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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米津玄師「IRIS OUT」の初速に注目…一方で記録発信時の表現等が気になったことについて

今週月曜にリリースされた米津玄師「IRIS OUT」が、次週以降のビルボードジャパンソングチャートで記録的な数値を獲得するものとみられます。

 

米津玄師『IRIS OUT』は9月19日公開の映画「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」の主題歌。ミュージックビデオでは映画のシーンが用いられ、予告編の役割も果たしているといえます。米津玄師さんはテレビアニメ版『チェンソーマン』に提供した「KICK BACK」が日本のみならずグローバルでもヒットしており、新作映画共々新たな主題歌が注目されていました。なお「KICK BACK」については新たな記録が発表されたばかりです。

 

このブログエントリー執筆時における主要サブスクサービスの最新デイリーチャートでは、米津玄師「IRIS OUT」がApple Music(9月16日付)、Spotify(同日付)およびLINE MUSIC(9月17日付)のすべてにおいて首位を獲得。そしてデイリー200位までの再生回数が可視化されるSpotifyでは、驚異的な記録が誕生しています。

米津玄師「IRIS OUT」は9月14日日曜付の日本におけるSpotifyデイリーチャートで149,292回再生を記録し34位に初登場。Spotifyの一日の区切りが午前9時と思われるためフラゲの形で初ランクインした同曲は、初の24時間フル加算となった9月15日月曜祝日付で596,608回再生を記録し、登場3日目となる最新9月16日火曜付で再生回数をさらに伸ばした形です。

 

興味深いのは、土日祝日よりも平日の再生回数が下がる傾向にある日本のSpotifyデイリーチャートで、米津玄師「IRIS OUT」がその数値を伸ばしたという点にあります。

日本ではデイリー50位までをコンパイルしたトップ50プレイリストの効果が大きく、リストインすると翌日付以降のチャートで伸びる傾向にあります。プレイリストは22時以降に更新されますが、最新9月16日付では「IRIS OUT」が初の24時間フルリストインとなったことが平日ながらも上昇した要因といえるでしょう。これは日本のSpotify独特といえる”50位の壁”特性の一環と捉えています(この特性については下記エントリー参照)。

 

数値を大きく伸ばした「IRIS OUT」は、先述したようにSpotifyで今年最高再生回数記録を更新し、他の主要サブスクサービスでもデイリーで首位に。次回9月24日公開分ビルボードジャパンソングチャートは映画「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」の公開前後となりその盛り上がりがダウンロードや動画再生指標にも反映されるとみられるため、今年度未だ生まれていない週間2万ポイント超えの可能性は十分かもしれません。

そして、登場2週目となる10月1日公開分ではフィジカルセールス指標が初めて加算されます(ダブルAサイドシングルの場合は1曲のみが加点対象に)。来年のツアーに関するシリアルナンバー(抽選用)が封入されることで前作「Plazma」並となる30万枚前後の初週セールスが考えられることから、ルックアップおよびTwitter指標が廃止された2023年度以降のソングチャートでは初となる週間2万5千ポイント超えも有り得るでしょう。

 

 

米津玄師「IRIS OUT」の今後の動向に注目する一方で、最後に気になったことをふたつ記します。

 

まずは、米津玄師「IRIS OUT」のSpotifyでの記録達成に関するアナウンスについてです。

米津玄師さんのレコードレーベル、REISSUE RECORDSでは「IRIS OUT」が初の24時間フル加算となった日本の9月15日付Spotifyデイリーチャートでの記録について、上記のように記載しています。しかしながらこれは、厳密には正しくありません。デイリー歴代最高記録はCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が2024年3月16日付にて記録した746,630回再生であり、REISSUE RECORDSの発信は配信初日における記録となります。

(ブログ『Billion Hits』(→こちら)のあささんによるポストを貼付しています。)

この発信はTHE FIRST TIMESでも行われていますが、表現としては適切ではありません。

米津玄師、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』主題歌「IRIS OUT」が国内歴代記録を続々更新 – THE FIRST TIMES(9月17日付)より

※ 今後訂正される可能性を踏まえ、記事をキャプチャしたものを貼付しています。問題があれば削除いたします。

尤も、米津玄師「IRIS OUT」がCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の記録を抜く可能性は考えられるものの、表現の不十分さについては改める必要があります。

 

もうひとつは、米津玄師「IRIS OUT」は金曜にデジタルリリースしてよかったのではということです。ミュージックビデオが映画の予告編ともいえる内容ならば尚の事、映画の公開曜日に即して金曜に配信するのがより良かったのではないでしょうか。金曜というのは米ビルボードによる米やグローバルソングチャートの集計期間初日であり、より高い位置での初登場を狙えるという意味でも金曜リリースが最善だったと考えます。

米津玄師「KICK BACK」は米ビルボードによる2022年10月29日付グローバルチャートにおいてGlobal 200で13位、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では4位に登場しています。同日付チャートの集計開始2日前となる水曜に「KICK BACK」が配信開始されたことから、仮に金曜リリースだったならばダウンロード数がさらに加算され、Global 200でのトップ10入り、Global Excl. U.S.でのトップ3入りも有り得たでしょう。

「IRIS OUT」は月曜にリリースされていますが、日本での初速を踏まえれば9月27日付グローバルチャート(集計期間:9月12~18日)にて200位以内に初登場し、初の1週間フル加算となる翌週10月4日付でもランクインする可能性が考えられます。日本のみならず世界においても、「IRIS OUT」の動向に注目です。

(グローバルチャートについては米ビルボードによるグローバルチャートとは何か、そしてJ-POPの現在と課題とは (2024年5月更新版)(2024年5月19日付)をご参照ください。なおブログでは、日本の音楽業界がグローバルヒットを目指す一方で日本の音楽チャートが月曜集計開始ゆえ施策がどっちつかずになりかねない事態を憂慮し、日本の音楽チャートに対しチャートポリシー(集計方法)を海外に沿わせるよう変更提案を続けています。)