日本のSpotifyデイリーチャート動向を追いかける者として、こちらの事象を興味深く感じています。
【Spotifyデイリーチャート 200位再生回数推移】
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月19日
2021年11月29日付~2025年5月18日付日本のSpotifyデイリーチャート、200位の再生回数を定点観測。
5月18日付における再生回数(55,203回)は2024年10月14日付(53,359回)を上回り、200位における最高再生回数を更新。初めて5万5千回を突破しています。 pic.twitter.com/fDhpl4TpTu
【Spotifyデイリーチャート 200位再生回数推移】
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
2021年11月29日付~2025年5月19日付日本のSpotifyデイリーチャート、200位の再生回数を定点観測。
5月19日付における再生回数(51,885回)は5月14日付(51,064回)を上回り、200位における平日の再生回数記録を更新しています。 pic.twitter.com/9VFSb21Pz0
直近2日間における記録達成には、複数の背景が読み取れます。
ひとつはSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手によるデジタル解禁。今月に入り5月5日にKinKi Kids、5月17日にはSixTONESが解禁を実施しています。直近の動向は以下の通り。
5月19日付Spotifyデイリーチャート、200位以内における #KinKiKids のランクイン曲。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
172→161位 「#愛のかたまり」
5月19日付Spotifyデイリーチャート、200位以内における #SixTONES のランクイン曲。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
78→87位 「#バリア」
98→107位 「#こっから」
169→166位 「#GoodLuck!」
ビルボードジャパンアルバムチャートではtimeleszのデジタルコンピレーションアルバム、またSnow Manのベストアルバムはデジタル解禁後にヒットを続けており、その流れもSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手の作品が聴かれる傾向を強めているといえます。また、当該事務所所属歌手の中でいち早くデジタル解禁を実施した嵐が活動終了を発表したことでSpotifyでも200位以内に複数曲が再登場、直近でもランクインしています。
そしてもうひとつ。Number_iがフィジカルシングル「GOD_i」を5月19日にリリースしたことで、表題曲およびカップリング曲が大きく上昇しています。
日本における5月19日付Spotifyデイリーチャート、#Number_i の動向。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
「#GOD_i」 再生回数前日比138.0% 14→3位
「#ロミジュリ」 同252.0% 93→14位
「#i_DOG」 同247.9% 92→16位
「#Psycho」 同253.2% 109→18位
「#Frisco」 同251.7% 124→21位
「#HIRAKEGOMA」 同195.9% 70→25位
(続く)
上記はフィジカルシングルにおける収録6曲の動向。Spotifyは午前0時以降がデイリーチャートにおける日付切替のタイミングであり、先行曲「GOD_i」および「HIRAKEGOMA」を除く4曲はフライング的な形で5月18日付にて初登場を果たしています(また「HIRAKEGOMA」は同日付で200位以内に再登場)。そして「GOD_i」を除く5曲がすべて最新5月19日付で50位以内に上昇した形です。
Number_iの2nd Single “GOD_i” のリリースを記念して、メンバー参加のSpotify限定リスニングパーティーが開催決定🎉
— Spotify Japan (@SpotifyJP) 2025年5月7日
📅5月19日(月) 19:00
▼【通知を希望】をタップして参加登録しよう▼https://t.co/GUspRKNE1w
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*プレミアムユーザー限定@number_i_staff#Spotify_Number_i pic.twitter.com/NINjq45mea
この上昇には、Spotifyが公式で実施するリスニングパーティーも影響していると考えられます。Number_i自身、また彼らのファンダム(音楽チャートを強く意識するコアファン)がSpotifyやApple Musicに紐づくStationheadを用いてリスニングパーティーを開催してきたのですが、一昨日はSpotify自体がこの企画を用意しています。
これらの状況が日本のSpotifyにおける200位再生回数の記録更新につながったと捉えていいでしょう。ただし、Number_iの新曲群が他のサブスクサービスにおけるデイリー100位の再生回数を底上げしているわけではないと考えます。
なお、#Number_i の作品は5月19日付のLINE MUSICデイリーチャートで100位以内にランクインしていません。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月19日
(最新日のデイリーチャートはhttps://t.co/GZzzdtcJvjにて確認できます。)
#Number_i の作品は5月19日付のApple Musicデイリーチャートで100位以内にランクインしていません。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
