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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

マキシマム ザ ホルモン 一部のアニメテーマ専用仮設チャンネル「刃渡り2億センチ (TV edit)」の初週チャート動向を考える

最新11月2日公開分(11月7日付)ビルボードジャパンソングスチャートでは、35位にマキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」が初登場。テレビアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京ほか)第3話のエンディングに起用されたこの曲のチャートアクション等において感じたことを記します。

(上記はアニメ制作会社MAPPAの公式YouTubeチャンネルにアップされた、『チェンソーマン』第3話エンディング曲のノンクレジットムービー。)

 

マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」の最新週におけるCHART insightをみると、獲得ポイントのおよそ7割をストリーミング指標(青で表示)が占めています。この指標はサブスク再生回数等に基づくもので、マキシマム ザ ホルモンが今回初めてサブスクを解禁した効果が表れています。

しかしながら、ビルボードジャパンの曲名および歌手名表記は本来正しいものではなく、この点が気になった次第です。

Spotify(上記キャプチャ参照)やiTunes Storeなどでは歌手名表記が”マキシマム ザ ホルモン 一部のアニメテーマ専用仮設チャンネル”となっており、解禁された2曲についてもTV editというショートバージョンとなっています。しかしビルボードジャパンではランクイン時の歌手名がマキシマム ザ ホルモンとなり、TV editの文字も消えているのです。

テレビアニメ『「進撃の巨人」The Final Season Part2』(NHK総合)のオープニング曲となったSiM「The Rumbling」において、ビルボードジャパンはTV editとフルバージョンとを合算する措置を採っています。ビルボードジャパンは様々なバージョンを、言語のみの違いを除き合算しないチャートポリシーを採っていますが、尺が違っても同じ曲ならば合算することが「The Rumbling」で判明しています(上記ブログエントリー参照)。おそらく歌手名表記でも似た措置が採られることでしょうが、基本的にすべて合算するチャートポリシーにしたほうが管理面でもスッキリすると感じています。

 

そしてもうひとつ気になるのが、Spotifyにおける特殊な動き。マキシマム ザ ホルモン 一部のアニメテーマ専用仮設チャンネル「刃渡り2億センチ (TV edit)」は日本におけるSpotifyデイリーチャートで、解禁日の10月26日付にて39位に初登場。50位の壁を突破したことでプレイリスト効果に伴い、数日中は再生回数および順位面が急伸すると捉えていました。50位の壁については下記リンク先に記載しています。

マキシマム ザ ホルモン 一部のアニメテーマ専用仮設チャンネル「刃渡り2億センチ (TV edit)」は金曜まで順調に再生回数および順位を伸ばしていたものの、金曜から日曜にかけて双方で下降に至ります(再生回数は130,233→126,109→125,250回、順位は27→34→36位)。データについてはマキシマム ザ ホルモン 一部のアニメテーマ専用仮設チャンネル - 刃渡り2億センチ(TV edit) - Spotify Chart History - kworb.netにて確認可能です。

通常は平日→土曜→日曜と再生回数が上昇し、平日の中でも金曜は最も小さくなります。マキシマム ザ ホルモン 一部のアニメテーマ専用仮設チャンネル「刃渡り2億センチ (TV edit)」の金曜における再生回数は前日から1万2千回以上増加しており、50位の壁効果が表れていると言えるですが、土日の下降は極めて珍しいのです。

土日の下降はそれまでの反動ゆえかもしれませんが、「刃渡り2億センチ 」のショートバージョンでの公開は再生回数上昇につながりにくいことを示した事例になったものと考えます。サブスクユーザーや音楽好きの方にとって、短尺版だけでは支持を集めにくいということなのかもしれません。それでも解禁週にSpotifyで50位の壁を、それも解禁初日に突破することが凄いことには変わりありません。

 

 

マキシマム ザ ホルモンはサブスク解禁要望に対し、以前このように回答しています。

あくまで自分は、と前置きして書くならば、サブスクで気に入った作品はフィジカルで購入するようにしています。サブスクで惹きつけられたライト層がコアファンに昇華すれば、同種の行動を採るかもしれません。ただし、用意された解禁音源が短尺版であればその行動に至る確率は下がるでしょう。そして”パッケージなんていらない”と言う方が実際に居たとして、そのような方がすべてではないはずです。

そもそも『チェンソーマン』のメディア展開を踏まえれば、サブスク解禁が歌手起用の最低条件だったと思われ、マキシマム ザ ホルモンは自身のポリシーと異なりながらその条件に従ったわけです。Spotifyで土日の再生回数は下がれどデイリー10万以上の再生回数を記録したこと、そしてロケットスタートが切りにくい解禁初週のストリーミングで好成績を収めていることを踏まえれば、サブスク解禁は成功の部類に入るでしょう。

ならばマキシマム ザ ホルモンは、サブスク解禁をもっと前向きに捉えてもいいのではないでしょうか。