最新7月2日公開分(集計期間:6月23~29日)のビルボードジャパンソングチャートでは、椎名林檎「芒に月」が23位に初登場。綾瀬はるかさん主演のドラマ『ひとりでしにたい』(NHK総合)の主題歌として6月25日にフィジカルリリースされ、デジタルは6月22日に先行解禁されています。
7月2日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおける椎名林檎「芒に月」のCHART insightを下記に。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なお、ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。
椎名林檎「芒に月」はデジタル解禁初日分が前週6月25日公開分のビルボードジャパンソングチャートに加点されています。『ひとりでしにたい』の初回放送翌日となる日曜にデジタル解禁したものと思われますが、仮に解禁日が6月23日月曜だったならば「芒に月」は最新ソングチャートでより高い位置に就いたはずです。
「芒に月」ではストリーミング指標(CHART insightでは青で表示)が300位以内に達していませんが、累計ポイントの過半数をラジオ指標(黄緑)が占めていることがポイント。この指標は全国主要局のラジオOA回数に基づき、各局の聴取可能人口等を加味して算出されますが、基となるプランテックのラジオOAチャートでは同曲の強さが光ります。
2位は椎名 林檎「芒に月」が初登場した。NHK土曜ドラマ「ひとりでしにたい」主題歌に起用され、6月25日にCDシングルとしてリリースされた同曲。22日の先行配信以前より少数ながら確認されたオンエアは、今週頭から本格化し調査対象の83.9%、FMでは全てのステーションでのオンエア獲得に至った。
帯放送の定期オンエア枠での獲得を基盤としつつも、通常オンエア/リクエストオンエアともに全国範囲の様々な番組で確認されている点から、さすがの注目度であることがうかがえる。セールスも順調の様子。オンエア数わずか2回の僅差で1位を譲ったかっこうだ。
デジタル解禁前にラジオOAが開始された「芒に月」では、フィジカルリリース週にOAが本格化。記事における『帯放送の定期オンエア枠での獲得』という表現からは、主に男性アイドル/ダンスボーカルグループがフィジカルリリース週に行う施策を椎名林檎さん側が踏襲したと考えていいでしょう。その結果が、ソングチャートにおける上位進出の原動力になっています。
「芒に月」においては今後、特にストリーミング指標が加点されるかに注目です。一方で、ソングチャートとアルバムチャートを合算した7月2日公開分のビルボードジャパントップアーティストチャートでは椎名林檎さんが84→32位に急伸しており、このことを興味深く感じています。
(上記は7月2日公開分ビルボードジャパントップアーティストにおける椎名林檎さんのCHART insight。有料会員が確認可能なものとなります。)
トップアーティストチャートにおける椎名林檎さんのトップ40入りは、『放生会』がアルバムチャートに初登場した昨年6月5日公開分(16位)以来。無論「芒に月」のソングチャート初登場が大きく影響しているとして、一方でストリーミング指標が69→64位に上昇していることに注目しています。
椎名林檎が、明日6月27日(金)に放送するNHK総合「あさイチ」のプレミアムトークに出演いたします。朝から生出演です。お見逃しなく。 https://t.co/wGXVKVhlkU
— SR猫柳本線 椎名林檎・東京事変オフィシャル (@Nekoyanagi_Line) 2025年6月26日
ともすればその一因が、椎名林檎さんの『あさイチ』(NHK総合 6月27日放送)にあったのではないかというのが自分の見方です。新曲がストリーミング未加算ながらもトップアーティストチャートでストリーミング指標が上昇したのは過去曲のニーズが高まったゆえであり、このようなメディア露出が着実に影響を与えたのではと捉えています。
この『あさイチ』では5月最終週にアルバムリリースしたばかりのMISIAさんが、一昨日にはコンサートツアー開催目前の佐野元春さんが、金曜のプレミアムトーク(コーナー)に出演しています。『あさイチ』のプレミアム感を強く抱くと共に、番組を介してベテラン歌手と視聴者との距離が縮まったような印象も実感しています。
今年度上半期はMrs. GREEN APPLEが音楽チャートを席巻し、若年層にも高い人気を誇ります。その一因を彼らの積極的なメディア露出と捉え”お茶の間の歌手に成った”と表現した者として、ともすれば彼らの姿勢がベテラン歌手を動かした可能性もあるのではないかと感じた次第です。
最後に。椎名林檎「芒に月」が主題歌に起用されたドラマ『ひとりでしにたい』で主演を務める綾瀬はるかさんが、6月15日放送の『のど自慢』(NHK総合)にスペシャルMCとして登場しています。
この点についてはドラマの番宣という意味合いが大きいといえるでしょう。NHKはニュース番組にて『NHKスペシャル』等の告知的な報道を盛り込むことが少なくないのですが、今回のキャスティングからはそのことを想起しています。『のど自慢』の出演者や観客からすれば嬉しいサプライズかもしれませんが、当初はなぜ綾瀬はるかさんが出演したのかが解らなかったのではないでしょうか。