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Spotifyの長期エラーがようやく回復…その間の日本のデイリーチャートにおける興味深い動向をまとめる

このブログではSpotifyの長期エラーについて、今週火曜に紹介しています。

このエントリーを公開した火曜日以降、徐々にエラーは回復。しかしながら9月5日付以降のデイリーチャート(楽曲、歌手別およびバイラル)については、9月10日水曜午前9時台から段階的に公開され、同日昼前までに完全回復した模様です。

 

 

さて、自分はXにて日本のSpotifyデイリーチャートにおける主要トピックを毎日記載しています(9月5日付はこちら、9月6日付はこちら、9月7日付はこちら、9月8日付はこちらのポストを起点としてスレッドの形にて掲載)。また9月9日付(最初のポストはこちら)においては通常進行に戻っています。

今回の長期エラー発生に伴い、日本のSpotifyデイリーチャートでは複数の興味深い状況が見て取れます。今回はそちらについて紹介します。

 

Spotifyエラー発生時における、日本のSpotifyデイリーチャートでの興味深い動向>

 

 

(前提として) 日本のSpotifyデイリーチャートにおける主な特性

日本のSpotifyデイリーチャートの特性として、一日の区切りが午前0時以降であることがまず挙げられます(音楽チャートでの上位進出を熱望する歌手のファンダムによる分析等もあり、その区切りは午前9時とみられています)。実際、注目の新曲がリリース前日に、いわばフラゲ的な形で200位以内に初登場することがみられます。

 

もうひとつの特性は”50位の壁”と呼んでいるものです。日本のSpotifyではデイリー上位50曲をまとめたトップ50プレイリストの影響力が大きく、50位以内にランクインすることでプレイリスト入りし、再生回数が伸びる傾向にあります。デイリーチャートの更新は日本時間の22時以降であり、順調に更新されればプレイリスト入り直後10時間以上分が、翌日のデイリーチャートに反映されることになります。

 

 

(特徴①) エラー中にトップ50入りした曲に対し、”50位の壁”特性が機能しない

実は今回、9月5日にリリースされたKing Gnu「SO BAD」が、前提にて紹介した日本のSpotifyにおける前者の特性をなぞっていました。

しかしながらSpotifyのエラーに伴い”50位の壁”特性の恩恵を得られなかったKing Gnu「SO BAD」は、その後急落しています。無論この曲が9月6日付以降も聴かれ続けたならば状況は変わっていたものの、今回の動きからは(壁特性がないと思しき)海外の動向を想起した次第です。

 

もうひとつ。9月5日付以降のデイリーチャートが更新されなかったことで、トップ50プレイリストは9月5日夜から10日午前までの長期に渡り9月4日付分が掲載され続けたことになります。

そのこともあってでしょう、乃紫「1000日間」は9月5日付で一旦50位未満に後退しながらもプレイリストへのリストイン効果で翌6日付にて再度”50位の壁”を越え、現時点でその位置をキープしています。9月6日付における再生回数前日比の大きさからは、壁特性が反映されたと言って差し支えないでしょう。

 

なお、9月5日付では藤井風『Prema』リリース等に伴いマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」やMrs. GREEN APPLE「Magic」が50位以内から脱落していますが(『Prema』については後述)、9月4日付の上位50曲がトップ50プレイリストに残り続けたこともあってか、後日再上昇を果たしています(「なんでもないよ、」および「Magic」の脱落については先述したポストを参照)。

 

 

(特徴②) 急激な上昇曲が登場する

自分はXにてSpotifyデイリーチャートのトピックを紹介する際、初登場曲や”50位の壁”を越えた作品のみならず、平均に比べて再生回数前日比が大きく動いた曲についても紹介しています。その日々の発信にて、音楽チャートでの好結果を望むファンダムが多い歌手の主要曲については曜日特性等に関係なく急上昇や急落の動向が目立つということを感じています。

 

