イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

来日公演が話題となったビリー・アイリッシュ、一方で最新アルバムの順位が大きく下がったことについて

先週末に来日公演を行ったビリー・アイリッシュのチャート動向を押さえます。

さいたまスーパーアリーナで行われた公演では8月16日土曜にYOASOBI、翌17日日曜には藤井風さんがオープニングアクトを務めることが開催直前に発表されたことも話題に。またビリー・アイリッシュはライブ開催前に『DayDay.』(日本テレビ)にも出演しています。

その2日間のライブ開催日までを集計期間とする8月20日公開分ビルボードジャパントップアーティストチャートでは、ビリー・アイリッシュが前週の100位未満から89位に順位を上げています。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

ビルボードジャパンによるトップアーティストチャートは、ソングチャートとアルバムチャートを合算したもの。最新8月20日公開分(集計期間:8月11~17日)ではフィジカルセールス(CHART insightでは黄色で表示)が23位、ダウンロード(紫)が84位と、所有2指標がいずれも前週の100位未満から上昇しています。またラジオ(黄緑)は76→17位と推移し、この指標が洋楽(K-POPを除く)に明るい傾向にあることがあらためて解ります。

 

一方で、CHART insightにて青で表示されるストリーミングは100位未満の状況が続いています。今回の来日公演は昨年リリースされたアルバム『Hit Me Hard And Soft』を引っ提げてのものですが、同作品のアルバムチャートにおけるストリーミング指標は前週の49位から100位未満に、総合でも49→84位に下がっているのです。

ビルボードジャパンは昨年最終週よりアルバムチャートにストリーミング指標を導入。ビリー・アイリッシュ『Hit Me Hard And Soft』はその導入初週にストリーミング指標が83位にランクインし、総合でも100位以内復帰を果たしています。その後6月4日公開分でストリーミング48位および総合51位に急浮上しているのですが、これは下半期初週にリカレントルールを導入したことに伴います。

リカレントルールはストリーミング指標の基となるチャートを指標化する際、一定週数以上ランクインする作品に対し減算処理を施すというもので、チャートの新陳代謝を促し新たなヒット作品を可視化します。ソングチャートでは総合53週以上、アルバムチャートでは同27週以上ランクインした作品が抵触対象となり、ビリー・アイリッシュ『Hit Me Hard And Soft』は前週が26週目の登場ゆえ今回減算が適用されたという形です。

一方で、『Hit Me Hard And Soft』はフィジカルセールスが14位、ダウンロードが27位となり、共に前週の100位未満から大きく上昇しています。仮に当週がリカレントルール対象初週でなかったならば、ストリーミング指標の前週までの上昇を踏まえれば尚の事、総合アルバムチャートでの上位進出は十分有り得たでしょう。

 

そこで指標化前のストリーミング順位を辿りたいと思っても、ビルボードジャパンはストリーミング指標の基となるStreaming Albumsチャートを公表していません。ソングチャートにおいてはStreaming Songsチャートが公表されているゆえ(指標化前の)実際のストリーミングヒット曲が解る一方、Streaming Albumsチャートは非公表ゆえリカレントルールを知らない方にとってはなぜ下がったのか疑問を抱くのではと考えます。

なお、前週8月13日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートにて当週のリカレントルール抵触が決まった平井大『Slow & Easy』(前週総合22位/ストリーミング指標19位)、サカナクション『sakanaction』(同38位/36位)およびYZERR『Dark Hero』(同66位/62位)は当週いずれも総合100位未満に。ゆえに、同じ条件下だったビリー・アイリッシュ『Hit Me Hard And Soft』はリカレントルールがなければさらに伸びたはずです。

 

 

ビルボードジャパンがアルバムチャートのストリーミング指標にリカレントルールを導入した直後、上記エントリーにてStreaming Albumsチャートの創設および発信を提案しました。ビリー・アイリッシュ『Hit Me Hard And Soft』のヒットの実態が可視化されにくくなった状況を踏まえ、ビルボードジャパンに対し今一度Streaming Albumsチャートの発信を提案させていただきます。