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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンが2022年度上半期チャートを発表…特筆すべき7つのポイントとは

ビルボードジャパンが2022年度上半期チャートを公開しました。集計期間は2021年11月29日~2022年5月29日(2021年12月8日~2022年6月1日公開分)となります。

 

各チャートの詳細はこちらから確認できます。

・上半期ソングスチャートおよび各指標

・上半期アニメーションソングスチャート

・上半期アルバムチャートおよび各指標

・上半期作詞家および作曲家チャート

・上半期その他各種チャート

・上半期アーティストチャート

首位獲得歌手のインタビューはこちらに。

それではソングスチャート主体に、上半期を振り返ります。参考として、昨年度上半期および昨年度年間ソングスチャートについて記載したブログエントリーのリンクを下記に掲載します。

 

ビルボードジャパンソングスチャートは週間50位までのポイントが可視化され、300位までにポイントが加算されます。可視化されたポイントのみで集成した表を下記に掲載しますが、この表における順位は暫定のものです。

本日発表されたビルボードジャパンの記事により、YOASOBIは「群青」が11位、「夜に駆ける」が14位、「怪物」が15位、「三原色」が39位、「もう少しだけ」が69位、「あの夢をなぞって」が87位、「ハルカ」が88位、ミドリーズとの「ツバメ」が97位、「ハルジオン」が99位に、Tani Yuuki「W / X / Y」が17位、King Gnu「カメレオン」が18位、milet & Aimer & 幾田りら「おもかげ (produced by Vaundy) 」が44位、Saucy Dog「いつか」が52位、なにわ男子「初心LOVE」が58位(ルックアップ1位)、Snow Man「Secret Touch」が68位(ルックアップ2位)、マカロニえんぴつ「恋人ごっこ」が78位、Aimer「カタオモイ」が81位にランクインしたことが判明しています。

 

なお今回紹介する曲およびアルバムのCHART insightはいずれも、下半期(第3四半期)1週目にあたる6月8日公開分(6月13日付)までのものとなります。CHART insightにおける順位やチャート構成比は6月8日公開分(6月13日付)の週間順位を指します。

CHART insightにおける色の内訳は総合が黒、ソングス/アルバムチャート共通指標ではフィジカルリリースが黄色、ダウンロードが紫、ルックアップ*1がオレンジで、ソングスチャートのみの指標ではストリーミングが青、ラジオが黄緑、Twitterが水色、動画再生が赤、カラオケが緑で、それぞれ表示されます。

 

 

ビルボードジャパン2022年度上半期チャート 特筆すべき項目

 

① Aimer「残響散歌」、大差で上半期ソングスチャートを制覇

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は11~36週となります。)

Aimer「残響散歌」は2位の優里「ベテルギウス」のおよそ1.5倍ものポイントを獲得し、堂々の首位に立ちました。

テレビアニメ『「鬼滅の刃遊郭編』(フジテレビ)オープニングテーマとなった「残響散歌」はアニメへの強い支持も武器に通算9週、うち連続7週首位を記録しました。これは前者において星野源「恋」に次ぐ歴代2位、後者は歴代最長タイとなります。

一方で、「残響散歌」の9週首位はフィジカルセールスに長けた曲が少なかったことも影響していると言えるでしょう。コロナ禍を見越したのか、フィジカルセールスに強い作品は第2四半期に集中、且つAKB48と坂道グループ、およびジャニーズ事務所所属歌手のリリースは被っていません。フィジカルセールスに強い歌手のリリースが重ならなかったのは偶然とはいえ凄いことです。

仮に第2四半期のフィジカルリリースが少しでも前倒しされたならば、「残響散歌」の連続首位記録は短くなったことでしょう。とはいえフィジカルセールスに強い曲は連覇を成し遂げていないため、「残響散歌」が首位に返り咲くことも容易に想像できます。また「残響散歌」は1万ポイント超えを計6週達成しており、フィジカルセールスに強い曲はともすれば短期的に首位に到達すること自体難しかったかもしれません。

