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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Aぇ! group『D.N.A』とONE OK ROCK『DETOX』、アルバムチャートトップ2の動向から次週以降を読む

2020年からポッドキャストBillboard Top Hits (通称:ポッドチャート)】を毎週発信しています。ビルボードジャパンがアルバムチャートの発表を木曜に変更したことを踏まえ、ポッドキャストにおいても今年から木曜19時に公開しています(YouTubeでの公開はわずかですが遅れます)。

今回はポッドキャストでも紹介した、最新のビルボードジャパンアルバムチャートについて紹介します。

 

 

昨日発表されたビルボードジャパンアルバムチャート(2月26日公開分(集計期間:2月17~23日))では前週首位のMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』が3位に後退、Aぇ! group『D.N.A』およびONE OK ROCK『DETOX』がトップ2を占めています(記事は後述)。

一方で、『D.N.A』と『DETOX』の指標構成は大きく異なります。

上記CHART insightではフィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青で表示。Aぇ! groupはフィジカルデビュー以降デジタル未解禁を続けていますが、フィジカルが26万枚以上売り上げたことで『D.N.A』は総合首位を獲得した形です。以前記載した内容があらためて証明されたといえますが、一方でデジタル未解禁はフィジカルセールス加算2週目における総合チャートでの急落を高めるものと考えます。

10万台後半以上のフィジカルセールスを記録すれば総合首位の可能性が高まるもののストリーミングが高くなければ翌週急落、ゆえにトップ10キープには10万枚程度のフィジカルセールスが必要…チャートポリシー変更後のビルボードジャパンアルバムチャートからはこれらの傾向がみえてきました。

 

さて、Aぇ! groupと同じSTARTO ENTERTAINMENTに所属する増田貴久さんのソロアルバム『喜怒哀楽』はデジタル解禁効果もあり前週トップ5入りを果たしましたが、当週は100位圏外に後退しています。

8万5千を超えるフィジカルセールスを記録しダウンロード指標共々首位、またストリーミングも100位未満ながら加点されたことで総合4位に初登場した増田貴久『喜怒哀楽』ですが、当週はフィジカルセールスが1,516枚となり、ストリーミング指標は加点を続けるも総合100位以内に入ることはできませんでした。前週の動向については下記エントリーで紹介しています。

101~300位における詳細な順位は不明ながら、『喜怒哀楽』はストリーミング指標でも順位が下がったと考えられます。それでも初登場時の指標構成(上記エントリー掲載)より当週までの2週分におけるストリーミング指標の割合が大きくなっていることを踏まえれば、ストリーミングの重要度が理解できるでしょう。この指標が安定していれば、所有指標の再上昇に伴い総合でも100位以内に返り咲く可能性は十分考えられます。

 

 

ストリーミングの重要度という点は、ONE OK ROCK『DETOX』からもみえてきます。同作はフィジカルセールス66,360枚およびダウンロード5,404DLを記録していますが、(フィジカルセールス1枚よりダウンロード1DLのほうがウエイトが大きいゆえ単純な合算はあまり意味をなさないものの)7万1千を超えるユニット数とほぼ同等のポイントをストリーミング指標で獲得していることが、先述したCHART insightから解ります。

ONE OK ROCK『DETOX』のリリースは2月21日金曜。リリース日は(海外展開に即する形で)米ビルボード等の音楽チャート集計初日である金曜に設定したと推測され、日本のチャートでは初登場週にてわずか3日分がカウント対象となるのですが、それでも『DETOX』は総合2位に。集計対象期間が短いことで所有指標よりも不利となるストリーミングにおいても、3位という高位置につけています。

ONE OK ROCK『DETOX』におけるストリーミングの強さから、『Eye of the Storm』初登場時の記録を想起した次第。フィジカルとデジタル(特にストリーミング)の同時解禁は今ほど多くはなかったのですが、ONE OK ROCKはストリーミングをきちんと解禁したことで大きなインパクトを残しています。それがコアファン主体に"リリース時からデジタルで聴く"という姿勢の構築につながり、今に至っているのかもしれません。

 

 

このブログでは先日、"ビルボードジャパンアルバムチャートでのヒットの8段階"を掲載しました。ストリーミング指標を組み入れたことで昨年末以降に大きく変わったこのチャートの動向を踏まえ、作成したものです。

当週のアルバムチャートではONE OK ROCKの旧譜が上昇していますが、その要因を踏まえれば『DETOX』は上記表における第7段階に該当していくのかもしれません。今後この作品がロングヒットしていくか、注目です。

なお、100位内を見てみると、『Nicheシンドローム』が49位、『Eye of the Storm』が64位、『Luxury Disease』が93位にチャートイン。いずれもストリーミングが大きく牽引している。