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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

STARTO ENTERTAINMENT、Creepy Nuts、こっちのけんと…日本のSpotifyデイリー200位記録更新の要因とは

ビルボードジャパンの2022年度初日にあたる2021年11月29日付以降の、日本のSpotifyデイリー200位の再生回数を定点観測したグラフを掲載。10月14日付における再生回数は53,359回となり、9月23日付で記録した52,273回を超え史上最高を更新すると共に、初の5万3千回台に到達しています。

今回のエントリーでは記録達成の要因を分析します。なお9月23日付においては下記エントリーにて分析しています。

 

まずは日本における10月14日付Spotifyデイリーチャートに関する注目の動向を紹介します。なお日々の動向についてはXにて発信しています(自分のXアカウントはこちら)。

 

 

初登場曲が多い状況ですが、その過半数はSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手(エージェント契約含む)による作品です。

King & Princeのニューアルバム『Re:ERA』は1ヶ月以上デジタル先行で解禁されるという、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手の中でもデジタルに特化した展開を実施。また解禁日にはStationheadで歌手自身も参加したリスニングパーティーを開催したことも功を奏した形です。初登場のうちの1曲が永瀬廉さんのソロ曲「染み」で、なにわ男子の西畑大吾さんおよびAぇ! groupの正門良規さんも参加したことが話題となっています。

他方、髙橋海人さんのソロ曲でSKY-HIさんが手掛けた「POPSTAR in the KINGDOM」は200位以内未達の状況であり、またStationhead開催翌日となる10月15日付の動向を注視する必要もありますが、アルバムリード曲「WOW」がトップ50目前まで迫っていることも含め、初日動向としては注目すべき動きを示したといえるかもしれません。

 

日本におけるSpotifyデイリーチャートでは50位以内エントリー曲をまとめたトップ50プレイリストの存在が大きく、50位以内に入ることで数日後の急上昇につながります。10月14日付ではSnow Manによる初のデジタル解禁曲「One」が、月曜正午の解禁ながら37位に初登場。初の24時間フル加算となる10月15日付の動向に注目です。

解禁に合わせてメンバー9名それぞれがXでコメントを発信し、ミュージックビデオも月曜に公開。また10月18日金曜にはStationheadでメンバー参加のリスニングパーティーも実施することから(→こちら)。解禁日を集計期間初日とする10月23日公開分ビルボードジャパンソングチャートでの上位進出をきちんと意識した動きとも感じられます。

 

STARTO ENTERTAINMENTは今もサブスク未解禁の歌手が存在し、また解禁してもその範囲を一部に限っている方も多い状況ですが、今回彼らのコアファンがサブスクを意識して使うことで、彼ら以外の歌手(STARTO ENTERTAINMENT以外も含む)の作品もチェックされるようになったことが、再生回数全体、特に50位未満の上昇につながったといえるでしょう。

そのSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手において、過去作で伸びているのがNEWS「チャンカパーナ」(2012)。4人体制初となったこの作品の上昇は数日前のミュージックビデオ解禁もさることながら、当時在籍していた手越祐也さんの『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)での”復帰”も影響していることは間違いありません(ただし真に復帰したといえるには、定期的な出演やスタジオ登場が条件ではというのが私見です)。

『既に解散や活動終了した歌手のみならず現在も活動するSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手の作品にも再度、そしていつ何時でも光を当てることが、デジタル解禁により可能となります』とSnow Manサブスク解禁に対する私見、およびデジタル好調のNEWS「チャンカパーナ」について(10月9日付)で記しましたが、今回における光とはミュージックビデオ公開そしてテレビ出演であり、今後も同種の上昇はみられるかもしれません。

 

 

日本のSpotifyでの200位再生回数最高更新は連休最終日であることも影響しています。ただし50位以内の作品以上に51位以下のほうが伸び率が高いことから、普段サブスクをそこまで用いない方がチェックするようになったことが大きいのではというのが私見。そのきっかけはSTARTO ENTERTAINMENT関連のみならず、ボーカルのHiroさんが結婚を発表したMY FIRST STORY「I'm a mess」の上昇からもみえるのではないでしょうか。

そして10月初めにリリースした曲のヒットも、サブスクに光を当てています。その3曲とはCreepy Nuts「オトノケ」、AKASAKI「Bunny Girl」そしてOfficial髭男dism「Same Blue」であり、牽引の可能性については上記エントリーで紹介した通り。本日発表される最新ビルボードジャパンソングチャートにも注目ですが、「オトノケ」のグローバルヒットが世間に伝われば尚の事、サブスク利用者は増えるかもしれません。

 

さらに、このタイミングでこっちのけんと「はいよろこんで」がデイリー再生回数最高を更新。10月13日放送の『この歌詞が刺さった!グッとフレーズ』(TBS)で採り上げられ、14日には新曲「もういいよ」がリリース、さらに「はいよろこんで」が替え歌の形で日清どん兵衛のCMソングに使われたこと(が発表されたこと)が影響したと思われます。テレビ露出は特にライト層を刺激するものと考えます。

 

 

ニューアルバム収録曲を含む新曲の初登場、テレビによるヒット曲や過去曲のフックアップが、日本における10月14日付Spotifyデイリーチャートでの200位再生回数記録更新につながっているといえます。10月上旬リリース作品の好調もさることながら、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手のデジタルへの姿勢が彼らのコアファンやライト層の意識を変化させていく可能性も、今回の動向から感じた次第です。