ただし「残響散歌」が年間チャートを制することができるかは難しいというのが私見。Aimerさんがライブツアーに突入した後は尚の事、同曲のポイントは漸減傾向にあります(5月11日公開分(5月16日付)におけるポイント上昇は、大型連休後半によるストリーミング増加等が影響)。「残響散歌」が年間ソングスチャートを制するためには、この漸減をどう防ぐかを策定、運用することが重要です。この点は以前ブログで触れています。

 

 

② アニメソングの大ヒットが際立つ

Aimer「残響散歌」は勿論のこと、King Gnu「一途」「逆夢」(『劇場版 呪術廻戦 0』オープニングテーマおよびエンディングテーマ)が共にトップ10入りを果たしました。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は5~30週となります。)

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~23週となります。)

映画『呪術廻戦』興収137.5億円突破で終映 歴代興収『ラスト・サムライ』抜き14位 | ORICON NEWS(5月30日付)から解るように、今年上半期を席巻した映画を飾ったのがKing Gnuによる2曲。フィジカルセールスおよびルックアップというフィジカル関連指標は複数のAサイドシングルにおいては1曲のみに加算されますが、そのフィジカル関連指標未加算の「逆夢」がポイント面で「一途」に猛追するのが興味深いところです。

この「逆夢」の解禁時のインパクトは強烈で、スケジュール施策も大きくプラスに作用したと言えるでしょう。

この「逆夢」は『劇場版 呪術廻戦 0』の劇場公開日である昨年12月24日に解禁され、同日の『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2021』(テレビ朝日)で初披露されています。12月24日における「逆夢」の畳み掛けるかの如きスケジュールも浸透度の上昇に貢献したと言え、同曲はフィジカル関連指標が「一途」に加算されて以降もポイントを伸ばし続けるという稀有な動きをみせています。

King Gnuによる「一途」および「逆夢」での熱量は、アニメソングではありませんが「カメレオン」にも引き継がれた印象です。ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ)主題歌に起用された同曲は第2四半期最大級のヒットとなり、上半期全体でも18位にランクインしています。

そして下半期、ならびに年間ソングスチャートを占う上で最重要作品と言えるのが、Official髭男dism「ミックスナッツ」。こちらもテレビアニメ『SPY×FAMILY』(テレビ東京)オープニングテーマに起用され、100位以内登場がわずか7週にもかかわらず上半期ではトップ20に迫っています。今後フィジカルリリースやテレビ出演に伴いヒットがどれだけ大きくなり、また維持されるかに注目です。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~11週となります。)

アニメソングの人気はアニメ同様に海外にも波及し、米ビルボードが一昨年秋に新設したグローバルチャートでも存在感を示しています。このチャートの存在、そこでのJ-Popのランクインが日本にも伝われば、J-Pop、とりわけ強さを発揮するアニメソングにもさらなる注目が集まるかもしれません。先日アニメソングのグローバルヒットについてリアルサウンドに寄稿したコラムを下記に掲載します。

 

 

③ THE FIRST TAKEの存在感は今も大きい一方で、浮かび上がる疑問が

トップ10のうち3曲が披露され、またアルバムチャート首位に輝いたSixTONES『CITY』の収録曲、「Everlasting」も披露されているのがYouTubeチャンネルのTHE FIRST TAKE。次週はハリー・スタイルズも登場することがアナウンスされ、既に大きな話題となっています。

このTHE FIRST TAKEでは新たな活用法がみられます。優里「ベテルギウス」においてはミュージックビデオ、さらには配信開始前にTHE FIRST TAKEで初披露されました。動画効果主体で配信開始前にソングスチャート100位以内に到達することはできませんでしたが、リリースの期待値を高めることにつながったのは間違いありません。幾田りら「レンズ」(動画はこちら)も音源解禁前にTHE FIRST TAKEで披露されています。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は11~36週となります。)

