最新8月28日公開分(集計期間:8月19~25日)のビルボードジャパンソングチャート、前週初登場で首位を獲得したBE:FIRST「Blissful」は8位に後退しましたが、トップ10内をキープしています。
「Blissful」は今週水曜にフィジカルリリース、その2日前の月曜にはデジタル先行で解禁されたセカンドアルバム『2 BE』のリード曲。実はビルボードジャパンによる2022年度以降のソングチャートにおいて、フィジカルセールス指標未加算の作品で首位獲得の翌週にトップ10圏外に脱落したのはBE:FIRSTによる2曲(単独での「Scream」(2022)およびATEEZとのコラボレーション曲「Hush-Hush」(2024))のみでした。
ゆえに「Blissful」において、最新チャートの動向を注視していると前週の段階で述べたのですが、最終的に「Blissful」はトップ10内をキープしています。では今回の要因を、「Scream」および「Hush-Hush」と比較して述べてみます。
<BE:FIRST「Scream」「Hush-Hush (ATEEZとのコラボ)」および「Blissful」における
ビルボードジャパンソングチャート首位獲得の翌週動向>
※CHART insightの説明
(CHART insightは今年春にリニューアルしており、表示内容が変更されています。)
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
水色:Twitter (2023年度以降廃止されています)
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
(今年春にリニューアルを果たす前は、総合順位および構成指標100位まで表示)
[チャート構成比について]
最新週における指標毎のポイント構成
(CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明していますが、現時点では変更前と変わらず最新週における構成比を示しているものと思われます。)
・「Scream」
2022年8月3日公開分 1位 / 10,692ポイント
→2022年8月10日公開分 15位 / 3,433ポイント (前週比 32.1%)
・「Hush-Hush」(ATEEZとのコラボレーション)
2024年7月10日公開分 1位 / 9,631ポイント
→2024年7月17日公開分 23位 / 3,226ポイント (前週比 33.5%)
・「Blissful」
2024年8月21日公開分 1位 / 9,816ポイント
→2024年8月28日公開分 8位 / 5,052ポイント (前週比 51.5%)
2022年度以前と2023年度以降とではチャートポリシーが大きく変わっており(ルックアップおよびTwitter指標が2023年度以降廃止)、ゆえに「Scream」と他2曲を単純に比較することはできませんが、「Blissful」においてはラジオの強さが際立っていることが解ります。
ラジオ指標はプランテック調べによる、全国31のラジオ局におけるOAに基づき各放送局の聴取可能人口等を加味して算出されるものですが、東京をはじめ大都市圏のラジオ局が対象となっています。そして首都圏のラジオ局のひとつ、J-WAVEでは今週になってこのようなキャンペーンが組まれています。
当週はBE:FIRSTのセカンドアルバム『2:BE』リリース週でもあるのみならず、首都圏ラジオ局にとっては聴取率調査週間であり、多くの局が豪華ゲストや豪華プレゼント等を用意する傾向にあります。その中でJ-WAVEはBE:FIRSTをこの1週間、(首都圏ラジオ局において)出演を独占する形を採っています。
ここから考えられるのは、最新8月28日公開分ビルボードジャパンソングチャートの集計期間中(8月19~25日)において、BE:FIRST独占出演の予告として「Blissful」がよくOAされたという可能性。J-WAVEではOAが大きな影響を及ぼす『TOKIO HOT 100』8月25日付チャートにおいて「Blissful」は3位となり、「Hush-Hush」の33位(2024年7月14日付)を大きく上回っています(なお「Scream」は2022年8月7日付で4位に入っています)。
そしてもうひとつ考えられるのは、ポップソングが人気に成りやすいということ。
・BE:FIRST「Masterplan」登場2週目、KAMIGATA BOYZ「無責任でええじゃないかLOVE」初登場週の動向を掴む(5月10日付)より
上記は「Masterplan」までのフィジカルシングル5作品の、表題曲におけるフィジカルセールス指標初加算週および2週目の動向。5作品のうちラジオ指標で2週連続首位を獲得しているのはポップソングの「Smile Again」のみとなっています。またこの中では唯一デジタル先行となった(フィジカルリリース週の月曜以前にリリースされた)「Bye-Good-Bye」も、デジタルリリース時に2週連続でラジオ指標を制しています。
最近はヒップホップ度を高めているBE:FIRSTですが、ポップソングの需要がより高いだろうことがラジオ業界の動向からみえてきます。また直近8月28日付のSpotifyデイリーチャートにて「Blissful」(70位)に次いで高位置に付けたのが「Boom Boom Back」(79位)であり、ヒップホップテイストの曲の中でもよりキャッチーな作品が人気だと見て取れます。
ともすればライト層への訴求において、ポップやキャッチーさを持ち合わせた曲を用意することが、楽曲単位でヒットを輩出し、歌手のステップアップを果たすという意味でも重要かもしれません。
BE:FIRSTはテレビアニメ『ONE PIECE』(フジテレビ)の新たなエンディング主題歌を担当することがアナウンスされており、ともすればこの曲がライト層拡充の鍵になるのではと考えます。そしてそこで惹き込まれた、いわゆる沼の入口に立った方々にヒップホップテイストが強い等いわゆるドープな作品を触れさせるのが好いのではないかと感じた次第です。