(※追記(12月7日6時26分):エントリーの冒頭にて、ビルボードジャパンによる2025年度年間チャートについて『今回から3日間に渡り、それぞれのチャートを深堀りしていきます』と記しましたが、アルバムチャートは12月8日、トップアーティストチャートは12月9日に公開することしました。つきましては文言を『今回から、それぞれのチャートを深堀りしていきます』へと変更しています。ご了承ください。)
(※追記(12月7日18時28分):ビルボードジャパンによる2025年度年間ソングチャートの記事リンクを掲載したポストを、エントリー内に追加しています。)
ビルボードジャパンは昨日、2025年度各種年間チャートを発表しています。
このブログではソングチャートを主体に分析等を実施したエントリーを同日朝に公開。ビルボードジャパンによる記事等をまとめたエントリーも用意し、上記エントリー内にリンクを掲載しています。
ビルボードジャパンによる年間チャートはソングチャート、アルバムチャート、そして双方を合算したトップアーティストチャートのいずれも100位まで公開されています。そこで今回から、それぞれのチャートを深堀りしていきます。本日はソングチャート編です。なお総合ソングチャートの記事は下記ポスト内リンク先をご参照ください。
【ビルボード 2025年 年間Hot 100】Mrs. GREEN APPLE「ライラック」が首位(コメントあり) https://t.co/UDhO4bPZIZ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
下記表ではビルボードジャパン年間ソングチャート総合50位までにおいて、各指標の基となるチャート(Top Singles Salesチャート、Download SongsチャートおよびStreaming Songsチャート)の100位までの順位および20位までの数値、指標化後の順位、および週間ソングチャートの順位推移を記しています。また、各指標の基となるチャートで20位以内に入りながらも総合では100位以内に入らなかった曲も、表に含めています。
(なお下記表に掲載した指標化後の順位は、CHART insight有料会員が確認可能なものです。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)




週間順位推移をみると、リカレントルール採用が大きく影響していることが解ります。Streaming Songsチャートからソングチャートのストリーミング指標に移行する際の減産率は明らかになっていませんが、3分の1程度になるものとみられます。
特に下半期初週にあたる27週目、すなわちリカレントルールが初めて採用された週に減産処理を受けた曲は少なくありませんが(上記表では初採用週を太枠で表示)、その中にあってMrs. GREEN APPLE「ライラック」は減算処理適用後も唯一、通算4週に渡り総合トップ10内返り咲きを果たしています。この曲の勢いの継続が、年間ソングチャート制覇につながったと考えるのは自然なことです。
そのストリーミングにおいては指標の基となるStreaming Songsチャートと指標化後の順位とで差が生じています。そのうち前者でトップ10入りしながら後者でトップ10圏外となったのはMrs. GREEN APPLE「青と夏」(基チャート5位/指標化後11位)およびMrs. GREEN APPLE feat. 井上苑子「点描の唄」(10位/16位)。米津玄師「IRIS OUT」(基チャート11位/指標化後7位)、サカナクション「怪獣」(12位/8位)が入れ替わっています。
ストリーミング指標化前後のどちらの順位がよりヒットを示しているか、チェックする方によって判断は異なることでしょう。どちらの判断も尊重するとして、より大事なことはリカレントルールの適用、およびその導入判断について、ビルボードジャパンが周知徹底を行うことだと強く考えます。
2025年は、下半期初週にあたる6月4日公開の“JAPAN Hot 100”より、52週チャートインした楽曲のストリーミング・ポイントを一定の割合で減算する“リカレントルール”を適用したことが大きなトピックとなった。
【ビルボード 2025年 年間Streaming Songs】Mrs. GREEN APPLE「ライラック」が年間でも首位、史上初のストリーミング年間トップ5を同一アーティストが独占 https://t.co/4UzsyRUXJk
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
『大きなトピックとなった』のは間違いないでしょう。しかしながらチャート設計思想も含め周知徹底が十分ではなかったことで、”あの歌手/作品ばかり上位にいたのはずるい”、もしくは”なぜ好きな歌手の作品ばかりが憂き目に遭うのか”等の意見が今も散見されます。チャートポリシー(集計方法)変更自体は必要と考えますが、”大きなトピック”にはネガティブな声もあることを考えれば、周知徹底を常時行うことが必要でしょう。
減算処理については、フィジカルセールスの指標化時においても同様です。一定枚数以上の週間セールスに対し、その一定枚数を超える分に減算処理が施されています(当初30万枚だったものが現在では4万枚と推測されます)。2017年にこのチャートポリシーが導入されたことでデジタルヒットが可視化される等、導入がビルボードジャパンソングチャートの信頼度を高め、より社会的ヒット曲の鑑になっていったというのが私見です。
