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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Mrs. GREEN APPLE、「ライラック」でキャリア初のソングチャート制覇…その背景を探る

最新7月17日公開分(集計期間:7月8~14日)のビルボードジャパンソングチャートでは、Mrs. GREEN APPLEライラック」が登場14週目にして初の首位に到達。Mrs. GREEN APPLE自身においてもソングチャート初制覇を果たした形です。

下記キャプチャは、Mrs. GREEN APPLEビルボードジャパンソングチャートでトップ10入りした作品の最高位一覧となります。

 

本作はアニメ『忘却バッテリー』のオープニング主題歌。4月12日にリリースされると総合11位に初登場し、主にストリーミングが牽引しながらトップ5位内を維持し続けた。そして、今週チャートイン14週目にして遂に首位を獲得した。アニメは7月3日に最終回が放送されたがダウンロードが前週比106%、ストリーミングが107%、ラジオが194%、動画123%、カラオケ120%と全ての指標が前週より増加している。

Mrs. GREEN APPLEライラック」において、加算対象となる5つの指標はすべて前週を上回り、ストリーミング指標の基となる再生回数は初めて1200万回を突破。その結果、同曲のポイント前週比は1割を上回っています。

またMrs. GREEN APPLEは「ライラック」のみならず、「青と夏」(総合10位)がポイント前週比104.8%、「ケセラセラ」(13位)が同100.3%、「ダンスホール」(28位)が同100.8%、井上苑子さんを迎えた「点描の唄」(31位)が同103.7%、「Magic」(34位)が同106.9%、「インフェルノ」(43位)が同103.6%と、直近の2週連続で50位以内にランクインしポイント前週比が確認できる曲のうち7作品で前週超えを果たしています。

当週の集計期間は3連休の2日目までとなり、集計期間最終日における7月14日日曜は中日にあたることからストリーミングが通常の日曜より下がる傾向にあります。ゆえに総合ポイントにおいても前週を下回った曲が多い中、「ライラック」の1割超え、そしてMrs. GREEN APPLE自身が如何に強いかが、今回の結果からよく解るのです。

 

 

Mrs. GREEN APPLEの強さに関しては、「ライラック」がCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」に迫った前週、様々な施策を紹介しています。

ライラック」とテレビアニメ『忘却バッテリー』とのコラボ動画(歌手側の公式YouTubeチャンネルにて公開)の影響は今週も続いているのみならず、たとえば7月にスタートしたユニバーサルミュージックによるサブスクプレイリスト訴求企画【#ぼくらの夏曲キャンペーン】(キャンペーンサイトはこちら)にて「ライラック」をはじめ「青と夏」「インフェルノ」が使用されたことも寄与したといえるでしょう。

 

Mrs. GREEN APPLEはテレビパフォーマンスも徹底。今夏の地上波長時間音楽特番5つのうち『2024FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ 7月3日放送)、『THE MUSIC DAY 2024』(日本テレビ 7月6日放送)に既に登場していましたが、今回の集計期間中には『音楽の日2024』(TBS 7月13日放送)にも出演。順に「Dear」を20時台、「ライラック」を20時台そして「ケセラセラ」を19時台に披露したほか、同じく集計期間中放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 7月12日21時放送)では「アポロドロス」を披露しています。

今夏の地上波長時間音楽特番のうち3番組以上に出演した歌手では、Mrs. GREEN APPLEはNumber_i(4番組)、MY FIRST STORY × HYDE(3番組)同様、出演した番組すべてでゴールデンタイム(19~22時)でのパフォーマンスを行っており、その点からも彼らが番組制作側に重用されているといえます。またそもそも長時間音楽特番はアイドルやダンスボーカルグループの出演が目立つゆえ、その中で存在感を放っている点も見逃せません。

 

 

レコード会社のバックアップもさることながら、歌手側の施策の徹底や複数のテレビパフォーマンス披露が「ライラック」そして過去曲のフックアップにつながっていることが、今回の動向からみえてきます。何より「ライラック」において、ビルボードジャパンソングチャートでトップ10入りして以降常時5位以内に入り、ストリーミング再生回数がこちらも常時1千万回超えをキープという状況は、通常では考えにくいことです。

レコード会社側も【#ぼくらの夏曲キャンペーン】を用いたさらなる施策を打っており、Mrs. GREEN APPLEへの注目度は尚の事高まるものと思われます。盤石の地位を築きつつあるといって差し支えないはずです。