日本のSpotifyデイリーチャートにおいては再生回数増減に関する特性が存在します。デイリーチャート50位までをまとめたトップ50プレイリストの影響力反映、再生回数は平日(中でも金曜が最も低い)よりも土曜および日曜が高くなる等。これらについては下記エントリーにてまとめています。
その日本では今もフィジカルセールスが(デジタルのリリースタイミングにおいても)主体と考えられているゆえか、水曜に初登場する曲が少なくありません。また水曜や月曜に最新曲主体のプレイリストが更新されることも影響するのですが、その中にあって先週1月29日木曜付では、Number_iの楽曲群が大きく上昇していました。
日本における1月29日付Spotifyデイリーチャート、50位以内で再生回数前日比1割以上上昇曲。#Number_i「3XL」 再生回数前日比118.0% 5→4位
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2026年1月30日
Number_i「LAVALAVA」 同123.2% 38→22位
Number_i「GOD_i」 同110.8% 32→26位#なとり「セレナーデ」 同110.7% 50→49位
日本における1月29日付Spotifyデイリーチャート、51~100位で再生回数前日比15%以上上昇曲。#Number_i「未確認領域」 再生回数前日比150.1% 102→53位
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2026年1月30日
Number_i「i-mode」 同129.5% 91→57位
Number_i「Numbers Ur Zone」 同119.6% 97→66位
Number_iの上昇は、1月29日にリリースされた新曲「3XL」の、そのリリース合わせて開催したリスニングパーティーに伴うもの。リスニングパーティーに用いられるStationheadはSpotify(有料会員限定)とApple Music(無料会員は存在せず)と紐付くサービスとなります。
Digital Single「3XL」リリース記念
— Number_i official (@number_i_offic) 2026年1月22日
Stationhead【UNLIMITED LOVE of 3XL】開催決定!
好きな時間にStationheadに参加しよう!
期間:1/26(月)1:00〜2/20(金)23:59
※メンバー参加は1/29(木)19:00~19:30
※メンテナンス時間あり
フォローはこちらから
▶︎https://t.co/kRixjw8MaG#Ni_3XL… pic.twitter.com/NL287nEZjF
さて、上記ポストでのリスニングパーティー開催期間から解るように、Number_i「3XL」はSpotifyやApple Musicに加えてYouTube Musicでも、1月26日に先行でリリースされています。この施策を興味深く感じています。
2026年1月29日(木)リリース
— Number_i official (@number_i_offic) 2026年1月22日
Digital Single「3XL」
2026年1月26日(月) Apple Music・Spotify・YouTube Music にて
先行配信リリース決定!
リリースまでお楽しみに✨
Digital Single “3XL” Pre-add/Pre-save🎧https://t.co/y9qN10X0dU#Ni_3XL #Number_i
---
2026.1.29 (Thu) Release
Digital… pic.twitter.com/iwPQjxMBXF
Number_iは音楽チャートにおける初登場での上位進出に意欲的であり、これまでは日本の音楽チャートで集計期間初日に当たる月曜に音源をリリース、同曜日にミュージックビデオを解禁し、またラジオでは帯番組やコーナーでの大挙オンエアという施策を徹底してきたと捉えています。このスケジューリングはBE:FIRSTが確立し、今ではSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手も踏襲しているという印象です。
しかしながら「3XL」では1月29日木曜をリリース日、1月26日月曜を先行配信日と設定しています。このスケジュールは平野紫耀さんの誕生日(1月29日)に合わせたとの指摘をXにて教えていただいたのですが、そのメンバーの誕生日を大事にしながら音楽チャートも考慮し、Stationheadを活用したリスニングパーティーを月曜以降に開催すべくNumber_iは「3XL」を月曜に先行配信したのかもしれません。
ひとつのデジタルプラットフォームによる先行ないし独占配信という施策は存在します。海外ではSpotify限定のカバー曲が登場、また昨年はカイリー・ミノーグが「Xmas」にて英チャートを久々に制しましたがこちらはAmazon Musicのみの限定となります。一方でNumber_i「3XL」のような、先行解禁を複数のサブスクサービスにて実行するという施策は、記憶にありません。
Number_iは歌手側、およびファンダム(音楽チャートに意識的なコアファンと定義)の双方にて、日本の歌手の中ではStationheadの活用が優れています。そのこともありNumber_iはSpotifyでのヒットが際立っているのですが、一部サブスクサービスに配信を絞るといういわば"選択と集中"を実施し、より高いインパクトを示すことも今回の施策の目的ではないかと捉えています。
日本のSpotifyデイリーチャートにおける、#Number_i 主要作品の初登場順位。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2026年1月26日
「GOAT」 30位
