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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年7月17日公開分)

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で先月復活しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする曲、年間チャートで上位に進出する曲と位置づけています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

急落傾向はここ最近、特に目立っています。ソングチャートのトップ10は週平均5曲程が毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

 

<2024年7月17日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

最新週における指標毎のポイント構成

 (CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明しています。)

 

・BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」

 7月10日公開分 1位→7月17日公開分 23位

・TOMORROW X TOGETHER「ひとつの誓い (We'll Never Change)」

 7月10日公開分 2位→7月17日公開分 37位

・aespa「Hot Mess」

 7月10日公開分 6位→7月17日公開分 22位

・YOASOBI「UNDEAD」

 7月10日公開分 10位→7月17日公開分 11位

当週におけるストリーミングの動向表はこちら。

 

TOMORROW X TOGETHER「ひとつの誓い (We'll Never Change)」(2→37位)およびaespa「Hot Mess」(6→22位)はいずれも、当週における獲得ポイントの過半数がフィジカルセールス指標で占められています。フィジカルセールスは前者が17,520枚、後者が27,852枚と好調をキープしていますが、ストリーミング指標にデータを提供する主要サブスクサービスの順位が高くないことから、総合での上位キープは難しいでしょう。

 

そして前週初登場で首位を獲得したBE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」は23位に後退しています。フィジカル未リリース作品で首位を獲得した同曲については、最上位到達のタイミングで以下のように記しました。

BE:FIRSTによるビルボードジャパンソングチャート制覇7作品うち、「Scream」「Boom Boom Back」および今作「Hush-Hush」はデジタルのみでのリリース。フィジカルセールス指標未加算ながら初動が大きい状況は、初週のポイント最大化を目指す歌手側の施策、コアファンのチャート意識の高さ、そして相互の強固な関係性(支え合い)も大きく影響しているといえるでしょう。

 

一方で、次週の動向を注視する必要があると考えます。

(中略)

BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」はBE:FIRSTのセカンドアルバム『2:BE』からの先行リリースであり、『BE:1』(2022)における「Scream」と似た位置付けといえます。その「Scream」はデジタル加算2週目(2022年8月10日公開分)にビルボードジャパンソングチャートで首位から15位に後退。デジタルのみのリリース曲で首位獲得の翌週にトップ10圏外となるのは、2022年度以降では「Scream」のみという状況です。

「Hush-Hush」においてはLINE MUSICにて7月3~9日を集計期間とする週間チャートを制した際に応募者全員プレゼントが用意され、実際LINE MUSICでは週間首位に立っています。その勢いが翌週にも反映されたといえる一方、他のサブスクサービスとの乖離が生まれている状況です。ともすれば次週、LINE MUSICでもダウンすることで総合ソングチャートに波及する可能性が考えられます。

 

 

BE:FIRSTについては『ビルボードジャパンソングチャートをより重視し、同チャートでのいわば必勝パターンを身に着けた』と以前記しました(【ビルボードジャパン最新動向】BE:FIRST「Masterplan」、首位初登場の要因と今後注視すべき点(5月2日付)より)。この表現がライト層への浸透を踏まえたものではないとの指摘をいただきましたが、今作のチャート動向からは以前記した形容が間違いではなかっただろうと感じています。

BE:FIRSTを輩出したSKY-HIさんは前週、首位獲得を踏まえこのように発言していますが、今回の動向からは週間チャートを制した「Hush-Hush」が真の社会的ヒット曲に成ることは難しいと考えます。そしてフィジカル未リリース曲における首位からトップ10圏外への後退という今回の事例は、ビルボードジャパンにおけるチャートポリシー変更議論の契機にも成り得るかもしれません。

 

ビルボードジャパンソングチャートではフィジカルセールスに強い曲がその初加算時に上位進出することが今も多い状況ですが、フィジカル未リリース曲での最上位到達は凄いことです。一方でそのヒットを継続し、ライト層にヒットを波及させることがより社会的ヒットに近づきます。【当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む】というエントリーは、後者の可能性を見極めるために用意したものです。

BE:FIRSTやBMSGに限らず、世界を目指す歌手に必要なのはライト層を広く獲得し安定したヒットに至ることであるということは、米ビルボードによる米ややグローバルのソングチャート、また米ビルボードによるアルバムチャート(ストリーミングも導入)の動向からも断言できることです。

「Hush-Hush」は7月20日付Global 200(→こちら 集計期間は7月5~11日)で200位以内に入らず、またビルボードジャパンによる最新7月18日公開分のGlobal Japan Songs Excl. JapanやJapan Songs (韓国)チャートでも20位以内に登場しなかったことは気掛かりだというのが、率直な私見です。