イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の最新動向と、当週トップ20内に上昇した超ときめき♡宣伝部「超最強」について

昨年夏以降再開したこのエントリーですが、先週よりタイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”に変更した上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。

 

<2025年7月2日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・Aぇ! group「Chameleon」

 6月25日公開分 2位→7月2日公開分 54位

・ONE N' ONLY「BLAST」

 6月25日公開分 3位→7月2日公開分 31位

・SHOW-WA & MATSURI「僕らの口笛」

 6月25日公開分 4位→7月2日公開分 100位未満

・藤井風「Hachikō」

 6月25日公開分 9位→7月2日公開分 16位

 

当週のストリーミング表はこちら。


藤井風「Hachikō」以外の3曲はフィジカルセールス指標加算2週目に伴い、総合でのダウン幅が大きくなっています。その中で総合での後退度が最も小さいONE N' ONLY「BLAST」では、LINE MUSIC再生キャンペーンが開催されています。

 

※ 画像はポストのリンク先より。キャンペーン終了後にページが消える可能性を考慮し、キャプチャしています(問題があれば削除いたします)。

「BLAST」ではLINE MUSIC再生キャンペーンのハードルを最大9,999回に設定しており、参加者がこのハードルをクリアするまでの間聴き続けることで、「BLAST」のストリーミング指標は上位を維持していくかもしれません。しかしストリーミングと比例しがちな動画再生指標が300位以内に達せず未加点であること、また他のサブスクサービスとの乖離等を踏まえれば、企画終了後の急落が考えられます。

 

 

さて、アイドルやダンスボーカルグループ関連では超ときめき♡宣伝部「超最強」が当週27→17位に上昇し、同曲初のトップ20入りを果たしています。元々は昨年12月にリリースされたアルバム『ときめきルールブック』に収録された作品ですが、CHART insightからはこの曲の勢いが見て取れます。

(上記CHART insightはビルボードジャパン有料会員が確認可能な総合および構成指標100位までを示したもの(無料会員は各20位までが閲覧可能)。なおビルボードジャパンでは、有料会員が把握可能な情報のブログ等での発信を許可しています。)

超ときめき♡宣伝部「超最強」については最新ソングチャート、アイドル/ダンスボーカルグループ曲のCHART insightから見えてくる差について(6月16日付)でも紹介していますが、その後ミュージックビデオが公開され当週初めて1週間フル加算されたことにより、動画再生指標は100位未満(300位以内)から15位に急上昇しています。そして同曲は来月、「ハートな胸の内♡」とのダブルAサイドにてフィジカルシングル化されます。

ビルボードジャパンソングチャートにおいてフィジカルセールス指標は1曲のみに加算され、「超最強」には加わらない模様ながらもフィジカルシングル化に伴い注目を集めるとみられます。加えて超ときめき♡宣伝部による「キラキラミライ」がNHKみんなのうた』で流れることから、老若男女への認知度はさらに高まっていくことでしょう。

 

 

コアファンの支持を得ることは非常に重要ですが、より大事なのは楽曲の幅広い層への浸透であり、ビルボードジャパンソングチャートではライト層の支持に伴うストリーミング指標の上位安定がロングヒットの形にてきちんと反映されます。そしてライト層は未来のコアファン候補でもあります。楽曲のヒットを機に歌手へ興味を持つ方が増え、彼らがコアファンに昇華することで、所有指標の増強にもつながっていくでしょう。

超ときめき♡宣伝部は2作前のフィジカルシングル「最上級にかわいいの!」が初週63,047枚(2024年6月5日公開分)、そして前作「世界でいちばんアイドル」が同85,438枚(2025年5月7日公開分)を売り上げ、コアファンの増加が見て取れます。「超最強」が今後さらなるヒットに至り、同曲を含むフィジカルシングルが初週10万枚を超えるならば尚の事、アイドル/ダンスボーカルグループの運営側はこの動向に注目すべきと考えます。

超ときめき♡宣伝部「超最強」は、ピークを迎えた後のダウン幅も小さいものと思われます。ストリーミングの強さが、今回紹介した曲との大きな差になっていくはずです。