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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】年末年始人気コンテンツの影響が反映、その中でとりわけ重要な指標とは

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

1月3~9日を集計期間とする1月12日公開(1月17日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。「一途」が首位をキープ、さらに「逆夢」が2位に入り、King GnuBTS以来となるワンツーフィニッシュを達成しました。

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「一途」はフィジカルセールス加算2週目のためポイントはダウンするも前週比76.5%と好調に推移し、2週連続の1万ポイント超えを達成。また「逆夢」はポイント前週比115.0%となり、3週連続で前週超えを果たしています。これによりKing Gnuは、昨年7月14日公開分(7月19日付)におけるBTS「Butter」および「Permission To Dance」以来となるワンツーフィニッシュを達成しました。

 

正月休みが終わり、ストリーミングが全体的に先月規模の再生回数を取り戻す一方で、訴求力の高いニュー・リリースが無かったため、シングルが低調となり、ストリーミングで存在感を発揮する楽曲が軒並みランクアップする展開となった。

総合ソングスチャートの振り返り記事について勝手ながら付け加えさせていただくとすれば、フィジカルセールス(記事におけるシングル)は最も売れたなにわ男子「初心LOVE」で10,937枚にとどまっています。それによりフィジカルを武器に上位に登場する曲が少なかったという状況です。

今回上位をキープした曲は、大ヒット中の映画『劇場版 呪術廻戦0』や、昨年末の音楽特番で話題になった曲が大半。今回の集計期間中に仕事が再開し、職場等で話題になったコンテンツを振り返る方が少なくなかっただろうことも、勢いキープの要因と言えそうです。

最新ソングスチャートでポイントが前週より1割以上上昇した曲は、その多くが年末の音楽特番で話題になった作品。『NHK紅白歌合戦』で披露された藤井風「きらり」(7位)がポイント前週比112.5%、YOASOBI「群青」(10位)が同115.3%、DISH//「猫」(30位)が同120.1%を、日本レコード大賞関連ではマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」(6位)が同119.7%を記録しています。

(ただし一方では、日本レコード大賞受賞のDa-iCECITRUS」(9位)がポイント前週比103.4%、日本レコード大賞およびNHK紅白歌合戦で披露されたAwesome City Club「勿忘」(12位)が同92.0%となっており、必ずしもすべての曲が前週比10%以上アップに至っているわけではありません。)

今回好調な伸びを示すとして紹介した曲は、前回のソングスチャートを振り返ったブログエントリーでも触れています。

以前からこのブログにて、テレビの影響がこの指標に如実に反映されると紹介していますが、今回その通りの結果に。曲への馴染みが深い方は繰り返し聞く姿勢を強化し、あまり知らなかった方はその興味がまずは所有へ向かうだろう状況が可視化されたと言えます。

※引用部分における"この指標"とはダウンロードを指します。

メディア露出で興味を持った方の行動はまずダウンロードに大きく反映されますが、その後はストリーミングや動画再生といった接触指標群の堅調につながります。下記ストリーミング指標の記事によるとKing Gnu「一途」(前週比101%)や「逆夢」(同118%)、藤井風「きらり」(同130%)が前週超えの再生回数を達成。休み明けでストリーミング聴取傾向が戻ったゆえとも言えますが、話題曲の上昇が際立つ形となりました。

最新ソングスチャートのCHART insightをみると、はっきりと見えてくるものがあります。

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ビルボードジャパンの総合ソングスチャート振り返り記事では『ストリーミングで存在感を発揮する楽曲が軒並みランクアップ』とありますが、ストリーミング指標(上記CHART insightでは青で表示)の上位10曲は総合11位までに登場し、他指標よりも極めて影響力が大きいことが解ります。レコード大賞や紅白の影響が薄れダウンロードが落ち着いてもポイント上昇に至れたのは、接触指標群の堅調につながったゆえなのです。