの成績は、特に若手における『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場選考に影響します。トップアーティストチャートも加味されるため当週の歌手別チャートトップ10入りは大きな意味を持つとして、しかしながらソングチャートでのインパクトを残せたならば、というのが自分の見方です。