イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の最新動向…上位をキープした「JANE DOE」「NINE LIVES」について考える

昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。

 

<2025年10月8日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・米津玄師, 宇多田ヒカル「IRIS OUT」

 10月1日公開分 2位→10月8日公開分 2位

・超特急「NINE LIVES」

 10月1日公開分 3位→10月8日公開分 12位

SKE48「Karma」

 10月1日公開分 4位→10月8日公開分 100位未満

 ・DXTEEN「両片想い」

 10月1日公開分 5位→10月8日公開分 100位未満

・STARGLOW「Moonchaser」

 10月1日公開分 7位→10月8日公開分 33位

 

当週のストリーミング表はこちら。

 

 

今回採り上げた5曲は”フィジカルセールス未加算で勢いをキープできている曲”、”フィジカルセールス未加算で勢いはキープできていると言い難い曲”、”フィジカルセールス加算対象で勢いをキープできている(ようにみえる)曲”、”フィジカルセールス加算対象で勢いがキープできていない曲”に大別可能です。

 

米津玄師, 宇多田ヒカル「JANE DOE」は、米津玄師「IRIS OUT」がなければ総合チャートで連覇可能だったといえるほどの勢いを保っています。これは2週連続で1万ポイント超えを果たしている点からも明らかであり、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートの再生回数は2週連続で1300万回台に。再生回数が如何に強力かは、下記グラフから読み取れるはずです。

 

フィジカルセールス指標加算2週目の曲は翌週急落することが目立つものの、超特急「NINE LIVES」においては3→12位と推移。ストリーミング指標が9→10位となっておりヒットしていると映る一方、先述したストリーミング表からも解るようにLINE MUSICと他のサブスクサービスで大きな乖離が生じています。これは同曲がLINE MUSIC再生キャンペーンを実施し、高い再生回数ハードルを用意していることに起因します。

ストリーミングと比例する傾向にある動画再生は前週の99位から300位未満に後退し、同指標はポイント未加算。これもあって尚の事、超特急「NINE LIVES」では音楽チャートでのヒットを願う、またはキャンペーン当選のために頑張るファンダムと、グレーゾーンとの両極に分かれているという印象であり、コアファンに昇華する可能性を秘めたライト層があまり見当たらないように感じています。

上記エントリーではLINE MUSIC再生キャンペーンについてあらためて疑問視し、同サービスをチャートに採り入れるビルボードジャパンに対する提案を記していますが、音楽チャート管理者やLINE MUSICのみならず、歌手側そしてファンダムにおいても、物理的また精神的疲弊を生み出しかねないキャンペーンの是非について積極的に考える必要があるというのが私見です。