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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Tani Yuuki「W/X/Y」、TikTokのバズを自ら積極的に採り入れヒットのフェーズへ突入

昨年末、音楽ナタリーが企画したビルボードジャパン年間ソングスチャートについての座談会に参加させていただきました。その際、2021年度の年間ソングスチャートの上位曲は年度初頭からヒットしているという話題が出ています。

柴那典さん:「ドライフラワー」がリリースされたのが2020年10月25日。リリースがだいたい1年前なんですよね。2021年のヒット曲って2020年の終わりぐらいに出てくるんだなって。

松島功さん:「うっせぇわ」も昨年の10月23日リリースですもんね。ということはちょうど今頃に来年のヒット曲が出てるかもしれない(笑)。

(音楽ジャーナリストの柴那典さん、arne代表の松島功さんとの座談会より。引用した内容は名字のみの掲載につき、引用時にフルネームにて記しました。)

これは『Billboardチャートの性質というか、ロングヒットしやすい傾向にあるぶん、上半期とかその前からヒットしている曲が年間で上位に来やすい』(座談会における自分の発言より)というチャートの特性が前提にあります。ならば2022年度の年間ソングスチャートを占うには、この時期にヒットしているもしくはその兆しをみせる作品を注目すべきだと言えるのです。

 

デイリーチャートでSpotifyの動向を追うと、次のブレイク作品を読むことができるかもしれません。今回は現在上昇中のこの曲を採り上げます。

 

紹介するのは、Tani Yuuki「W/X/Y」。「Myra」がビルボードジャパン週間ソングスチャートで最高14位、2020年度の年間ソングスチャートでは66位を記録したTani Yuukiさんが先月リリースしたファーストアルバム『Memories』の中に、「Myra」と共に収録されています。

「W/X/Y」自体のリリースは昨年5月でしたが、昨年のクリスマス後にクリスマスソングと入れ替わる形で日本のSpotifyデイリーチャート200位以内に登場します。2022年元日には同チャート初の100位以内に上昇し、同日の再生回数は前日比93.1%を記録。この日は全体的に再生回数が前日比8割未満となっており、「W/X/Y」の数字が特筆すべきであることが解るのです。

 

「W/X/Y」の上昇の理由はTikTokにあります。既に上記リリックビデオは1ヶ月半前に200万回再生を突破しているのですが(Tani Yuukiさんのスタッフによるツイートより→こちら)、そこからさらに火がついたきっかけがいくつかみられます。人気ドラマ発の動画で使用されていることはそのひとつで、Tani Yuukiさんのスタッフも紹介しています。

@doctorx.2021 #ドクターX #米倉涼子 #ギャノン #神々のお戯れ #もにもに #だいもにみちこ ♬ W/X/Y - Tani Yuuki

また、『国内のポップスやヒップホップソングを中心に、オリジナルのダンスをTikTokに投稿している3人組』、ローカルカンピオーネがこの曲に新たな息吹を与えています(『』内は【インタビュー】ローカルカンピオーネ(from LC)|TikTokとダンスで日本のヒップホップを広げる - FNMNL (フェノメナル)(2021年5月13日付)より)。

@localcampione 年老いるまでずっと一緒にいたいと思える人に出会って付き合った時、楽しいこともあれば辛いこともあると思う。その時にどれだけその人の心に寄り添えるかが大事なんですよね。あ、申し遅れました。私、恋愛評論家のロドリゲスでげす。@yu___09___111 #wxyチャレンジ #taniyuuki #wxy #ローカルカンピオーネ ♬ W/X/Y - Tani Yuuki

「W/X/Y」に独自に振り付けを施したこの作品が、ローカルカンピオーネがこの1ヶ月以内に投稿した動画の中で最大の再生回数を記録。さらにコメント欄にはTani Yuukiさん自身の発言もみられますが、後にこの振り付け動画は半ば公式化されます。

@yu___09___11 可愛い振り付け作ってくれたから、踊ってみた@localcampione #WXY#チャレンジ#TaniYuuki#ローカルカンピオーネ ♬ W/X/Y - Tani Yuuki

このTani Yuukiさん自身による動画は、Taniさんが自身がTwitterで引用。

そして実際に撮影が実施され、Tani YuukiさんのTikTokアカウントからアップされたのです。この日のライブに行った方にとって、特別な作品になるのではないでしょうか。

@yu___09___11 みんな今日はありがとー!踊ったやつ!また絶対会おうね!!#WXY#チャレンジ#TaniYuuki#ローカルカンピオーネ ♬ オリジナル楽曲 - Tani Yuuki

 

先述した「Myra」はTikTokで人気に火がつき、ストリーミングは昨年3月に1億回再生を突破。いわばストリーミングドリームを体現した曲と言えます。

「Myra」に続き「W/X/Y」も、TikTokが浮上のきっかけになっています。人気ドラマやTikTokerの動画をTani Yuukiさん側が紹介し、新たに生まれた振り付けを本人が採り入れ、ライブ会場でファンと共に披露(そのための呼びかけも)…「W/X/Y」から生まれたものをTani Yuukiさん側が楽しんで紹介、共有していることは非常に魅力的です。これがより多くの方に拡がることで、「W/X/Y」のヒットがさらに加速するかもしれません。

 

上記プレイリストはTikTok Japan公式によるものであり、TikTokで人気になってきていることはここからも解ります。またTani Yuukiさん側もチャート上昇の希望を表明しており(下記ツイート参照)、これもコアなファンを中心に曲への熱量やチャートへの意識を高めていくことに一役買うはずです。

 

流行をいち早く掴むLINE MUSICでは既に上位に進出していますが、その動きがいわば保守的ともいえるSpotifyでもTani Yuuki「W/X/Y」は100位以内に入ってきました。この段階からさらなるステップに進み、ビルボードジャパンソングスチャートでも100位以内に入ってくるか、注目しましょう。