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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

再生回数やユーザー数が上昇? 首位交代の可能性? Spotifyの最新動向から今とこれからのヒットを読む

サブスクサービスのうち、上位の再生回数を公表しているのがSpotifyです。今回はそのSpotifyから判明した興味深い動向…再生回数やユーザー数の上昇、そして首位交代の可能性について紹介します。

 

 

最新10月6日木曜までの日本におけるSpotifyデイリーチャートにおいて、200位の再生回数が4日月曜以降3万回を突破しています。

ふたつのグラフのうち下記はデイリー200位のみ抽出したものであり、直近の上昇度合いがよく解ります(上下のグラフにおいて、200位を示すグラフの色は異なります)。ともすれば全体的に再生回数やユーザー数が上昇していると捉えていいかもしれません。

この上昇がはたして、サブスクサービス全体の上昇なのかそれともSpotifyが他サービスに比べて著しく上昇したのかは分かりませんが、後者においてはこの秋に行った”Go Stream”シリーズのビデオ公開がSpotifyのユーザー数上昇につながったかもしれません。実際、”Go Stream”披露曲の再生回数は上昇しています(が、合算の可否についてSpotifyからは未だ回答をいただいていません)。

 

再生回数の上昇はサブスク全体と捉えることも可能です。これは秋クールに入りテレビドラマやテレビアニメ関連曲が複数上位に進出しているため。最新10月6日付の日本におけるSpotifyデイリーチャートでは、YOASOBI「祝福」(『機動戦士ガンダム 水星の魔女』オープニング曲)が11位、BUMP OF CHICKEN「SOUVENIR」(『SPY×FAMILY』第2クールオープニング曲)が20位に上昇しています。

SPY×FAMILY』第2クールエンディング曲であるyama「色彩」は最新10月6日付の日本におけるSpotifyデイリーチャートで58位に。前日から2ランクダウンしたものの、昨日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)におけるパフォーマンスがプラスに作用するかもしれません。

そして好調な新曲の誕生は、過去曲の再浮上をもたらします。

最新10月6日付の日本におけるSpotifyデイリーチャートではYOASOBIが200位以内に7曲を送り込んでいますが、「祝福」を含む全曲の順位が上昇。さらに今週スタートしたNHK朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』の主題歌に「アイラブユー」が起用されたback numberは、同日付で200位以内に入った8曲のうち6曲が順位を上げています。「アイラブユー」が解禁されれば50位以内に登場する可能性は十分でしょう。

 

秋クールのテレビ番組関連タイアップ曲は強力な布陣が揃っており、今夏を席巻したAdoさんの「新時代」をはじめとする『ONE PIECE FILM RED』関連曲の勢いが保てるかが気になるところですが、どうやら早々に首位交代劇がやってくるかもしれません。

上記は最新10月6日付までのおよそ4ヶ月分における、日本のSpotifyデイリーチャート上位曲の推移。最新日における上位10曲の動向を示したものですが、Ado「新時代」のダウンが目立つ一方で2位のなとり「Overdose」は右肩上がりを続け、この3日間における2曲の再生回数差は45,905→38,383→20,577回と急激に縮まっています。

なとり「Overdose」は様々な歌ってみた動画がヒットの一因となっており、なとりさんはTwitterで著名な方々の作品を引用リツイートの形で紹介しています。そしてこのタイミングでこのような呼びかけを行ったことで”作ってみた”動画も流行り、オリジナルバージョンの再生回数上昇に寄与するかもしれません。

他方、Ado「新時代」においては、全体の再生回数に対するSpotifyの割合が大きく、サブスク全体での再生回数が減少した際にSpotifyでの減少度合いがひときわ大きくなるとも言えるでしょう。

ビルボードジャパンのStreaming Songsチャートにおいて8週連続首位獲得中のAdo「新時代」は、再生回数全体に対するSpotifyの割合が遂に20%台に突入。ここから、Spotifyが他サービス以上に直近でユーザー数を急激に伸ばしているとも考えられますが(冒頭で紹介した仮説が立証された形)、この曲で勢いを長くキープできているのがSpotifyだとも言えそうです。ゆえに今後、Spotifyでの減少角度は大きくなると想像できます。

これらから、なとり「Overdose」がSpotifyでAdo「新時代」を近日中に逆転する可能性は十分と言えます。ビルボードジャパンの総合ソングスチャートでも交代できるかに注目ですが、秋クールのテレビタイアップ曲のみならず高いフィジカルセールスによって最上位を狙える曲が毎週登場することから、「Overdose」がどの順位まで上げていくかに、注視しましょう。

 

年末に向けて、日本におけるSpotifyデイリーチャートの上位曲は大きく入れ替わるかもしれません。そしてSpotifyもカウント対象のひとつとなるビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標、そして総合ソングスチャートにも影響が及ぶことは間違いありません。年末に向けてどの作品が制するか、そして2023年の主役になるのは誰か、見極めていきたいと思います。