最新6月18日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、離婚伝説「紫陽花」が70位にランクイン。総合順位は下げたものの3週連続で100位以内に入ったほか、同曲はHeatseekers Songsチャートで3連覇を達成しています。
「紫陽花」は、4月9日に配信リリースされた、TBS系火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』への書き下ろし楽曲。「紫陽花」の初披露となった、4月14日のTBS系『CDTVライブ!ライブ!』でのライブ映像が、オフィシャルYouTubeチャンネルにて期間限定で特別公開されており、引き続き注目を集めてる。今週は全体のポイント数は減少したがラジオの順位を上げ、ラジオが18位、ダウンロード数が78位、ストリーミングが77位、動画再生がトップ300圏内となり、当チャート3回目の首位を獲得した。
【Heatseekers Songs】離婚伝説「紫陽花」が3回目の首位獲得 Baby Cantaが2曲トップ10入り https://t.co/1wSdbZiKfJ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年6月18日
※ Heatseekers Songsチャートの概要については、記事の後半に掲載されています。
離婚伝説「紫陽花」の、有料会員が確認可能なCHART insightを上記に。こちらでは総合および構成指標の100位までが表示されています。なおビルボードジャパンは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。
「紫陽花」は当週、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでは100位未満ながら指標化後は77位に(CHART insightでは青で表示)。6月4日公開分以降の総合ソングチャートでは53週以上ランクインした曲に対しストリーミングの指標化時に減算処理を施すリカレントルールが適用されていますが、「紫陽花」はその適用開始タイミングにてストリーミング指標および総合チャートで100位以内に進出しています。
さて、「紫陽花」においてはラジオ指標(CHART insightでは黄緑で表示)の強さが目立ちますが、同指標は彼らの(主に業界内での)ブレイクにつながった「愛が一層メロウ」でも加点されていました。そしてこの曲におけるラジオ指標は、先月急上昇しています。
ラジオ指標の再上昇は、「愛が一層メロウ」がMUSIC AWARDS JAPANにおいて"ラジオ特別賞 Best Radio-Break Song"にノミネートされ、受賞したことが契機となっています。同部門の発表は5月21日開催のPremiere Ceremony内で行われたためテレビ中継はありませんでしたが、radikoの中継では同部門発表時における(MCを務めた)在阪ラジオ局DJチームの盛り上がりが一層大きかったと記憶しています。
MUSIC AWARDS JAPAN授賞式を集計期間に含む5月28日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、「愛が一層メロウ」がラジオ指標で過去最高となる14位に。一方で、同週まで3週続けてこの指標が100位未満だった「紫陽花」は「愛が一層メロウ」と入れ替わる形で6月に入りラジオ指標が上昇、最新6月18日公開分では同曲最高の18位を記録しています。
そして注目は、先述したように「紫陽花」がストリーミング指標を獲得している点にあります。長期ランクイン曲へのリカレントルール適用も同曲の追い風となっていますが、そもそもこの指標を獲得していることがヒットの原動力になっていることは間違いありません。同指標はソングチャートにおいて累計獲得ポイントのおよそ半分を占めています(CHART insightの円グラフ参照)。
離婚伝説、TV初披露した「紫陽花」YouTubeにて期間限定アンコール公開 https://t.co/LT0Wsc81sB
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年6月12日
加えて、Heatseekers Songsチャートの記事にもあるように、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS 4月14日放送回)での「紫陽花」ライブパフォーマンス映像を離婚伝説の公式YouTubeチャンネルにて、期間限定で再公開したことが話題性上昇の一因といえます。映像公開は4月14日から5月30日まで行われていましたが、6月4日公開分(集計期間は6月1日まで)で動画再生指標が初加算されたことも、再公開に至った要因と考えます。
離婚伝説「紫陽花」がストリーミングで急上昇した理由は解りかねますが、ラジオ局の推薦もさることながら同曲がドラマ主題歌だったことも影響しているでしょう。『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』が放送されたTBS火曜ドラマ枠の作品は主題歌のヒット確率が高く、昨年末のブログエントリーにてその旨を紹介しています。
なお、離婚伝説がラジオを機にブレイクを果たした点については、音楽ジャーナリストの柴那典さんによるコラムをご参照ください。
<コラム>離婚伝説 【MAJ】受賞、そして「紫陽花」のヒット――“ラジオ”から存在感を広げる彼らの独自性とは https://t.co/uQhKGeJFk3
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年6月20日
さて、昨年メジャーデビューを果たした離婚伝説ですが、メジャー進出前に発売したファーストアルバム『離婚伝説』がリパッケージ版として来月リリース。新曲1曲を追加収録し、またメジャーデビューをアナウンスしたライブ(音楽ナタリーの記事はこちら)の模様を収めた映像盤が同梱されます。リパッケージ版には「紫陽花」が含まれないため購入時は注意が必要ですが、リパッケージ版の用意には大きな意味を感じています。
現在絶賛放送中のTBS系火曜ドラマ『対岸の家事 ~これが、私の生きる道!~』主題歌「紫陽花」を担当し、国内最大規模の音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』にてラジオ特別賞を受賞するなど、話題の絶えない彼らだが、本作は、2025年3月発表された『第17回CDショップ大賞2025』にて「青」大賞を受賞したことを記念してのもの。
離婚伝説『離婚伝説』はその内容が高く評価され、今年のCDショップ大賞「青」を受賞しています。しかし同賞で「赤」大賞を受賞した柴田聡子『Your Favorite Things』共々、MUSIC AWARDS JAPAN主要部門のひとつである最優秀アルバム賞にて、ノミネートの前段階となるエントリー作品にも入りませんでした。この点についてはブログにて同賞に対し疑問を提示した上で、改善提案を記しています。
評判の高い作品がチャートで強くなることや評判がもっと広く認知されることも必要ながら、しかし音楽チャートへのランクインがエントリー基準となることで良質な作品がフックアップされないという機会損失が生まれていると痛感します。
一方で、「紫陽花」のソングチャートランクインにより離婚伝説が注目を集めることでリパッケージ版がアルバムチャートにランクインするとなれば、来年開催のMUSIC AWARDS JAPANでは最優秀アルバム賞のエントリー基準を満たすかもしれません。尤も基準自体が見直される可能性はあるかもしれませんが、離婚伝説側はともすればこの賞を目指し、リパッケージ版をリリースすることを決定したのではとも感じています。
リパッケージアルバムのリリースに向けて離婚伝説「紫陽花」がどこまで盛り上がるか、そして離婚伝説側がどのような施策を行うかに注目しています。