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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

総合アルバムチャートを制した藤井風『Prema』、収録曲の主要サブスクサービスにおける動向を確認する

9月1~7日を集計期間とする9月10日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートでは、藤井風『Prema』が首位初登場を果たしています。

本作は藤井 風の3作目となるアルバムで、全曲英語詞である他、リリース日に自身初の『ミュージックステーション』出演を果たしたことでも話題を呼んでいた。CDセールス数197,885枚で1位、ダウンロード数6,766DLで1位、ストリーミング2位と、いずれも高順位を獲得している。本チャートでは、『HELP EVER HURT NEVER』『LOVE ALL SERVE ALL』に続いて、3回目の首位獲得となった。なお、当週は『LOVE ALL SERVE ALL』が33位、『HELP EVER HURT NEVER』が36位にチャートインしている。

 

(なおブログ執筆時点にて、フィジカル初回盤に同梱されている既発曲集『Pre: Prema』(未発表曲「It’s Alright」含む)はデジタル解禁されていません(「It's Alright」以外は単曲にて接触/購入可能)。)

 

『Prema』は米リパブリックレコードからリリースされたこともあり、米の標準リリース日に準じる形で日本時間の金曜13時にデジタルリリースされています。フィジカルは前日にフラゲ的な形で手に入れられた方も少なくない模様ですが、日本の音楽チャートでは金曜リリースが不利になる状況ながら『Prema』は総合首位初登場を果たし、明日発表される総合チャートでも連覇を達成する可能性は十分といえます。

 

ビルボードジャパンアルバムチャートにおいてロングヒットに欠かせないストリーミング指標が2位を記録した藤井風『Prema』の、主要サブスクサービスにおける動向をチェックします。

(なお前週ストリーミング指標首位を獲得したSnow Man『THE BEST 2020 - 2025』は次回のチャートよりリカレントルールの適用対象となります(Snow Man『THE BEST 2020 - 2025』に次週以降リカレントルールが適用…今後の動向を注視する(9月10日付)参照)。)

 

 

まずは主要サブスクサービスにおける『Prema』収録曲の週間順位推移を掲載。上記表は『Prema』収録曲以外でランクインした曲を含み、Spotifyは金曜、Amazon Musicは日曜、Apple Musicは月曜(ビルボードジャパンと同様)、LINE MUSICは水曜が集計期間初日となります。またタイトルにある”ストリーミング表”はこのブログにて、毎週土曜のエントリー(CHART insightからヒットを読む カテゴリー)で掲載している表を指します。

 

藤井風『Prema』は金曜リリースゆえ、同日を集計期間初日とするSpotifyでの強さが目立つ印象ですが、ビルボードジャパンのストリーミング指標に最も大きな影響を与えるApple Musicでも収録曲がすべてランクインしています。一方、Amazon Musicは可視化範囲が週間50位までと狭いゆえ人気動向の確認は難しいといえますが、100位までが可視化されるLINE MUSICは若年層の利用率が高いことが影響しているものと考えます。

なお、Spotifyでの人気は、ポッドキャスト番組『Liner Voice+ Fujii Kaze』の人気も影響しているといえるでしょう。

(上記は『Liner Voice+ Fujii Kaze』Episode 1のポッドキャスト。)

 

注目したいのは、『Prema』収録の全曲が週間チャートにランクインしているSpotifyそしてApple Musicの双方にて、アルバムタイトル曲にしてリリース日にミュージックビデオが公開された「Prema」の人気が最も高く、先行2曲は「Love Like This」が「Hachikō」よりも順位が上回っていること。そしてその他6曲については巻頭を飾る「Casket Girl」が最も順位が高く、ラストに向けて順位が漸減するという点にあります。

アルバムリリース日に初出演した『ミュージックステーション』(テレビ朝日)では「Prema」披露時にコント的な演出を施しており、そのインパクトの大きさがチャート動向から推察されます。また番組冒頭では「Hachikō」もパフォーマンスされていますが、チャートアクションからはバラード需要がより大きいということが、(既発曲である)「満ちてゆく」の人気からも読み取れるといえるでしょう。

(なお「満ちてゆく」を含む『Pre: Prema』は現時点でデジタルリリースされていません。仮にリリースされていれば収録曲がさらに伸びた可能性があるのみならず、たとえばリリース日を集計期間初日とする最新9月20日付米ビルボードアルバムチャートにて200位以内に初登場した可能性は出てきたのではないかと捉えています。日本時間の昨夜発表されたこのチャートにて、『Prema』は200位以内に入っていません(→こちら)。)

 

それでも、タイプの異なる先行2曲、そしてタイトル曲それぞれのジャンルが異なることもあってか、また藤井風さんの注目度の高さゆえ、『Prema』をまずは聴いてみたいという音楽ファンの意思が、3曲以外の『Prema』収録曲における週間順位からもみえてくるというのが私見です。

 

 

では、デイリーチャートではどう推移したでしょう。デイリー200位までの順位および再生回数が可視化され、且つそのデータが残っているSpotifyの動向から追いかけます。

藤井風『Prema』は日本時間の9月5日金曜13時にデジタルリリースされたため、初の24時間フル加算となった9月6日付にて収録曲の多くが最高位および最高再生回数を記録しています。

一方でアルバムタイトル曲の「Prema」は9月12日金曜付で最高位、翌13日土曜付では最高再生回数に達しています。日本のSpotifyでは平日の中で金曜の勢いが最も弱まるのですが、その影響力が強くない点からは『Prema』の金曜リリースが周知されている可能性が考えられます。

さらにはSpotifyのエラーにより”50位の壁”特性が暫くの間登場しなかったことで、先行2曲やアルバムタイトル曲においてエラー回復後に特性の恩恵をようやく受けられるようになったことも、ピークのタイミングに影響したといえるでしょう。

Spotifyのエラー、”50位の壁”特性および順位変動についてはエラー回復後に上記エントリーでまとめていますが、仮にエラーがなければ「Prema」のピークはより早まったかもしれません。またトップ50プレイリストに『Prema』収録曲が複数入ることで、プレイリストを使用する藤井風さんのコアファンではないユーザーにもアルバムリリースが認知された可能性が考えられます。その点では機会損失が生まれたといえそうです。

 

 

しかしながらエラーについてはいわば覆水盆に返らずであり、今後について考える必要があるでしょう。平日より勢いが高まる土日にあって、『Prema』収録曲は順位を落としています。リリース週には『ミュージックステーション』のみならず『徹子の部屋』(テレビ朝日)にも出演し大きな話題となっていましたが、同等のインパクトは残せないとしてもメディア露出等をどうするかを考えることが重要です。

ビルボードジャパンアルバムチャートにストリーミング指標が導入された昨年末以降、”聴かれ続ける作品”の人気が可視化されています。そのストリーミング時代にあって、アルバムリリース以降も複数のミュージックビデオが用意される傾向については上記エントリーにて紹介したばかりですが、藤井風『Prema』においても同様の施策が行われるかが、ひとつの注目点と捉えています。

 

 

藤井風『Prema』収録曲のストリーミング動向は、米や海外の音楽チャートを想起させるに十分でしょう。アルバムとして聴かれていること、リリース日にチェックしたい方が多いことが可視化されており、藤井風さんのコアファンのみならず音楽ファン全体に『Prema』が注目されていることを示しているのではというのが自分の見方です。