毎週木曜は、最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。
9月6~12日を集計期間とする9月15日公開(9月20日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。フィジカル関連指標初加算に伴い、KAT-TUN feat. AK-69「We Just Go Hard」が初登場で首位を獲得しました。
【ビルボード】KAT-TUN「We Just Go Hard feat. AK-69」134,842枚を売り上げ総合首位、ザ・キッド・ラロイ×ジャスティン・ビーバー「ステイ」トップ10入り https://t.co/9z5cVYhXBk pic.twitter.com/DTMgRdvPWv
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年9月15日
KAT-TUNは前作「Roar」に続き、「We Just Go Hard」およびフィジカルでダブルAサイドとなる「EUPHORIA」をフィジカルリリースと同日にデジタルでも解禁しています。
本日9月8日(水)発売!!!🎉
— KAT-TUN 15TH ANNIVERSARY (@KATTUN_0322) 2021年9月7日
KAT-TUN ニューシングル
「We Just Go Hard feat. AK-69」
/「EUPHORIA」
KAT-TUN 渾身の新曲です🔥
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一方で、デジタルの効果は薄かったと言えるかもしれません。前作では「Roar」と同時にデジタル専用のカップリング曲として用意された「Flashback」も総合100位以内に入った一方、今回「EUPHORIA」は総合100位以内を逃しています。そして今回の2曲は共にストリーミング指標で300位以内に入っていません。
「Roar」については、昨日のブログエントリーでジャニーズ事務所所属歌手の作品におけるデジタル解禁の好例として取り上げました。
ともすれば今作の動向に意気消沈して今後デジタルに後ろ向きになるのではという危惧感を抱きかねないのですが、しかしKAT-TUNにおいてはデジタルへのアプローチを改善すればチャートアクションが好転するだろう、そのポイントがいくつかあるものと考えます。
まずは動画再生。ストリーミング同様に接触指標であるこの指標が弱いのが気掛かりです。「Roar」では3週、100位未満ながら300位以内に入ったことで加点対象となった動画再生指標が「We Just Go Hard」「EUPHORIA」では共に対象外に(上記CHART insightにおいて動画再生は赤で表示)。ジャニーズ曲がこの指標において高位置に登場するようになってきたことを踏まえれば、この状況は気になります。
YouTubeでもアップしていることを訴求するのみならず、フルバージョンでアップすることやKAT-TUN専用の公式YouTubeチャンネルを用意してそこでアップするほうがより広く届きやすいでしょう。また、ともすればダブルAサイドという位置付けが主にラジオ指標での票割れに至った可能性もあるため、シングル表題曲をどちらかに一本化すべきだったかもしれません。
デジタルを先行解禁することも一案です。コアなファンの方はフィジカル、デジタル共に手に入れる方が少なくないでしょう。デジタル先行で解禁してフィジカルリリース前にチャートで結果を出せば、その曲が後にフィジカル化されることを広く世間に意識させることも可能です。
いや、デジタル先行すればフィジカル関連指標加算初週におけるインパクトが薄れるのでは…そう思う方もいらっしゃるかもしれません。しかしLiSA「HADASHi NO STEP」が最新ソングスチャートにおいてダウンロード指標を制したこと、その理由がフィジカルリリースにあることを踏まえれば、デジタル先行解禁は一度取り組んでみてもいいはずです。
8月4日付チャートで8位に初登場した「HADASHi NO STEP」は、その後トップ40圏内をキープし続けていたが、9月8日のフィジカル盤発売を受けて、チャートイン7週目にして首位に輝くこととなった。そのフィジカルでは5位に初登場し、総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で前週96位から14位まで上昇し、最高位を記録した。
ストリーミングにおいては、LINE MUSIC再生回数キャンペーンを用いるという手段もあります。昨日ダブルAサイドとなるフィジカルシングル「Fear」「SO BLUE」をリリースしたKis-My-Ft2はLINE MUSIC限定でサブスクを解禁していますが、2曲とも再生回数キャンペーンを用意。9月1日に先行解禁された「SO BLUE」は1週間限定でキャンペーンを用意したことで一定の成果につながりました。
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CHART insightではストリーミングは青の折れ線で表示。ミュージックビデオがYouTubeにアップされていないために動画再生指標は未加算ですが、9月8日公開(9月13日付)ではストリーミング15位、総合23位に登場。キャンペーン終了後の失速は目立つものの、LINE MUSIC再生回数キャンペーンの実施はチャートでのインパクトやフィジカルセールスの訴求につながるものと考えます。
これら施策は、デジタル解禁を前もって決めていればより綿密に計画できるはずであり、腰を据えて取り組むことを期待します。そう思う理由はジャニーズ曲のデジタル解禁への希望もさることながら、ビルボードジャパンがフィジカルセールスのみに強い曲に対して十分なヒット曲と捉えていないだろうと感じるためです。
総合首位の #KATTUN feat. #AK69「#WeJustGoHard」について。
— Kei (@Kei_radio) 2021年9月15日
『総合2位に返り咲いたBTSの「Butter」に約2,000ポイント差まで詰められており、KAT-TUNにとって気の抜けないチャート結果となった。』
記事を書かれる方、接触指標に強くない作品に対して厳しい見方をされていると言えるかもですね。 https://t.co/TWr5UnONQW
おそらくは、自分も希望するフィジカルセールス指標のウェイト減少がそう遠くない未来に叶うものと考えます。前週懸念した内容がその通りになってしまったことを踏まえれば尚の事です。自分の希望も含め、懸念する内容は下記エントリーに記載しています。
事実、SKE48「あの頃の君を見つけた」は総合首位獲得の翌週に100位未満となってしまいました。
フィジカルセールスに長けている事は凄いことです。しかしながらコアなファンの域を超えないヒットは社会的に浸透しているとは考えにくいというのが私見であり、ビルボードジャパンもおそらくは同様の見解でしょう。だからこそ、特にライト層の意向が反映される接触指標群を充実させる必要があるのです。
KAT-TUN feat. AK-69「We Just Go Hard」が前作「Roar」のように2週連続でトップ10入りするかは微妙かもしれませんが、デジタル解禁の恩恵は少なからず受けるはずです。そして今後もデジタル解禁を続けるならば、より広く訴求できるよう努める必要があります。フィジカルセールスを主たる武器ではなくデジタルと同等、もしくはデジタルに上乗せできる武器という位置付けで臨むことが必要でしょう。