上記ブログエントリーでは「ベテルギウス」のTHE FIRST TAKE初披露等を”施策”として紹介しました。ただ、よくよく考えればチャートポリシーの曖昧さの隙間を(知ってて)縫って進んだ可能性も考えられ、そうだとすれば問題と言えるでしょう。

ビルボードジャパンはオリジナルバージョンと言語が異なりアレンジが同じである場合を除き、異なるバージョンは合算しないチャートポリシーを採用していますが、動画再生指標においてはTHE FIRST TAKEがほぼ合算されます。以前問い合わて判明した合算に関するチャートポリシーは、その後変更の形跡がみられません。

動画再生指標は、ISRC(国際標準レコーディングコード)が付番されている動画がカウント対象となるのですが、THE FIRST TAKEが音源リリースされる場合を除き、THE FIRST TAKE側は動画のISRCをオリジナルバージョンにて付番している可能性が考えられます。これがビルボードジャパンソングスチャートにおける合算を可能とした理由と考えられますが、仮にTHE FIRST TAKE側が動画にオリジナルバージョンのISRCを、分かっていながら敢えて付番しているならば問題ではないでしょうか。同時にビルボードジャパンが動画再生指標においてオリジナルバージョンと異なっても合算されている事実を解っていながらチャートポリシーを変えていないのだとすれば、それもまた問題です。

このブログでは以前より、米ビルボードやグローバルチャートに倣いすべてのバージョンを合算することを提案しています。そのほうが歌手側も、THE FIRST TAKE側も様々な施策を堂々と行えるようになるはずです。

 

 

④ アルバムチャート、デジタルやルックアップに強い作品が上位に

上半期の総合アルバムチャートはSixTONES『CITY』が首位を獲得。THE FIRST TAKEでも収録曲を披露していますが、同作はデジタル未解禁の状態が続いています。他方、そのデジタルで強さを発揮した宇多田ヒカル『BADモード』は総合6位、藤井風『LOVE ALL SERVE ALL』は同7位にランクイン。前者はフィジカルリリースのおよそ1ヶ月にデジタルを解禁し、上半期ダウンロードアルバムチャートで3位に入りました。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~19週となります。)

上半期総合アルバムチャートにおいてトップ10にランクインした作品のうち、半数近くが(現段階で)デジタルを解禁していません。一方で総合チャートトップ10にランクインしたAdo『狂言』(2位)、藤井風『LOVE ALL SERVE ALL』(7位)はフィジカル/デジタルの所有指標で共にトップ10入りしているのが興味深いところです。2作品はルックアップも強く、週間チャートでは複数週に渡って同指標を制しています。

上半期の総合アルバムチャートでトップ10入りは逃したものの、優里『壱』は上半期ダウンロードアルバムチャートで4位にランクイン。同作はレンタルに伴うルックアップが初めて1週間フルで加算された週にルックアップを制し、以降この指標では最新6月8日公開分(6月13日付)まで6位以内をキープしています。デジタル共々ルックアップの強さは、年間チャートでの上位進出につながるものと捉えていいでしょう。そしてこの『壱』も、後述するアーティストチャート2位ランクインの原動力となっています。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~20週となります。)

他方ジャニーズ事務所所属歌手の大半の作品や、Mr.Childrenのベストアルバムは現在までにデジタル解禁が成されていません。その中にあってSixTONES『CITY』のルックアップが未だに高いのは、接触行為であるレンタルの高さを示すに十分です。ならば、フィジカルリリースからしばらく経ってからでもデジタルを解禁すれば、ヒットがより安定するはずです。年間チャート制覇のためにも一度議論してほしいと切に願います。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~21週となります。)

 

 

