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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

なにわ男子「The Answer」におけるデビュー曲からの方針転換への疑問…フルバージョン動画の重要性を考える

ビルボードジャパンによるソングスチャート、次週5月4日公開分(5月9日付)ではなにわ男子「The Answer」が首位に最も近いと言える状況です。一昨日リリースされたフィジカルシングルは、フラゲ日からの2日間で46万枚以上を売り上げています。

歌詞はこちら(歌ネットより)。ミュージックビデオはジャニーズ事務所所属歌手で多くみられる"YouTube ver."と称したショートバージョンとなります。

(CHART insightにおいて総合チャートは黒で、動画再生指標は赤で表示。「The Answer」のCHART insightはこちら。)

上記動画は今月上旬に公開され、最新4月27日公開分(5月2日付)ビルボードジャパンソングスチャートまで3週続けて動画再生指標が10位以内をキープ。一方でその順位自体は2→4→10位と漸減傾向にあります。

 

さて、なにわ男子は前作、デビュー曲である「初心LOVE」が2週連続でビルボードジャパンソングスチャートを制しています。

(上記はショートバージョン。)

昨年度の同チャートにおいて2週以上首位を獲得したのはLiSA「炎」、NiziU「Take a picture」、BTS「Butter」そして「初心LOVE」の4曲しかなく、その点においても快挙と言えます。そしてこの連覇達成には、下記動画の投入効果が大きく反映されていました。

「初心LOVE」が2週目の首位を獲得した際に上記ブログエントリーにて解説しましたが、リリース日の昨年11月12日金曜に空港でのパフォーマンス動画が、そして翌週にミュージックビデオのダンスバージョンが、それぞれフルバージョンにて公開されています。これがフィジカル加算前週から2連覇達成に至るまで、動画再生指標が2週連続で100万回以上動画再生を伸ばした大きな要因となりました。

「初心LOVE」のCHART insightを上記に(こちらで確認可能)。デジタル未解禁もあり総合チャートではこの2ヶ月近く100位未満となりながら、動画再生指標はフィジカル加算前週にV字回復して以降、現段階まで20位以内をキープしています。短尺版のミュージックビデオよりもダンスバージョンの再生回数が多いことに代表されるように、フルバージョンのニーズの大きさが影響していると言っても過言ではないでしょう。

 

一方でなにわ男子のセカンドシングル、「The Answer」は昨日昼の段階でミュージックビデオの短尺版とショート動画でのメイキング(→こちら)のみのアップにとどまっていました。以前ブログでも言及したTikTokについては公式アカウント名が"なにわ男子「The Answer」公式"と変更するも(TikTokアカウントはこちら)、現段階でミュージックビデオを活用した動画は登場していません。

実は昨日夕方にこのようなツイートを行ったのですが、その日の夜になにわ男子は「The Answer」のダンスプラクティス動画を公開。概要欄には楽曲クレジットもあり、おそらく次週のビルボードジャパンソングスチャートで動画再生指標に当該動画の再生回数も加わっていくことでしょう。一方でダンスプラクティス動画はミュージックビデオと同様にショートバージョンであり、再生回数がどこまで伸びるか気になります。

 

 

なにわ男子「初心LOVE」がビルボードジャパンソングスチャート2連覇を達成した際、先述したブログエントリーでは『動画の段階的な解禁やTikTokを用いたアプローチを踏まえるに、ジャニーズ事務所側がビルボードジャパンソングスチャートをわずかでも意識していると捉えていいのかもしれません』と書きました。

一方で「The Answer」、そしてダブルAサイドの「サチアレ」ミュージックビデオ(→こちら)も短尺版の公開にとどまっており、方針転換と捉えることも可能です。尤も、なにわ男子の知名度を高めるべく「初心LOVE」においてデビュー日の空港パフォーマンスをアップする等動画を充実させたと捉えることも可能であり、デビュー曲ゆえの施策実施だったのかもしれません。

一方ではSnow Manブラザービート」がミュージックビデオおよびダンスプラクティス動画を共にフルバージョンで公開し、ダンスプラクティスも凝った作りとなっています。それが同曲を今年度最高の初週フィジカルセールス*1に導いた一因であるとしたら、なにわ男子に限らず、またジャニーズ事務所所属歌手のみならずミュージックビデオを短尺版でアップする歌手の方々は再考する必要があると考えます。

 

ミュージックビデオをショートバージョンにてYouTubeで公開する、その目的が"フルバージョンのミュージックビデオをCDに同梱した映像盤で見て欲しいから"、言い換えれば"CDを買って欲しいから"というところにあるという見解を幾度か耳にしましたが、「The Answer」の初週フィジカルセールスが「初心LOVE」の632655枚と大きく開くことになるならば、やはり動画施策の見直しは必要だというのが私見です。

*1:今年度における初週フィジカルセールスのトップ3は、最新ソングスチャートのフィジカルセールス指標に関する記事(→こちら)で解ります。