最新9月4日公開分(集計期間:8月26日~9月1日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週首位に初登場したNumber_i「INZM」が13位に後退、ME:I「Hi-Five」が前週の69位から首位に到達しています。
【ビルボード】ME:I「Hi-Five」で自身初の総合首位 なにわ男子「コイスルヒカリ」が続く https://t.co/FdElJRpne9
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年9月4日
当週新たにトップ10入りした5曲はいずれもフィジカルセールス(指標の基となる売上枚数)が7万枚を突破。しかしこの指標2位のME:I「Hi-Five」と他の4曲とでは指標構成が異なります。フィジカルセールスはME:I「Hi-Five」が263,331枚に対し、なにわ男子「コイスルヒカリ」は432,017枚でしたが、総合ソングチャートにおける獲得ポイントは「Hi-Five」が10,340に対し「コイスルヒカリ」は7,902となり、逆転しています。
ME:I「Hi-Five」はラジオで2位に。この指標はプランテックによるOAチャートに基づき調査対象局の聴取可能人口等を加味して算出されますが、ビルボードジャパンの記事によると前週比413%と急伸。OAチャートの記事では定期枠でのまとまったOAや積極的なプロモーションが功を奏したとあり、歌手側の施策が影響した形です。一方でリクエストによるOAも多数確認され、今後はこちらを如何に伸ばすかが重要となるでしょう。
そしてME:I「Hi-Five」はストリーミングが前週比112%を記録し、同指標79位に。ME:Iのデビュー曲「Click」はフィジカルシングルが初加算となった4月24日公開分で12,366ポイントを獲得し総合2位に達していますが(同週首位はCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」)、その際のストリーミング指標は17位であったことから、前作からのポイント減少はストリーミングに因る部分が大きいかもしれません。
(上記は4月24日公開分のビルボードジャパンソングチャートにおけるME:I「Click」のCHART insight。ストリーミング指標は青で表示されます。)
とはいえ、Apple Music、SpotifyおよびLINE MUSICといった主要サブスクサービスの週間チャートにてME:I「Hi-Five」は順に94位、100位および69位を記録(集計期間はサービスにより異なります)。順位こそ高くないながら安定したことでストリーミング指標が加点され、総合での逆転につながった形です。フィジカルセールス指標加算2週目となる次週、接触指標群を充実させトップ10内をキープできるかに注目です。
他方、なにわ男子「コイスルヒカリ」はストリーミング指標300位未達となり加点されませんでした。
映画『恋を知らない僕たちは』の主題歌である「コイスルヒカリ」は、なにわ男子が最新アルバムやこれまでのフィジカルシングル表題曲をデジタル解禁して以降初となるフィジカル/デジタル同時リリース曲。初週フィジカルセールスは前作「I Wish」が395,721枚(2023年11月22日公開分)に対し今作は432,017枚となり、デジタルリリースがフィジカルセールスを削るわけではないと解ります。
(上記は2023年11月22日公開分のビルボードジャパンソングチャートにおけるなにわ男子「I Wish」のCHART insight。リリース当時はデジタル未解禁のためストリーミング、およびダウンロード指標(紫で表示)は加点対象外となります。なおCHART insightは今年春にリニューアルしており、上記掲載分はリニューアル前のものです。)
フィジカルセールス指標初加算時のポイントも7,438→7,902と伸ばしたなにわ男子ですが、しかしストリーミングが300位以内に入れば状況は大きく異なったことでしょう。
Spotifyが主に日本の最新曲を採り上げる #NewMusicWednesday プレイリスト(https://t.co/Lym8tsDJrb)、8月28日公開分で #なにわ男子「#コイスルヒカリ」が入っていなかったのはライト層へのリーチという点で勿体無いと感じます。Spotifyの選定基準は解りかねますが、アプローチは必要でしょう。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年9月2日
接触指標群の上昇に積極的な歌手やコアファンが増えたと感じる中、一方でSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手(歌手側およびコアファン)のデジタルへの向き合い方、熱量は大きくないというのが私見です(上記ポストもそれを感じるに十分です)。加えて「コイスルヒカリ」は「I Wish」に比べ動画再生指標(CHART insightでは赤で表示)も小さく、フィジカルシングル同梱の映像盤に未収録となる動画の新規公開も必要と考えます。
デジタルへの意識の変化、そしてそれに伴う施策の遂行は、ビルボードジャパンでの最高位獲得や上位安定の可能性を高めます。それには事務所の意識のみならず、"デジタルはフィジカルを凌駕しかねない"という一部ファンに宿るかもしれない考えや"どうせデジタル未解禁では"という(事務所へのイメージから来る)市井の認識も変える必要があります。ミュージックビデオフル尺公開も含め、サブスク解禁の周知徹底は必須です。