さて、9月6日付デイリーチャートでは興味深い動向がみられます。

9月6日付ではNumber_iの4曲が再生回数前日比2割以上を記録。また「GOD_i」も同118.3%となり、平均超えを果たしています。

Number_iの主要曲は他のサブスクサービスに比べてSpotifyで強く、ここからはファンダムの高い熱量がうかがえます。これは推測の域を出ないと前置きして記すのですが、ともすればSpotifyのエラーにより順位が可視化されず、”50位の壁”を越えてしまいかねないとの懸念が(本来9月5日付デイリーチャートが公開予定だった)9月6日22時台以降にファンダム内で共有されたことで、9月6日付における急浮上につながったかもしれません。

あくまで仮定といわれればそれまでですが、しかしながら「未確認領域」がこのタイミングで同曲最高のデイリー再生回数にあと2千弱となっていたことを興味深く感じています。

 

ちなみに9月6日付デイリーチャートでは、同じくSpotifyに強いJIMINによる「Be Mine」が100位以内にランクイン。他方、前日付ではこの曲が200位以内にも登場しておらず、この急浮上が気になります。Spotifyでロングヒットを続ける「Who」が、本来再生回数が伸びる傾向にある土曜付にて前日より数値を落としているのですが、その減少分が「Be Mine」に移行したという理由だけで説明は難しいだろうというのが私見です。

 

 

(特徴③) 藤井風『Prema』収録曲はどう推移したか

この項は特徴とは少し異なりますが、注目すべきといえる動向を紹介します。

 

9月5日は藤井風『Prema』のリリース日であり、先行リリースの2曲に加えてリリース日にミュージックビデオが公開されたタイトルトラックはいずれもアルバム配信日にて50位以内に登場。またアルバム収録の残る6曲も90位までに初登場しています。アルバムリリースは日本時間の金曜13時ゆえ、先行2曲以外は24時間フル加算ではないという状況で上位進出を果たしたことになります。

その後、先行リリースの2曲および「Prema」では”50位の壁”特性の恩恵は得られなかったものの、リリース日に初出演した『ミュージックステーション』や今週月曜放送の『徹子の部屋』(共にテレビ朝日)の話題もあってか、3曲は50位以内に残り続けています。無論恩恵を受けていたならば状況は変わったかもしれませんが、今回の安定は藤井風さんの新作に対する興味を多くの方が抱いていたことの結果かもしれません。

(なお、Spotifyが完全回復した後の9月10日付日本のデイリーチャート(こちらのポスト以降にてトピックを記載)にて、藤井風『Prema』収録曲でトップ50入りした曲は”50位の壁”特性の影響を受けたと思しき上昇を果たしています。さらに同日付では藤井風さん自身の注目度が高まったゆえか、「きらり」も50位以内に上昇しています。)

 

 

おわりに

Spotifyでデイリーチャートが更新されなかった9月5~8日付、そして回復後の動向までを踏まえ、Spotifyのエラーからみえてきた日本のデイリーチャートにおける特徴を紹介しました。

 

個人的にはエラー時における動向から、”50位の壁”特性の大きさをあらためて実感しています。King Gnu「SO BAD」のスタートダッシュに顕著なように新曲を能動的に聴く方の存在もみえながら、それ以上にヒット曲プレイリストを聴くという流れが今も根強いことを学んだ次第です。新作がリリース日から聴かれ続け、そして壁特性に伴い上昇するという藤井風『Prema』収録曲の動きが、今の日本の理想形かもしれません。

 

もうひとつ。今回のエラーおよびその解消について、SpotifyのXアカウント(→こちら)では言及がないままです。また技術サポートによるアカウント(→こちら)でも、エラー発生については遅ればせながら言及するも回復についての発信はみられません。

冒頭で紹介した今週火曜付ブログエントリーでは『エラー自体もさることながら、それを伝えない姿勢、エラーが数日続かなければ公表しないといえるSpotifyの態度には、音楽管理者としてどうなのかという疑問を抱きます』と記しました。音楽チャートの未更新により恩恵を得られなかった曲もあるゆえ尚の事、エラー発生時には即座にアナウンスし、謝罪した上で二度と起きない仕組みづくりを徹底するよう、強く求めます。