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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「ブラザービート」は「初心LOVE」以来の大ヒットジャニーズ曲となるか? チャートアクションと戦略の類似性を読む

4月13日公開分(4月18日付)ビルボードジャパンソングスチャートでは3位にSnow Manブラザービート」がランクイン。前週首位だったこの作品は、2週連続でのトップ3入りを果たしています。

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上記CHART insightにて、総合チャートは黒で表示。ジャニーズ事務所所属歌手の作品で2週連続トップ3をキープしたのはSixTONES「マスカラ」(2021 1→3位)、なにわ男子「初心LOVE」(2021 1→1位)以来となり、2022年度では初。最新週における5509ポイントは決して高いとは言えないかもしれませんが、2~6位が5千ポイント台で僅差だったことも優位に作用したと言えます。

注目は、CHART insightで緑にて表示されるカラオケ指標の初加算。この指標がフィジカル関連指標加算2週目までに登場するジャニーズ曲は同じくなにわ男子「初心LOVE」以来となるのです。「初心LOVE」のCHART insightをみると、フィジカルセールス(黄色で表示)初加算週に総合チャートを制した同曲において、カラオケ指標が翌週初めて加算されていることが解ります。

(上記はショートバージョン。)

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おそらくはここ最近のジャニーズ曲で最も勢いがあり、且つ最も広く世間一般に浸透しているであろう「初心LOVE」に次ぐ大ヒットに「ブラザービート」は成っていくかもしれません。尤もカラオケ指標において、Snow Manは2作前のシングル「HELLO HELLO」でもフィジカル関連指標加算2週目に初加算されており、歌手自体の勢いや浸透度は高いと言えますが、前作「Secret Touch」においてカラオケ指標初加算は遅れています。

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Snow Manブラザービート」の認知浸透度の高さはソングスチャートにおける動画再生指標の首位キープにも表れていますが、動画再生を含む接触指標群に影響を与えるのがTikTok。「ブラザービート」はビルボードジャパンによる最新4月13日公開分(4月18日付)TikTok Weekly Top 20で2週連続となる2位にランクインしているのです。

2位にはSnow Manの「ブラザービート」、3位にKOIN「2022」と、トップ3は前週と変わらず。前週比155%、110%と、どちらも上昇傾向で、次週の結果も見逃せない。「ブラザービート」は映画『おそ松さん』とコラボしたエフェクトや<イーアルサンスー イーアルサンスー>の“簡単そうで難しい” 片足立ちがユーザーの挑戦意欲を掻き立てている。

TikTokでヒットしたジャニーズ曲という点でも、「ブラザービート」は「初心LOVE」と共通しています。

(なお、ビルボードジャパンにおけるTikTokソングスチャートは2022年度初週に内容を変更し、名称も新しくなっています。詳細はTikTokとビルボードジャパン、新たな楽曲人気チャート「TikTok Weekly Top 20」を発表開始 | TikTok ニュースルーム(2021年12月9日付)をご参照ください。)

最新4月13日公開分(4月18日付)ビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標において、Snow Manブラザービート」はなにわ男子の新曲「The Answer」を抑えて連覇を達成。動画再生指標でのジャニーズ曲ワンツーフィニッシュは極めて珍しい状況です。

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これはまさに、ジャニーズ事務所側が動画を主体にネットとの親和性を意識して高めていった、その成果と言えるでしょう。この点についてはビルボードジャパンのチャートマネージャーを務める礒崎誠二さんが、自身がMCを担当するビルボードポッドキャストでも先週語っています。

ポッドキャストではSnow Man側のダンスプラクティス動画へのこだわりにも触れられていますが、「ブラザービート」はYouTubeでアップされたミュージックビデオおよびダンスプラクティス動画が共にフルバージョン。なにわ男子「初心LOVE」はミュージックビデオこそ短尺版ですが、下記2バージョンはいずれもフルサイズでアップされており、その点においても共通していると言えるでしょう。

その動画充実という戦略のひとつの成果が、「ブラザービート」のカラオケ指標早期加点と捉えていいかもしれません。Snow Manブラザービート」は次週以降の動向如何では、なにわ男子「初心LOVE」に続く大ヒットジャニーズ曲と成るでしょう。

 

ジャニーズ曲の大半がサブスク未解禁のためにTikTokや動画からの流れがストリーミング指標に生まれないのは至極勿体ないのですが、その点については前週お伝えした通り(下記リンク先参照)。今回はその前週におけるブログエントリーと似た内容となりましたが、カラオケ指標の早期加算等を踏まえあらためて、「ブラザービート」と「初心LOVE」の類似性を紹介させていただきました。

ジャニーズ事務所側はデジタルについて緩やかながらも着実に意識を変えているゆえ、サブスクもいずれは…そう好意的に捉えたいですね。