⑤ バンドサウンド復権TikTokの影響力の増大

上半期ソングスチャートに戻ると、Official髭男dism「Cry Baby」が安定した人気を誇り、アルバム『Editorial』のロングヒットも相俟って上半期ソングスチャートで10位にランクイン。ヒット曲を随時輩出することで過去曲のフックアップにもつながることから、先述した「ミックスナッツ」の存在も大きかったはずです。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は39~64週となります。)

そして注目は、マカロニえんぴつ「なんでもないよ、」の5位、およびSaucy Dog「シンデレラボーイ」の7位ランクインという結果。これら若手バンドの台頭、さらには中堅といえるback number「水平線」の8位到達が、J-Popにおけるバンドサウンドの(チャート上での)復権の何よりの証明ではないでしょうか。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は5~30週となります。)

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は17~42週となります。)

マカロニえんぴつはTikTokにおける企画”#秋の歌うま”に起用、「シンデレラボーイ」もカバー動画等がTikTok等でヒットを記録する等、いずれもこの動画プラットフォームの影響が動画再生やストリーミング等他指標に波及しています。

またTani Yuuki「W / X / Y」はインフルエンサーによる振り付けをTaniさん自らが披露して話題となり4月以降トップ10の常連に。TikTokでのヒットのみならず、歌手側の積極的な活用が大ヒットにつながっています。Taniさんは同曲でTHE FIRST TAKEに出演し(動画はこちら)、ロングヒットに拍車をかけたと言えるでしょう。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は9~34週となります。)

TikTokについては、このようなランキングが今月発表されています。

 

TikTokはZ世代でトレンドツールとなっており、音楽面においてもビルボードジャパンソングスチャートとの一致度合いが見えてきます。他方femme fetale「だいしきゅーだいしゅき」は上半期TikTok Weekly Topソングスチャートで6位に入ったものの、総合ソングスチャートには週間100位以内に一度も登場していません。このような曲は少なくなく、ヒット拡大のためにどうするかを立案し実行することは必須でしょう。

海外ではTikTok先行リリース(チラ見せ)の段階でヒットしなければリリースさせないことが表面化し、問題となっています。そのようなレコード会社側の判断には苦言を呈しつつ、しかしそれだけTikTokの影響力は大きくなったと言えます。

 

 

ジャニーズ事務所所属歌手はデジタルの前向きな解禁を急ぐべき

先程紹介した【Z世代が選ぶ2022上半期トレンドランキング】では、流行った曲部門で6位にSnow Manブラザービート」、10位になにわ男子「初心LOVE」がランクイン。流行ったアーティスト部門ではSnow Manが8位、なにわ男子が2位に入っています。流行ったアーティスト部門のトップ10の大半の歌手はビルボードジャパン上半期ソングスチャートにも作品を送り込んでおり、ビルボードジャパンソングスチャートが若年層の流行も押さえていることが解ります。

ただし「ブラザービート」および「初心LOVE」、またなにわ男子の新曲「The Answer」も上半期ソングスチャートでは10位以内に入っていません。上半期フィジカルシングルセールスでは「ブラザービート」が1位を獲得したものの、総合チャートの結果は大きく異なります(なお「初心LOVE」は昨年度フィジカル関連指標が初加算されたため、上半期フィジカルシングルセールスチャートではトップ10入りしていません)。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~17週となります。)

(上記はミュージックビデオとは異なりますが、フルバージョンとなっています。)

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は12~37週となります。)

(上記はミュージックビデオとは異なりますが、フルバージョンとなっています。)

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~12週となります。)

TikTok発のヒットは動画再生やストリーミングといった接触指標群に波及し、そこから他指標へと伝播することで総合ソングスチャートの常連になっていきます。

上記表で青にて表示したのは、ジャニーズ事務所所属歌手による作品。特にSnow Manブラザービート」やなにわ男子「初心LOVE」および「The Answer」は動画再生指標がロングヒットを続けています。TikTokのヒットを踏まえれば、この上位安定は自然なこと。この結果もあり、フィジカル関連指標加算2週目におけるポイントや順位のダウン幅も(フィジカルに強いアイドル等の中では)比較的小さくなったと考えられます。

