今月2日、Amazon Musicにおける今年上半期の人気曲ランキングが発表されました。元日から6月4日までが集計対象期間となります。
さて、Amazon Musicは今年春から週間チャートを発表しています。
この開始について上記エントリーで触れた後、弊ブログでは主要サブスクサービスやビルボードジャパンソングチャートでのストリーミング動向をまとめたストリーミング表にAmazon Musicを追加し、毎週土曜のエントリー等にて貼付しています。
上記ストリーミング表は最新7月2日公開分のビルボードジャパンソングチャートに準じたものですが、上半期楽曲ランキングやストリーミング表からはAmazon Musicならではの、他のサブスクサービスとは少し異なる特徴がみえてきます。
Amazon Musicの特徴、そのひとつはAmazon Musicチャート発表開始時にも触れたように若手実力派でありサブスクを機に台頭した歌手の作品が強いということ。上記ストリーミング表では他のサブスクサービスよりもAmazon Musicで強い作品として米津玄師「Plazma」やKing Gnu「TWILIGHT!!!」、幾田りら「恋風」等が挙げられます。幾田りらさんはYOASOBIでの実績が、「恋風」の強さにつながっていると思われます。
Amazon Musicの上半期楽曲ランキングではAdo「エルフ」が15位、あいみょん「スケッチ」が17位等、ストリーミング時代に人気を博す歌手の作品が50位以内に登場しています。一方で、ストリーミング指標と比例しやすいビルボードジャパンによる上半期ソングチャート(集計期間:2024年11月25日~2025年5月25日)をみると、「エルフ」は88位、「スケッチ」は93位となっており、乖離が発生しているといえます。
Amazon Musicのもうひとつの特徴として、アイドルやダンスボーカルグループの作品が他のサブスクサービスに比べて強くないことが挙げられます。ストリーミング表をみるとHANA「Burning Flower」は他のサブスクサービスより低く、またTikTokを機にヒットしたアイドル曲(CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」、=LOVE「とくべチュ、して」、CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」等)はAmazon Musicにて50位未満の状況です。
ただし、Amazon Musicの上半期チャートではHANA「ROSE」」が12位、timelesz「Rock this Party」が16位、同じくtimeleszによるSexy Zone時代のリリース曲「RUN」が34位にランクイン。Amazon Musicは若年層の利用率が他のサブスクサービスより高いとは言い難いかもしれませんが、オーディションで人気を博した歌手のデビュー曲(増員後初の作品含む)は高い人気を誇っています。
もうひとつ注目したのが、K-POPチャートの動向です。
(上記画像はAmazon Musicにおける 2025年上半期に日本で最も再生された楽曲の総合および部門別ランキングプレイリスト発表 | アマゾンジャパン合同会社のプレスリリース - PR TIMES(7月2日付)より。)
K-POP部門では、総合44位に入ったILLIT「Almond Chocolate」が入っておらず、日本語曲(日本オリジナル曲)がこの部門に含まれないことが見て取れる一方、K-POP部門では日本人メンバーから成るXGの2曲が登場しています(「SOMETHING AIN'T RIGHT」が15位、「IYKYK」が20位にエントリー)。ゆえに、まずはAmazon Music側の精査が必要であると指摘させていただきます。
さて、気になるのはK-POP部門で50位に入ったJIMIN「Who」について。この曲は日本のSpotifyで圧倒的な人気を誇り、昨年夏に同チャートで述べ20日間に渡り首位を獲得しています。現時点でもデイリー10位前後をキープしている「Who」ですが、Amazon MusicのK-POP部門では可視化される範囲で最も低い順位となっています。
JIMIN「Who」が日本のSpotifyで極端に強いことについて上記エントリー等で分析した上で、日本のSpotifyにおける(他サービスに比べての)偏りを抱いています。Spotifyでは上位曲の日々の再生回数が可視化されることや推し活に用いられるStationheadと連動していること、またSpotify自体でもリスニングパーティーを開始するようになったことで、ファンダムの熱量が注入されやすくなったことが背景にあると考えられます。
他方Amazon Musicではファンダムの熱量が過度に反映されにくくなっているだろうことが、JIMIN「Who」の動向から読み取れます。ただ、先述した特徴を踏まえれば新しい曲や流行への感度は他のサブスクサービスより高くはなく、保守的といえるかもしれません。この点については近日中に発表されるであろう他のサブスクサービスの上半期動向と比較する必要がありますが、現時点では上記のような印象を持ち合わせています。