(最新日のデイリーチャートはhttps://t.co/aNJvccTsJdにて確認できます。)
Apple MusicやLINE MUSICでは5月19日付デイリーチャートでKinKi KidsやSixTONES、嵐の作品が100位以内にランクインしていますが、Number_iの作品は入っていません。LINE MUSICにおいては最新5月20日付でも同様です。
ここから考えることについて、Xにてスレッドの形で記しています。
日本における5月19日付Spotifyデイリーチャートでは #Number_i の各曲が急上昇しています。これは同日リリースのフィジカルシングル収録曲が上昇したこと(前日はフライング的な形で初登場もしくは再登場)、また@SpotifyJPによる公式リスニングパーティー等が影響しています。 https://t.co/sQWjQKwcVN
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
この影響で、これまでのデジタルシングル「#BON」「#INZM」および「#GOAT」も、他の歌手の曲に比べて上昇、もしくは下降してもその度合は小さくなっています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
一方で、#Number_i が参加した #ジャクソン・ワン「#GBAD (Number_i Remix)」は再生回数前日比72.3%、51→67位に急落しています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
ここからは先週金曜以降急落した #JIN「#RunningWild」を想起した次第です。
#JIN「#RunningWild」は他のサブスクサービスより極端に順位が高い状態がSpotifyで続いていましたが、ニューアルバムリリース日に8→51位に急落すると、翌日には64位となり、5月18日付で200位未満に。最新5月19日付でも200位以内には入っていません。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
#JIN「#RunningWild」の動向からはファンダムによる以下の心理が想起可能です。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
・次のアルバムが出るまで推す
・再生回数が可視化されるゆえSpotifyで頑張れる
・その可視化ゆえ順位が下がればより頑張らなければと思う
・1億以上の再生回数を目指したい
・しかしアルバムが出たら再生先を移行する
日本における5月19日付Spotifyデイリーチャートで #Number_i の楽曲が上昇しながら、#ジャクソン・ワン「#GBAD (Number_i Remix)」が他の歌手の曲よりも大きく後退したのは、Number_iのファンダムの中に”次の作品が出たので再生先を移行する”という心理が働いたゆえかもしれません。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
その上で、”真の社会的ヒット曲とは何か”について記しています。
さて、重要なのはどの歌手においても同様に、その作品が”真の社会的ヒット曲に成るか”です。そのためには他のサブスクサービスの動向と比較する必要がありますが、Apple Musicでは5月19日付で、LINE MUSICでは5月19日付および20日付で、#Number_i の曲はデイリー100位以内に入っていません。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
#Number_i のファンダムにおいて、他の歌手のコアファンに比べてサブスク聴取先がSpotifyに偏っている可能性が考えられます。加えてライト層がついてきているとは言い難いのではとも捉えています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
#Number_i のファンダムは「#GOD_i」のフィジカルリリース週にビルボードジャパンソングチャートで同曲が総合首位に成ることを目指している可能性が考えられます。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年5月20日
ゆえに、少なくとも5月19日からの2週間の動向(フィジカルセールス加算2週目まで)を注視する必要があります。
この注視の重要性について、また日本のSpotifyにおいて”偏っている”と形容可能な傾向が生じていることについては、以前このブログで紹介しています。
Spotifyの公式リスニングパーティーに限らず、Apple Musicでのラジオ番組やLINE MUSIC再生キャンペーン開催等、各サブスクサービスはファンダムの獲得に力を入れてきています。それゆえ、ひとつのサブスクサービスだけでヒットを測ることは行ってはならないと厳しくも考えますが(ただしこれらサービスのうちApple Musicは最も信頼できるものと捉えています)、Spotifyの動向はより偏ってきているという印象です。
ゆえにビルボードジャパン側が極度な動きを踏まえてチャートポリシーを変更するか議論すること、およびその議論の間隔を短くすることは重要でしょう。そして同時に、チャートの見方が広く浸透することで、よりヒットしている曲、真の社会的ヒット曲はどれかを判断する力が鍵になってくると考えます。各サブスクサービスやビルボードジャパンが見直しに消極的ならば、判断力の音楽ファンへの浸透こそ必要だと感じます。
上記はCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーで掲載しているストリーミング表の最新版(この表を基とするエントリーは5月17日付エントリー(→こちら)にて公開しています)。自分は音楽チャート分析者として、上記ストリーミング表やブログ、Xにて客観的な視点でもって発信を続けていきます。