イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

日本のSpotifyにおけるデイリー200位再生回数の記録更新と、一方で注視すべきことについて

日本のSpotifyデイリーチャート動向を追いかける者として、こちらの事象を興味深く感じています。

直近2日間における記録達成には、複数の背景が読み取れます。

 

ひとつはSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手によるデジタル解禁。今月に入り5月5日にKinKi Kids、5月17日にはSixTONESが解禁を実施しています。直近の動向は以下の通り。

ビルボードジャパンアルバムチャートではtimeleszのデジタルコンピレーションアルバム、またSnow Manのベストアルバムはデジタル解禁後にヒットを続けており、その流れもSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手の作品が聴かれる傾向を強めているといえます。また、当該事務所所属歌手の中でいち早くデジタル解禁を実施した嵐が活動終了を発表したことでSpotifyでも200位以内に複数曲が再登場、直近でもランクインしています。

 

そしてもうひとつ。Number_iがフィジカルシングル「GOD_i」を5月19日にリリースしたことで、表題曲およびカップリング曲が大きく上昇しています。

上記はフィジカルシングルにおける収録6曲の動向。Spotifyは午前0時以降がデイリーチャートにおける日付切替のタイミングであり、先行曲「GOD_i」および「HIRAKEGOMA」を除く4曲はフライング的な形で5月18日付にて初登場を果たしています(また「HIRAKEGOMA」は同日付で200位以内に再登場)。そして「GOD_i」を除く5曲がすべて最新5月19日付で50位以内に上昇した形です。

この上昇には、Spotifyが公式で実施するリスニングパーティーも影響していると考えられます。Number_i自身、また彼らのファンダム(音楽チャートを強く意識するコアファン)がSpotifyApple Musicに紐づくStationheadを用いてリスニングパーティーを開催してきたのですが、一昨日はSpotify自体がこの企画を用意しています。

 

 

これらの状況が日本のSpotifyにおける200位再生回数の記録更新につながったと捉えていいでしょう。ただし、Number_iの新曲群が他のサブスクサービスにおけるデイリー100位の再生回数を底上げしているわけではないと考えます。

Apple MusicやLINE MUSICでは5月19日付デイリーチャートでKinKi KidsSixTONES、嵐の作品が100位以内にランクインしていますが、Number_iの作品は入っていません。LINE MUSICにおいては最新5月20日付でも同様です。

 

ここから考えることについて、Xにてスレッドの形で記しています。

その上で、”真の社会的ヒット曲とは何か”について記しています。

 

 

この注視の重要性について、また日本のSpotifyにおいて”偏っている”と形容可能な傾向が生じていることについては、以前このブログで紹介しています。

Spotifyの公式リスニングパーティーに限らず、Apple Musicでのラジオ番組やLINE MUSIC再生キャンペーン開催等、各サブスクサービスはファンダムの獲得に力を入れてきています。それゆえ、ひとつのサブスクサービスだけでヒットを測ることは行ってはならないと厳しくも考えますが(ただしこれらサービスのうちApple Musicは最も信頼できるものと捉えています)、Spotifyの動向はより偏ってきているという印象です。

ゆえにビルボードジャパン側が極度な動きを踏まえてチャートポリシーを変更するか議論すること、およびその議論の間隔を短くすることは重要でしょう。そして同時に、チャートの見方が広く浸透することで、よりヒットしている曲、真の社会的ヒット曲はどれかを判断する力が鍵になってくると考えます。各サブスクサービスやビルボードジャパンが見直しに消極的ならば、判断力の音楽ファンへの浸透こそ必要だと感じます。

上記はCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーで掲載しているストリーミング表の最新版(この表を基とするエントリーは5月17日付エントリー(→こちら)にて公開しています)。自分は音楽チャート分析者として、上記ストリーミング表やブログ、Xにて客観的な視点でもって発信を続けていきます。