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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンの主要3チャートでORANGE RANGEが躍進…背景からみえてくる施策とは

ORANGE RANGEが2007年にリリースした「イケナイ太陽」が、最新7月9日公開分ビルボードジャパンソングチャートで17位に再登場を果たしています。

 

ORANGE RANGEイケナイ太陽」の盛り上がりは、CHART insightから読み取れます。

(上記は7月9日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおけるORANGE RANGEイケナイ太陽」のCHART insight。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なお、ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。なお、以下に紹介するCHART insightも有料会員が確認可能なものとなります。)

イケナイ太陽」は動画再生指標(CHART insightでは赤で表示)が当週首位に再登場したほか、カラオケ(緑)が65→53位、ストリーミング(青)およびラジオ(黄緑)が共に100位未満→53位と推移。ストリーミングやラジオは一昨年や昨年夏に加点対象となる300位以内に入り、またカラオケでは2021年5月末以降常時加点されていましたが、新たな動画の公開が同曲のニーズを増幅させた形です。

 

ORANGE RANGEは今週水曜に放送された『テレ東音楽祭2025~夏~』(テレビ東京)を含め、今夏の地上波長時間音楽特番3本に出演。アイドルやダンスボーカルグループの出演が多い傾向にあって、興味深い動きといえます。

またビルボードジャパンがストリーミング累計再生回数のカウント方法を変更したことに伴い「イケナイ太陽」および「花」が1億4千万回再生とアナウンスされ、ORANGE RANGEは2曲の1億回再生を輩出した歌手となりました。ストリーミング週間300位未満の曲も加算対象となったことによる記録達成ですが、ここからはORANGE RANGEの曲が長く、着実に聴かれてきたことが見えてきます。

 

 

さて、ORANGE RANGEは今年、ソニーミュージックに復帰しています。

ORANGE RANGEソニーミュージック移籍第1弾シングルとなる「マジで世界変えちゃう5秒前」は、テレビアニメ「『戦隊大失格』2nd season」のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲。

ORANGE RANGEのアニメタイアップ曲登場は、アニメに強いソニーミュージックゆえといえるでしょう。またストリーミング時代は過去曲に再度光が当たりやすくなった時代でもあり、長く聴かれている曲に当たるその光をより強くすることが現在におけるレコード会社の一施策と考えれば、ORANGE RANGEの古巣復帰には強く納得します。

だからこそ、「イケナイ太陽」においては新たなミュージックビデオが作られ、そして今週には下記ミュージックビデオを再公開したのではないでしょうか。

 

 

ORANGE RANGEは7月9日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートにおいて、『ALL the SINGLES』(2010)が57→22位に上昇、また『musiQ』(2004)が68位に初登場を果たしています。さらに、ソングチャートとアルバムチャートを合算するトップアーティストチャートにおいてORANGE RANGEは78→25位と急浮上し、このチャートでの最高位を更新しています。

トップアーティストチャートにおいてはストリーミング(CHART insightでは青で表示)が高位置につけていることが解ります。またダウンロード(紫)が300位未満から48位に急伸していますが、この指標はテレビパフォーマンスが大きく影響すると考えれば、集計期間中の『2025 FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ 7月2日放送)出演が寄与したといえるでしょう。

 

 

海外では懐かしの作品に需要があることを熟知し、喚起するための施策を行う傾向にあります。それを日本で徹底しているのがORANGE RANGEおよびソニーミュージックと断言してよく、新曲リリースも相まってメディア露出も増やしたことが、実際に良好なチャートアクションを生み出しています。ともすればORANGE RANGEは、再ヒットをきちんと意識した上で複数創出する先駆者的存在に成るかもしれません。