イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「INZM」が首位に…今年3曲目の2位以内初登場曲を輩出したNumber_iの強さと今後の注目点

最新8月28日公開分(集計期間:8月19~25日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週首位に初登場したBE:FIRST「Blissful」が8位に後退。Number_i「INZM」が初登場で首位を獲得しています。

本作は9月23日にリリースされる1stフルアルバム『No.Ⅰ』からの先行配信。「GOAT」の初週64,321DLに次ぐ54,560DLでダウンロード首位、さらにラジオと動画も制し、3冠で総合1位デビューを飾った。

Number_iはデビュー曲の「GOAT」が今年1月10日公開分で首位初登場、またミニアルバムのリード曲「BON」が6月5日公開分にてJO1「Love seeker」に次ぐ2位に初登場。今作「INZM」も含め初登場時の"ダウンロード、ラジオおよび動画再生指標首位" "ストリーミング指標20位以内"および"初週1万4千ポイント超え"という点が共通しています。なお「GOAT」は、フィジカルセールス指標初加算週に2位再浮上を果たしています。

3曲の初登場時におけるCHART insightをみると、指標構成も似ていることが解ります。

(CHART insightは今年春にリニューアルを実施し、表示内容が変わっています。また各指標はフィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青、ラジオが黄緑、動画再生が赤およびカラオケが緑で表示されます。またCHART insightリニューアルに伴い総合順位が折れ線グラフから棒グラフに変化したため、その総合順位における100位未満300位圏内と300位圏外との見極めが不明瞭と成っています。)

 

動画の充実(公開タイミング含む)やラジオプロモーションの徹底、デジタルキャンペーンの充実、歌手側やファンダムによるStationhead活用とNumber_iメンバー本人の出演…これらが初動における高水準の要因と捉えています。なおStationheadはSpotifyの有料会員およびApple Music会員が音楽付きで聴取可能となり、これらサブスクサービスでの再生回数上昇につながります。

さらに、最新8月28日公開分のソングチャートではNumber_i「GOAT」「BON」が再浮上。最新ソングチャート記事にあるようにストリーミングと動画再生が伸び(ストリーミングは「GOAT」が77→59位および「BON」が55→45位、動画再生は「GOAT」が19→11位および「BON」が17→9位に)、総合でも「GOAT」が78→58位、「BON」が53→40位に上昇しています。

「INZM」においてはApple Music12位(集計期間8月19日以降)、Spotify42位(同8月16日以降)、LINE MUSIC29位(同8月21日以降)といずれの週間チャートでも上位に。過去曲のフックアップ共々歌手自体のステップアップ、ライト層の拡充と考えていいかもしれません。その一方、Spotifyで「GOAT」が週間35→28位、「BON」が同40→32位と上昇したのに対し、Apple MusicやLINE MUSICでは2曲とも100位未満の状況が気になります。

 

Stationheadの影響はApple MusicよりもSpotify如実に表れる傾向にあります。接触指標群の上昇はライト層(歌手のファンというわけではないものの曲が気になる方)の拡大に映るのですが、今後「INZM」でも主要サブスクサービス間で乖離が生じてきたならば、同曲はコアファン(特に音楽チャートを強く意識するファンダム)の熱量の高さがより大きく反映されたものと判断していいかもしれません。

 

それでも、ファンダムの熱意そして運営側の的確な施策により"Number_iは初登場時にソングチャート最上位を狙える歌手になった"と断言していいでしょう。ならばそのヒットを継続させることが、Number_iにおける次の目標だと考えます。

上記表はアイドル/ダンスボーカルグループにおけるビルボードジャパンソングチャートの”ヒットの7段階”(8月26日付)で掲載したもので、Number_iは「GOAT」、また「BON」でも第4段階にあると捉えています。ただ一方で主要サブスクサービス間の乖離、また総合ソングチャートで100位以内をキープしながらもより高い位置で安定しているわけではないことを踏まえ、第5段階の手前でとどまっているものとみています。

Number_iはフィジカル未リリースの作品でも上位を狙えるという意味では第6段階を目指せるというのが私見です。そのためにはやはりライト層の拡充が求められるでしょう。