しかしながら、ストリーミング指標の基となるサブスク、そしてダウンロードといったデジタルで未解禁であることが、総合チャートで早々のダウンを招いた要因となったことは間違いありません。ゆえに先述したSixTONESのアルバム『CITY』同様、フィジカルリリースからしばらく経ってでもデジタルを解禁することを検討してほしいと願っています。

 

 

⑦ トップアーティストチャートはYOASOBIが制覇、しかし

昨年度の年間アーティストチャートでは期間終盤にBTSに逆転されたYOASOBIが、上半期アーティストチャートを制覇。見事に雪辱を果たしています。

となると気になるのは年間アーティストチャートも制することができるかということですが、昨年暮れにリリースしたEP『THE BOOK 2』は上半期ダウンロードアルバムチャートを制し総合でも4位に入ったものの、今年リリースのシングル「ミスター」は上半期総合ソングスチャートで100位以内に入っていません。YOASOBIは上半期ソングスチャートにおいて「群青」が11位、「夜に駆ける」が14位、「怪物」が15位、「三原色」が39位、「もう少しだけ」が69位、「あの夢をなぞって」が87位、「ハルカ」が88位、ミドリーズとの「ツバメ」が97位、「ハルジオン」が99位に入っていますが、順位は『THE BOOK』収録曲のほうがより強い状況です。なおYOASOBIのインタビュー記事にて、『THE BOOK』は総合24位にランクインしたことが判ります。

アーティストチャートは、強大なヒット曲やアルバムの登場により状況が大きく変わってきます。後述するようにBTSがアンソロジーアルバムの発売を控え、Official髭男dism「ミックスナッツ」が年間ソングスチャート制覇を狙い、そしてKing Gnuのアルバムもともすればリリースされるかもしれないという状況下では、YOASOBIの優位性は低くなることでしょう。

YOASOBIの楽曲推移をSpotifyデイリーチャートから分析し、今後の活動等についてもまとめたブログエントリーを上記に。音楽フェス制覇とも言えるスケジュール、ならびに個々の活動の充実もチャートに還元されるようになるとは思いますが、しかし難しいことを承知で書くならば、ヒット曲の輩出とそれに伴う過去曲のフックアップは年間アーティストチャート制覇には必須と考えます。

 

 

・おわりに…下半期はどうなる?

ポイントや順位の面で、Aimer「残響散歌」の緩やかながら確実なダウンがみられます。

そのため、既にデジタルが好調で今月フィジカルもリリースするOfficial髭男dism「ミックスナッツ」、さらにはTikTokでバズを起こし接触指標群に勢いが波及したSEKAI NO OWARI「Habit」も「ミックスナッツ」と同日にフィジカルをリリースすることから、年間チャートの行方は解らないというのが正直なところです。

(上記CHART insightにおいて、上半期チャートの集計対象は1~14週となります。)

そしてBTSが今月リリースするアンソロジーアルバム『Proof』からのリード曲、「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」については、アルバムがベスト盤的な要素であることも踏まえれば、「Dynamite」「Butter」以上の注目が集まる可能性があります。年間アルバムチャート、さらにはアーティストチャートも制するかもしれません。

(上記動画は「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」のティザー(ティーザー)となります。)

K-PopにおいてはBTSのロングヒットが際立ちますが、男性アクト以上に女性アクトのロングヒットが目立ってきました。今後のカムバック次第では各歌手史上最高のヒットが誕生するかもしれません。迎え撃つJ-Pop、特にダンスボーカルグループやアイドルがK-Popが上手とされるスケジュール管理をどう踏襲するか、接触指標群でヒットを飛ばせるかにも注目したいと思います。

*1:ルックアップとはパソコン等にCDをインポートした際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスする数を指し、売上枚数に対するユニークユーザー数やレンタル枚数の推測を可能とする指標。