イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の当週動向、およびラジオ指標の存在感が高まっているだろう件について

一昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、一方で所有指標ばかりが強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで毎週半数が入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。ロングヒット曲ではライト層の支持を大きく反映するストリーミングが強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、ロングヒットするか否かを1週分のチャートのみで判断することは難しいといえるかもしれません。

このブログではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、”前週トップ10初登場曲の最新動向”エントリーを掲載する理由です。

 

 

<5月27日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・超特急「ガチ夢中!」

 5月20日公開分 1位→5月27日公開分 80位

・Aぇ! group「でこぼこライフ」

 5月20日公開分 6位→5月27日公開分 100位未満

・宇多田ヒカル「パッパパラダイス」

 5月20日公開分 7位→5月27日公開分 24位

・ILLIT「It's Me」

 5月20日公開分 8位→5月27日公開分 7位

 

また、前週トップ10内に再浮上した作品の当週動向はこちら。

・Mrs. GREEN APPLE「lulu.」

 5月20日公開分 9位→5月27日公開分 8位

 

当週のストリーミング表はこちら。

 

前週首位の超特急「ガチ夢中!」は80位に急落。前作のフィジカルシングル表題曲「NINE LIVES」は2025年10月1日公開分にて3位初登場を果たした翌週に12位へ後退(ポイント前週比は24.3%を記録)してしていることもあって尚の事、「ガチ夢中!」での勢いは後退したようにみえるかもしれません。一方、今作でLINE MUSIC再生キャンペーンを実施していないことは考慮する必要があります。この点は前週紹介しています。

LINE MUSIC再生キャンペーンを実施していないことでLINE MUSICと他のサブスクサービスとでの乖離は縮まったといえる一方、「ガチ夢中!」はストリーミング指標が100位未満(300位圏内)→300位未満となり未加点となったことも、当週の急落に影響した形です。再生キャンペーン未採用は下落幅の大きさにつながるとして、その姿勢を今後も続けるならばこれまで以上にライト層の獲得に注力することが重要となるはずです。

 

さて当週は宇多田ヒカル「パッパパラダイス」が7→24位に後退、ポイントは前週比46.8%となり半減しています。ストリーミングが前週の75位、動画再生は同84位から共に100位未満へと後退していますが、今回のポイント減少についてはラジオ指標(1→3位)の基となるラジオオンエアチャートの推移も大きいと捉えています。

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標は、30を超える全国主要ラジオ局によるオンエアチャート(プランテック調べ)を基に、各放送局の聴取可能人口等を加味して算出されます。最新週の記事では宇多田ヒカル「パッパパラダイス」が『オンエア数自体は前週比64%減』となっており(『』内は上記リンク先より)、ラジオ指標の前週からの反動が総合チャートにも影響したといえるでしょう。

(なお前週5月20日公開分ソングチャートにおけるプランテックのオンエアチャートでは「パッパパラダイス」が『前週比155%のオンエア増で首位へと浮上』(【プレイリスト付 エアモニ】宇多田 圧巻リクエスト数で1位/OddRe: 大量OA効果露わに/超特急 TOP3発進/洋楽注目作・大野雄二氏曲が急伸 | Musicman(5月20日付)より)。総合ソングチャートでのポイント前週比は158.2%であり、前週もラジオが大きく影響したといえます。)

 

 

最近では総合ソングチャートにおけるラジオ指標の存在感が高まっていると感じます。男性アイドル/ダンスボーカルグループ主体に新曲リリース週に施策に伴う定期オンエアが増加、Mrs. GREEN APPLE等においてリリース2週目以降にオンエアが増加、パワープレイ効果により1ヶ月程度上位で安定等、これらの動きが総合チャートにより強く影響を与えているという印象です。

当週のラジオ指標を制したOddRe:「睡る君」は、パワープレイによるヒットの代表例といえます。

OddRe:「睡る君」はラジオ指標が12→3→4→1位、総合では初週100位未満ながらその後37→32→30位と推移。他方、CHART insight右上に表示された累計ポイント構成比をみるとラジオ指標が獲得ポイントのほぼすべてを占めています。2週前にダウンロードが100位未満ながら加点された以外は、ラジオ指標以外の加点がないという状況です。

 

一般社団法人日本レコード協会による音楽メディアユーザー実態調査(上記リンク先にて年度毎の資料が掲載)にてラジオの影響力を調べると、2025年度における音楽の聴取方法調査ではラジオが15.4ポイントだったのに対し、10年前の2015年における主な音楽聴取手段ではラジオが19.6%となっています。単位の違い等から単純比較はできないだろうとして、しかしラジオの影響力は下がっているといえるでしょう。

その中で、ラジオを意識した施策を実行する歌手が増え、結果としてビルボードジャパン総合ソングチャートでのラジオ指標の影響度が高まっているのではと捉えています。ビルボードジャパンは日本レコード協会のデータに基づき、また自社でも調査した上で、ラジオの影響力が下がっているならばラジオ指標のウエイトをどうするかを議論することが必要なのではというのが、自分の見方です。