【ビルボード 2025年 年間Top Singles Sales】初週120万枚突破の快挙、INI『THE WINTER MAGIC』が自身初の年間首位(コメントあり) https://t.co/fePIpL5BdO
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
指標化前となるTop Singles SalesチャートではINI「Present」をリード曲とする『THE WINTER MAGIC』が首位を獲得しているのですが、ソングチャートのフィジカルセールス指標では22位と大きく乖離しています。これは「Present」が年度内最終週に加算されたこともあるとして、先述した減算処理が週間単位にて行われ、累計単位ではないことが影響しているといえます。
Top Singles Salesチャートで10位未満ながら指標化後にトップ10入りを果たしたのはAKB48グループ(AKBグループ)による5作品となります。当該グループをはじめ、最近ではフィジカルリリース後のフィジカル施策に伴いセールスが再浮上し、総合でも100位以内に返り咲く例が散見される一方、他指標が伴っていないため施策終了後の急落が目立ちます。そして、指標化前後における順位の乖離は大きくなっている印象です。
2025年度のTop Singles Salesチャート上位20曲はいずれも、総合ソングチャートで年間100位以内に入っていません。フィジカルセールスの重要度が高くないだろうこともチャートポリシーが変わらない理由かもしれませんが、(議論した上でチャートポリシーを変更しないと判断しているとしても)フィジカルセールス指標化時の減算処理は累計売上に対し施すことが必要ではないかということを、表から再認識した次第です。
さて、2024年度における表をこちらに再掲します。
・2024年度ビルボードジャパン年間ソングチャートの記事から表を作成、みえてくるものとは(2024年12月7日付)より
指標の基となるチャートでは20位までの数値が判明していますが、2025年度においてはフィジカルセールスは若干減少、ストリーミング再生回数は上位が減少するも20位の水準はあまり変わっていません。一方でダウンロード数は年々減っていると感じています。
【ビルボード 2025年 年間Download Songs】米津玄師「Plazma」上半期に続いて首位獲得 Mrs. GREEN APPLEが2位に続く https://t.co/lSXuFRu6XR
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
一方で上位の顔ぶれは、同じ所有指標であるフィジカルセールスがアイドルやダンスボーカルグループで占められたのに対し、ダウンロードではアニメ関連曲の強さも目立ちます。歌手のみならずタイアップ作品のファンダムが、対象への支持をダウンロード購入という形で示しているのかもしれません。
なおダウンロードは指標化時に減産処理が行われないため、基となるDownload Songsチャートと指標化後で順位は変わっていません。このチャートならびに指標ではSnow Man「カリスマックス」が6位に入っていますが、同曲を収録したアルバム『音故知新』がフィジカルリリース時までにアルバムとしてデジタル解禁されていたならば単曲ダウンロードが促進された可能性、またストリーミングがより伸びたことも推測されます。
総合ソングチャートの上位作品はストリーミングが強く、週間順位も安定していることが解ります。そしてビルボードジャパンソングチャートが社会的ヒット曲の鑑としての役割を高めて以降、この年間チャートの顔ぶれに納得、また理解できると感じる方は増えているのではないでしょうか。
昨年も記しましたが、ビルボードジャパンによる年間チャートの記事からは様々な気付きを得ることができます。記事から今のヒットの形を知り、そして推す歌手がいるならばその方の作品についてチャート上で評価できる点のみならず課題も見つけ、特に後者についてはコアファン同士で(歌手側と話せる機会があれば歌手側と)議論するのが好いでしょう。
特にアイドルやダンスボーカルグループにおいては、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への出場を目指す方が多いと考えます。ビルボードジャパンソングチャートでのヒットがひとつの大きな条件に成っていることを踏まえれば尚の事、デジタルヒット(特にストリーミングヒット)を輩出することが重要となるでしょう。
最後に、年間ソングチャートにおける上位20曲のCHART insight(総合および構成指標の週間単位での推移)を貼付します。
<2025年度ビルボードジャパン年間ソングチャート 上位20曲のCHART insight>
※ 1位から順に掲載。
※ 年度最終週(2025年11月26日公開分)までの最大60週分を表示。
※ 順位、チャートイン回数は2025年11月26日公開分のそれを指します。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位(棒グラフ表示)、および構成指標等(折れ線グラフ表示)において、いずれも100位まで表示
(今回紹介するCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成




















