イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ジャニーズ事務所の動画戦略、チャートで可視化された影響力はアルバムの勢いへ波及する

次週8月24日公開分(8月29日付)のビルボードジャパンソングスチャートでは、Adoさんによる『ONE PIECE FILM RED』関連曲がまたも上位を占拠する可能性が高いと言えます。

昨日発表されたデジタルの速報値を上記に。そのAdo「新世界」と次週総合首位を争うと思われるのがKis-My-Ft2Two as One」。フィジカルセールス速報値では前作「Fear」を上回っているほか、リリース日の今週水曜にはLINE MUSIC限定でサブスクも解禁。そのLINE MUSICでは再生キャンペーンも実施されています。

Kis-My-Ft2によるLINE MUSIC独占サブスク解禁はベストアルバムリリース等で行われ、LINE MUSIC再生キャンペーンは以前も行われていたもの。次週のソングスチャートの結果に注目です。

 

Adoさんに話を戻すと、最新8月17日公開分(8月22日付)においてビルボードジャパンのソングス/アルバム両チャートを制しています。その凄さについては一昨日および昨日のブログエントリーをご参照いただきたいのですが、そのAdoさんがソングスチャートで勝てなかった指標があります。そのひとつが動画再生です。

上記ツイートのリンク先記事では『「新時代」の動画再生1位を阻んだのは、Snow Manの「JUICY」だ。初登場した前週は2,487,038再生をマークし、当週は4,101,017再生と大幅増となり、3,674,981再生の「新時代」を抑えて動画1位となった』とあります。この動画再生数が牽引し、Snow ManJUICY」は総合ソングスチャートでも38位に上昇。最新チャート集計期間中に投稿されたダンスプラクティス動画も影響を与えています。

Snow ManJUICY」は9月21日リリースのセカンドアルバム『Snow Labo. S2』収録曲。また「JUICY」、Ado「新時代」に続く動画再生指標3位には未だ音源リリースがアナウンスされていないSixTONESPARTY PEOPLE」が登場し、こちらも総合ソングスチャートで51位に入っています。未リリース曲が動画再生指標を主要因として総合100位以内エントリーを果たすのは珍しいと言えます。

SixTONESPARTY PEOPLE」については以前もブログで言及しました(上記リンク先参照)。Snow ManJUICY」同様、動画のオーディオストリーミングだけでストリーミング指標を獲得するまでには至りませんでしたが、動画再生指標を軸に総合ソングスチャートで高位置に登場することは、2曲そして2組の影響力の強さを物語っています。

 

そしてこの動画が、Snow ManおよびSixTONESのアルバムをロングヒットに至らせる武器となりそうです。

最新8月17日公開分(8月22日付)ビルボードジャパンアルバムチャートにおいても、Snow Man『Snow Mania S1』およびSixTONES『CITY』は好調に推移。デジタル未解禁ゆえダウンロード指標は未加算ですが、CHART insightにてオレンジで示されるルックアップが強いことが解ります。ルックアップはCDをパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスする数を指し、レンタルの多さが推測可能です。

ビルボードジャパンによる最新のポッドキャストではなにわ男子『1st Love』の強さが語られています(17分21秒以降参照)。このアルバムも主にルックアップ指標が強く、TikTokからアルバムチェックの流れが出来ているのではという指摘が出ています。TikTokといえばなにわ男子の各曲、そして直近ではKing & Princeは「ichiban」にてバズを起こしていますが、そのKing & Prince『Made in』もアルバムチャートで好調です。

アイドルはフィジカルセールスに強い一方でシングルよりもアルバムが弱いという印象は拭えませんでしたが、その中にあって今回取り上げたジャニーズ事務所所属歌手のアルバムは最新アルバムチャートにおいてルックアップ指標は11位までに登場。さらにSixTONESのファーストアルバム『1ST』は同指標15位に入り、総合でも58位につけています。

 

ビルボードジャパンポッドキャストTikTokからアルバムチェックへの流れが指摘されているのを聴き、この1年ほどのジャニーズ事務所所属歌手による動画戦略はアルバム(チャートで)のロングヒット化を視野に入れたものでもあるのではと感じています。デジタルを完全解禁していればソングスチャートでも勢いが可視化されると思うゆえ未解禁は勿体無いと思いますが、動画戦略の成果は出ていると言えるでしょう。

そして昨日にはSnow Manが公式TikTokアカウントを開設し、「JUICY」にちなんだハッシュタグチャレンジもスタート。ロングヒットのみならず『Snow Labo. S2』の初動セールスをより高めることにもつながるでしょう。

 

ジャニーズ事務所においてKing & Prince以降のデビュー組は動画に強いのが特徴でしたが、最近ではHey! Say! JUMPジャニーズWEST等もYouTubeチャンネルを開設しており、事務所全体での動画への注力が伺えます。先駆者である嵐のデジタル解禁や、その嵐の二宮和也さんを主体とするジャにのちゃんねるの人気も、施策に作用したかもしれません。