最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。
3月28日~4月3日を集計期間とする4月6日公開(4月11日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Snow Man「ブラザービート」が初の首位を獲得しました。
【ビルボード】Snow Man「ブラザービート」今年度最高初週売上となる809,082枚を売り上げ合計4冠で総合首位獲得 https://t.co/F0daSipnLw pic.twitter.com/AJTi8qSgdd
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年4月6日
Snow Man「ブラザービート」は16865ポイントとなり、昨年12月15日公開分(12月20日付)におけるAimer「残響散歌」の16978ポイントに次ぐ今年度2位の週間ポイントを記録。デジタルを解禁すれば間違いなく今年度1位だったことが想像できます。
CHART insightにおける青の表示はストリーミング指標を示し、サブスクおよびYouTubeオーディオストリーミングの再生回数に基づきます。上記記事では『3月2日にミュージック・ビデオ、9日にダンスプラクティス動画が公開され、動画指標で初登場1位→2位→2位→2位→当週1位と好調を維持』とあり、動画をオーディオストリーミングで聴いた方も多いことがストリーミング指標の加点につながったと捉えていいでしょう。
しかもこの2つの動画が共にフルバージョンでアップされているというのが肝であり、サブスクの代替としてオーディオストリーミングでチェックした方が少なくないことを想起させます。
Snow Man「ブラザービート」はTikTokでも好調に推移。
2位にはSnow Manの最新曲「ブラザービート」が初登場。彼らが主演する映画『おそ松さん』の主題歌で、メンバーたちがキャラクターに扮して踊る映像や振り付け動画が話題を呼び、さらに<イーアルサンスー イーアルサンスー>の6秒ほどのパートだけを踊る投稿が増えていることから、ファン以外のユーザーに親しまれていることがわかる。
ビルボードジャパンによる4月6日公開分(4月11日付)TikTok Weekly Top 20では「ブラザービート」が2位に初登場。記事では『アプリ内で映画とコラボしたエフェクトがスタートしたばかりで、ダンス動画はもちろん、他コンテンツでの使用率・視聴率が増えることを考えると、これから勢いが加速する可能性もある』とし、今後の人気拡大を予想されています。
これで思い出したのが、なにわ男子「初心LOVE」。動画の充実且つTikTokの活用により、ジャニーズ事務所所属歌手の作品で異例とも言えるロングヒットにつなげています。
「初心LOVE」は現在も動画再生指標が20位以内となっていますが、上記短尺版のミュージックビデオに加えて複数の動画をアップしたことが功を奏しています。「初心LOVE」はダンスバージョンの下記動画がミュージックビデオよりも再生回数が多く、動画がフルバージョンであること、そしてそれにより動画を(オーディオ)ストリーミングでチェックしたいというユーザー意識の反映と言えるでしょう。
その結果としてでしょう、「初心LOVE」は複数週に渡りストリーミング指標を獲得しています。仮にこの曲がダウンロードやサブスクで解禁されていたならば現在もソングスチャート100位以内で推移し、且つチャートポリシー変更以降において週間獲得ポイント数で新記録を樹立したことは間違いないはずです。
Snow Man「ブラザービート」はなにわ男子「初心LOVE」に近い動きをなぞるものと思われ、早急に100位未満になることはないでしょう。そしてそこにはデジタルの力が大きく影響していると言えますし、Snow Man側もその力を解った上で施策を展開しているのではないでしょうか。
だからこそ、「ブラザービート」や「初心LOVE」がダウンロードやサブスクで解禁されていないことは本当に勿体ないというのが私見。TikTokの人気は動画再生そしてストリーミングに大きく波及することが、これまでのTikTok発のヒット曲のチャートアクションならびに博報堂によるビルボードジャパンソングスチャートの研究成果から明らかなのです。
Snow Man「ブラザービート」は今年度最大となる80万枚強のフィジカルセールスを獲得し、前作「Secret Touch」の初週セールスを5万枚以上上回りました。この記録が動画効果にも基づくものであるならば、デジタルの充実とフィジカルセールスとが連動していると捉えることも可能かもしれません。ジャニーズ事務所側にはデジタルに明るくなることを心から願っています。