「Blow Your Cover」 56位
「BON」 52位
「INZM」 53位
「HIRAKEGOMA」 66位
「GOD_i」 33位
「未確認領域」 50位
「Numbers Ur Zone」 53位
「LAVALAVA」 73位
「3XL」 11位 https://t.co/p6cQSfrDc7
午前9時頃が一日の区切りと思しき日本のSpotifyにおいて、Number_iの曲の多くがリリースの前日付にてフライング的な形で初登場を果たしていますが、「3XL」はその中で最高位を記録。このことも選択と集中の成果と呼べるものかもしれません。そして正式なリリース日にメンバー出演のリスニングパーティーを開催したこともあり、同日付では新曲および旧曲の人気が上昇。さらにミュージックビデオは高位置を記録しています。
たとえば新作リリース日の設定ひとつをとっても、すべての歌手が何かしらの施策を実行しているというのが音楽チャート分析者としての考えです。一方で、自分はこのような見方も持ち合わせています。
音楽チャートの施策は、コアファンに過度な物理的または精神的(もしくはその双方)の負担を強いるものでなければ自由だというのが私見です。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年11月2日
ただし他の歌手の作品と条件を揃えることが大前提であり、デジタル未解禁やアルバムでの単曲ダウンロード禁止等、制限を伴うものには強い違和感を抱きます。
上記を踏まえるに、今回のNumber_i「3XL」における一部サブスクサービス限定での先行配信施策は他サービスの『制限を伴う』点にて違和感を抱くというのが、率直な私見です。
Number_i「3XL」の施策からは、テイラー・スウィフトが最新アルバム『The Life Of A Showgirl』のリード曲「The Fate Of Ophelia」において実行したダウンロード先行/サブスク後発策が想起されます。この施策は複数のリミックス版にて行われています。
テイラー・スウィフトもまた、ファンダムの熱量が高い歌手で知られています。ダウンロード先行施策はストリーミング解禁前にいち早く購入する行動につながり(購入がコアファンであることを証明するという意味にも)、ダウンロードが増えることでチャートでの強化にもつながります。ファンダムとの良好な関係性がテイラーによる施策実行の背景にあると捉えていますが、同種の関係性はNumber_iにも当てはまるかもしれません。
一方でLINE MUSIC等、「3XL」の先行配信対象とならなかったサブスクサービスを用いているNumber_iのコアファンの方は、今回の件をどう思ったのか気になります。
Digital Single「3XL」が日本デイリーミュージックビデオ ランキングにて1位、YouTube 世界 デイリーミュージックビデオ ランキングにて6位にランクインいたしました✨
— Number_i official (@number_i_offic) 2026年1月31日
iLYsの皆さま、いつもたくさんの愛をありがとうございます!
3XL (Official Music Video)https://t.co/kpPEiUlU2I#Ni_3XL… pic.twitter.com/qP69oO4gAN
Number_iのファンはiLYsと呼ばれていますが、キャリア最速でのミュージックビデオ1千万回突破の際にはそのiLYsへの感謝の意が述べられています。一方で、これは捻くれた見方と指摘されかねませんが、コアファンのみならずライト層(歌手のファンではないが曲が気になる方々)もストリーミング再生に貢献しているはずであり、ゆえに上記ポストにおける感謝の意の対象範囲が気になった次第です。
コアファンとの良好な関係性をキープする意味でも、ファンネームを用いて感謝を述べるほうがより好いと考えるのは自然なことです。他方、たとえばKing & Princeは最新作『STARRING』が1月14日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートで3連覇を達成した際、感謝の意を"みなさま"に向けて綴っています。
𝗕𝗶𝗹𝗹𝗯𝗼𝗮𝗿𝗱 𝗝𝗔𝗣𝗔𝗡 𝗛𝗼𝘁 𝗔𝗹𝗯𝘂𝗺𝘀 3週連続1位を獲得いたしました🎊
— King & Prince (@kp_official0523) 2026年1月15日
みなさまの日頃の応援のおかげです!
とても嬉しい報告をさせていただき、ありがとうございます!!✨#STARRING#KingandPrince#永瀬廉#髙橋海人 https://t.co/3Id9zVshd5
(中略)
ストリーミング指標ではコアファンやファンダム(チャートに意識的なコアファンの集合体と定義)による割合が所有指標群に比べて大きくなく、ライト層(歌手のファンではないが曲が気になる層と定義)やグレーゾーンの聴取行動も大きく寄与します。ゆえに、それを理解した上での”みなさま”という言葉選びだったのではと捉えています。
ミュージックビデオの再生回数が対象となるビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標も接触指標群のひとつであり、ライト層による行動が所有指標以上に反映されます。King & Prince『STARRING』は直近1月28日公開分のアルバムチャートでストリーミング指標5連覇を達成していますが、Number_i「3XL」はソングチャートにてストリーミングがどう推移するか、注目です。
本日公開のビルボードジャパンソングチャートではHANA「Cold Night」等と首位の座を競うことになるNumber_i「3XL」ですが、上位進出以上に重要なのはその翌週以降における動向を確認し、社会的ヒット曲に成るかを見極めることです。無論この注視は、すべての歌手の作品に対しても当てはまるものです。