イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

INI、BE:FIRST、なにわ男子…3組のデビュー曲におけるチャートアクションに少しずつ差が生じている件

(※報告(10時09分):貼付したYouTube動画が一部視聴できない状況となっております。つきましては後程あらためて貼付を実施します。)

 

 

 

一昨日発表された1月12日公開(1月17日付)ビルボードジャパンソングスチャートについては、昨日解説を行いました。

昨日は最新ソングスチャートにおいてポイント前週比が1割以上伸びた曲を中心に紹介しましたが、他にも1割以上伸びた作品はいくつかみられます。その中のひとつがなにわ男子「初心LOVE」(ポイント前週比114.8%)なのです。

(上記ミュージックビデオはショートバージョンとなります。)

 

1月3~9日を集計期間とする最新ソングスチャートは年末の音楽特番等の影響力が持続、ダウンロードは落ち着きつつもストリーミングが堅調に推移していることが特徴です。ダウンロードはメディア露出の直後に大きく増加する指標ですが、最新ソングスチャートでは初登場以外でこの指標の伸びが突出した曲はないと言えます。つまり今回の集計期間中、レギュラーの音楽番組がなかったことも影響したと考えてよいでしょう。

ゴールデンおよびプライムタイムに放送される4つのレギュラー音楽番組、2022年1回目の放送は最も早い『ミュージックステーション』(テレビ朝日)でもOAは本日。しかしながら今回は昨年の振り返り企画の模様であり、新曲主体の通常回はおそらく来週と思われます。他の番組でも通常シフトに戻るのは早くて今月下旬の模様です。

一方で音楽業界は今月も注目作が続々登場。今週は優里さんやマカロニえんぴつ、次週は宇多田ヒカルさん(デジタル先行)、そしてその翌週にはAdoさんのアルバムがリリースされます。リリースは他の月より少ないかもしれませんが、しかしながら1月リリース作品が注目されにくいという点においても、ゴールデンおよびプライムタイムのレギュラー音楽番組における新曲披露が少ない状況を残念に思います。

 

その中にあって、なにわ男子「初心LOVE」が伸びました。

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ソングスチャートではポイント前週比のみならず、順位も8ランク上昇し32位へ。カラオケは初のトップ50入りを果たし、ラジオ指標も300位以内に復活しています。フィジカルセールスは1位に返り咲き、売上枚数は前週比105.0%とこちらも好調です。

先程は最新ソングスチャートにおいてゴールデンおよびプライムタイムのレギュラー音楽番組が放送されなかったことをお伝えしましたが、なにわ男子は前週のソングスチャートの集計期間中に行われた『ジャニーズカウントダウン2021-2022』において「初心LOVE」を披露しています。そして最新ソングスチャートの集計期間には様々な番組にソロで出演を続けていました。

上記のほか、『ジャニーズカウントダウン』等がテレビの情報番組で紹介されたり、また東山紀之さん主演ドラマ『必殺仕事人』(テレビ朝日)の新作が1月9日に放送され、出演した西畑大吾さんはその番宣として週末様々な番組に出演と、なにわ男子のテレビ露出は非常に多かった印象があります。このような状況が、テレビで音楽番組が少なかったとしてもなにわ男子「初心LOVE」の堅調につながったと捉えています。

一方でなにわ男子「初心LOVE」は動画再生指標が5→6位に後退。またYouTubeにおける歌ってみた等UGC(ユーザー生成コンテンツ)の再生回数に基づくTop User Generated Songsチャートで13→20位、TikTokの人気曲を示すTikTok Weekly Top 20では7→9位といずれもダウンしています(いずれも1月12日公開分(1月17日付)より)。動画人気にはやや陰りがみえており、テコ入れを行う必要があるかもしれません。

 

とはいえ、ダウンロードやストリーミング未解禁が多いジャニーズ事務所所属歌手の作品において、フィジカル関連指標の初加算以降8週連続で「初心LOVE」がトップ40をキープするのは異例のこと。同時期にフィジカルデビューを果たしたINIおよびBE:FIRSTと比べても、なにわ男子の凄さが解ります。

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デジタルをきちんと解禁しているINI「Rocketeer」およびBE:FIRST「Gifted.」は、しかしながら接触指標群が緩やかに降下。また所有指標はフィジカルセールスこそこれまでほぼ50位以内をキープしながら、ダウンロードにおいては早々に300位以内を割り込んでいます。これは彼ら男性ダンスボーカルグループのテレビ露出が少ないことも影響しているだろうとはいえ、寂しい結果と言えます。

一方でなにわ男子「初心LOVE」はフィジカルに関連した所有指標(セールス)および接触指標(ルックアップ)の双方が好調に推移*1。動画再生は緩やかに下降するも未だ好調ゆえ、仮にダウンロードやストリーミングが解禁していたならばもっと大きなヒットに至れていたと容易に想像できるのです。

INI、BE:FIRSTおよびなにわ男子がいずれも昨年11月にリリースしたデビュー曲については先月にもチャート動向を比較していますが、ともすれば「初心LOVE」と「Rocketeer」および「Gifted.」では、その差が少しずつ拡がっていると言えるかもしれません。無論デビュー曲の成功事例等を次の作品に活かすことも必要ですが、そのリリースまでに如何にヒットを継続させるかについても対策する必要があるでしょう。

 

その点において、ちょっと考えたことがあります。

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上記CHART insightでは判りにくいのですが、BE:FIRSTのプレデビュー曲「Shining One」は、最新1月12日公開分(1月17日付)においてダウンロード指標が100位未満ながら300位圏内に復活しています。また動画再生指標は前週に100位未満(300位圏内)から50位に復活し、最新週でも65位に登場しています。

1月2日日曜放送の『世界の果てまでイッテQ!』の中で、森三中大島美幸さんが合宿の余興の中でBE:FIRSTのRYUHEIさん役になりきり「Shining One」をパフォーマンス、また村上知子さんがSKY-HI さん役を演じていたことが話題になりました。このパフォーマンスがデジタル関連指標を押し上げたことは間違いないでしょう。

BE:FIRSTを輩出したオーディション、THE FIRSTでボイストレーニングを担当したりょんりょん先生こと佐藤涼子さんが今回の企画に裏方として参加していたことがTwitterで解ります。また番組の企画そのものにTHE FIRSTを意識した演出がみられ、その箇所をSKY-HIさんがTwitterで採り上げていました。

しかしそのSKY-HIさんやBE:FIRSTのTwitterアカウントにおいて、「Shining One」が番組で流れた直後に各デジタルプラットフォームへ遷移するリンク等を提示することは行われていなかった模様です。放送前にどこまで情報を知っていたかにもよるでしょうが、しかし後から知ったとしても下記のようなツイートをするだけで、番組を機に興味を持ったさらに多くの方をデジタルに惹きつけることが可能だったのではないでしょうか。

少なくとも、自ずと「Shining One」のミュージックビデオにアクセスする方が多かったことはチャート動向から掴めます。テレビで取り上げられることは千載一遇の好機ゆえ、それを逃すことなく、そしてより効果を増幅させる一手を行うことが重要になるのではないでしょうか。

*1:ルックアップはCDをパソコン等に取り込んだ際のインターネットデータベースであるGracenoteへのアクセス数を示し、レンタル数の推測を可能とします。