イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ドリカム「大阪LOVER」、サブスク再浮上のきっかけはHiHi Jetsか…ジャニーズとデジタルの相性を考える

ビルボードジャパンソングスチャートにおけるストリーミング指標は総合チャートと比例した動きをなぞり、またロングヒットすることからヒットの鑑に最も近い指標と言えます。なおこの指標についてビルボードジャパンは、再生キャンペーン開催に伴うブーストが総合ヒットと著しく乖離した状況を考慮し、前週チャートポリシーを変更しています。

ビルボードジャパンによるチャートポリシー変更については、最新のビルボードポッドキャストにてチャートディレクターの礒崎誠二さんが説明されています。YouTubeでも確認できますので是非チェックしてください。

 

さて、ストリーミングは今のヒット曲のみならず、長く愛される昔の曲についてもヒットを可視化します。

2019年10月以降順次ストリーミングを解禁した嵐。最初期に解禁した5曲のうち「Love so sweet」が、最新4月27日公開分(5月2日付)ビルボードジャパンソングスチャートにてストリーミング1億回再生を突破しました。この億超えは嵐にとって初という快挙達成です。

ストリーミングでは2010年代後半以降にデビューした歌手の強さが目立つ一方、嵐「Love so sweet」に加えて『2000年代にリリースされた楽曲では、Mr.ChildrenHANABI」(2008年リリース)、MONGOL800「小さな恋のうた」(2001年リリース)、スキマスイッチ「奏(かなで)」(2004年リリース)が1億回再生を突破』しており(『』内は上記記事より)、昔の作品も着実にヒットしていることが解ります。

 

そんな中、2007年リリースのDREAMS COME TRUE「大阪LOVER」がここに来て突如Spotifyデイリーチャートを上昇しています。

以前から200位前後を行き来していた「大阪LOVER」は一時200位圏外となったものの、4月22日に134位へ再登場すると以降急上昇。最新チャートでは順位、再生回数共に1日の最高を更新しています。Spotifyデータはこちらから確認可能です。

ストリーミングの人気に影響を及ぼすもののひとつがTikTokビルボードジャパンによる最新4月27日公開分(5月2日付)TikTok Weekly Top 20では広瀬香美ロマンスの神様」やきゃりーぱみゅぱみゅ「インベーダーインベーダー」がトップ20入り。またブラックビスケッツによる1998年のヒット曲をカバーしたKlang Ruler「タイミング ~Timing~」が6週目の首位を記録する等、懐かしの曲もヒットしやすい状況です。

そのTikTokにて「大阪LOVER」と調べても公式のものが見当たらず(検索結果はこちら)、同曲のSpotify再浮上がTikTok経由だと考えるのは難しい状況。そこでTwitterで調べてみると、再浮上した4月22日に『おはよう朝日です』(朝日放送)にてHiHi Jetsがこの曲を口ずさんだことが判明しました。

(Twitterには番組の動画もアップされていますが、非公式のものにつき紹介しません。)

それ以外に主だった理由をみつけることができませんでしたが、もしかすれば再浮上のきっかけは異なるかもしれません。とはいえ、仮にこのHiHi Jetsによる歌唱を機にDREAMS COME TRUE「大阪LOVER」が注目を集め再浮上したならば、番組を観た方のみならずジャニーズ事務所所属歌手のファンの方々もSpotifyで曲を聴取したことが想像できるのです。

 

 

日本においてTikTokでバズを起こしソングスチャートにランクインした曲は今年のヒットの一形態となっていますが、瑛人「香水」等この数年内にリリースされたものが多いと言えます。しかしTikTokに用いられる曲、バズを起こす可能性のある曲に発売時期は関係ないはずです。だからこそいつ何時でも光が当たってもいいように、デジタル環境を整備することが必要ではないでしょうか。そしてその整備こそ、日本の素晴らしい音楽のアーカイヴス構築につながるものと考えます。

一昨年秋、TikTokを機に1977年リリースのフリートウッド・マック「Dreams」が米ビルボードソングスチャートで12位まで再浮上したことがあります。日本ではTikTok人気の過去曲が総合ソングスチャートでも大ヒットという状況はほぼみられませんが、今後出てくる可能性は十分あり得ます。そのため、いつ何時注目されても大丈夫なように、デジタル環境の整備を行うべきと記載しました。

(なお、直近のビルボードジャパンソングスチャートで3位に浮上したTani Yuuki「W/X/Y」はTikTok発のヒット。昨年リリースされたこの曲については、TikTokでのバズ発生時にブログにて紹介しています。詳しくはTani Yuuki「W/X/Y」、TikTokのバズを自ら積極的に採り入れヒットのフェーズへ突入(1月4日付)をご参照ください。)

よくよく考えれば、TikTokのみならずテレビ番組でも懐かしい曲が用いられ、注目を集める傾向がみられます。DREAMS COME TRUE「大阪LOVER」はきちんとサブスク解禁されているからこそ、その注目がサブスク上昇という結果につながったと言えるでしょう。そして注目すべきは、このきっかけがジャニーズ事務所所属歌手の行動にあるということです。

数多ものヒット曲を輩出したジャニーズ事務所所属歌手の作品ですが、そのほとんどがデジタル解禁されていない状況は至極勿体無いというのが私見であり、デジタル解禁の必要性を上記ブログエントリー等でその都度説いています。他方、いち早く解禁した嵐については最新週でストリーミング1億回再生を果たした「Love so sweet」のみならず、「Happiness」や「カイト」等も近い将来億超えを達成することでしょう。

HiHi Jetsを機にDREAMS COME TRUE「大阪LOVER」がサブスク再浮上を果たしたことは、ジャニーズ事務所所属歌手のファンの方々にストリーミング利用者が少なくないだろうことを思わせます。ならば、ジャニーズとデジタルは相性が決して悪いわけではない…そう考えるのは決して大げさではないはずです。

 

所属タレント、そして事務所そのものの影響力は日本のエンタテインメント業界になくてはならないと言えるジャニーズ事務所。ストリーミングに関連して今週誕生した2つの成果は、積極的なデジタル解禁への十分な理由と成るのではないでしょうか。