『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下"紅白"と記載)の予想を6月に記すのは時期外れではありますが、今年はアイドルやダンスボーカルグループ枠が大きく変わる予感がしており、現時点での予想を記します。
昨年の紅白におけるアイドル/ダンスボーカルグループの出演は、紅組がILLIT、櫻坂46lTWICE、乃木坂46、ME:IおよびLE SSERAFIMの6組に対し、白組がJO1、Da-iCE、TOMORROW X TOGETHER、Number_iおよびBE:FIRSTの5組。またこのジャンルの特別企画枠での出場はありません。
アイドル/ダンスボーカルグループを含む若手歌手においては今年ヒット曲を輩出することが出場に近づく鍵であり、そしてそのヒットの指標となるのがビルボードジャパンソングチャート、そしてソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートであるというのが音楽チャートを分析する者としての見方です。
昨年の紅白出場歌手発表直後には、ストリーミングの支持に伴うロングヒット曲輩出の重要性と、その一方で出場が連続する傾向にあること、またNHK貢献度の大きさ等、出場歌手の選考について分析しています。
無論、今後大ヒット曲が登場する可能性もあり、それによって状況はさらに変わると考えますが、現時点では次に挙げるポイントが出場歌手選考に大きく関わるものと捉えています。なお、今回の分析で用いたデータはこのエントリーの最後にまとめています。
<『第76回NHK紅白歌合戦』
アイドル/ダンスボーカルグループにおける出場歌手選定のポイント>
① KAWAII LAB.所属歌手の初出場なるか
ビルボードジャパンの上半期ソングチャートではCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」が8位、FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」が39位にランクイン。また現在はCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」もヒットしています。いずれもショート動画発のヒットながら、ストリーミングにもきちんと波及しているのがポイントです。
"フィジカルセールス初加算週に総合上位進出を果たすもデジタルが強くないため翌週急落しロングヒットに至りにくい"という、アイドル/ダンスボーカルグループに散見される傾向は先程挙げたKAWAII LAB.所属歌手による作品には当てはまりません。他方、KAWAII LAB.所属歌手作品はフィジカルシングルのセールスが増加傾向にあり、コアファンの増加(ライト層からコアファンへの昇華)も感じられます。
何より、KAWAII LAB.所属歌手によるヒット曲は若年層を主体に広く知られているといえます。


(画像は上から順に『Z世代が選ぶ2025上半期トレンドランキング』をZ総研が発表! | 株式会社N.D.Promotionのプレスリリース - PR TIMES(6月3日付)、【2025年上半期】10代女子が選ぶトレンドランキングを発表! - 株式会社マイナビ│マーケティング・広報ラボ(6月11日付)より。)
ソングチャートの面ではCUTIE STREETが高位置につけていますが、先にデビューしたほうが紅白で重用される傾向を踏まえればFRUITS ZIPPERが選ばれる予感がします。しかしながら、若年層を対象とした2025年度上半期トレンドランキングでは両者が拮抗しているという印象です。
② K-POPはどの歌手が出場するか
昨年度に比べ、2025年度上半期のK-POP歌手によるヒットは多いとはいえません。最大のヒットはBLACKPINKのロゼとブルーノ・マーズによる「APT.」ですが、スケジュール的に出場の可能性は難しいのではというのが率直な私見です。なおビルボードジャパンでは同曲がK-POPではなく洋楽扱いとなっていますが、出場が叶えば確実に今年の目玉となることでしょう。
K-POP歌手において、たとえばILLITによる「Almond Chocolate」ではバズが発生していますが、「Magnetic」に比べればチャート上でのインパクトは強いといえません(2025年度上半期では前者が80位、後者が58位を記録)。紅組であれば昨年10月のリリースながらaespa「Whiplash」(上半期27位)への期待が高まりますが(後述する理由も相まって)、紅白は今年以降のヒットをより重視する印象ゆえ、出場は難しいかもしれません。
白組はアルバムの売上枚数が多い歌手が選ばれる傾向が強い印象です。一昨年はStray KidsやSEVENTEEN、昨年はTOMORROW X TOGETHERが選ばれていますが、今年はメンバー全員が除隊することでグループとしての活動再開が見込まれるBTSが出場する可能性も出てくるでしょう(秋までに新曲をリリースすれば尚の事です)。ちなみに、JINによる『Venue101』(NHK総合)でのプレゼンツライブは二度放送されています。
③ 人気オーディション発の2組は出場するか
今年度の音楽チャートはHANAが強く、デビュー曲「ROSE」は二度のソングチャート制覇も含めトップ10内在籍を続けています。また最新曲「Burning Flower」はリリース直後から各サブスクサービスで高位置につけています。
紅白では2020年代に入りNiziU、ME:Iとオーディション発のグループが出場していますが、今年はHANAがこの2組を上回るヒットを輩出していることもあり初出場は確実でしょう。さらにはNo No Girlsオーディションで用いられたことを機にちゃんみなさんのアーティストパワーが増大。MUSIC AWARDS JAPANでのパフォーマンスも踏まえれば、歌手と主催者が揃って初出場を果たす可能性は十分です。
白組では、timelesz projectオーディションを機に8人体制となったtimeleszの、(Sexy Zone時代)以来となる出場の可能性に注目しています。新体制下で「Rock this Party」がおよそ3ヶ月に渡り100位以内エントリーを果たし、またオーディションで使用された曲を主体とするデジタルコンピレーションアルバム『Hello! We're timelesz』は上半期アルバムチャートで8位にランクインしています。
今週はアルバムチャートで『FAM』が初登場予定となっていますが、フィジカルセールスは既に水曜までで55万枚を突破し、週間ベースでもSnow Manのベストアルバムに次ぐ規模となっています。この人気を踏まえれば、紅白側が声を掛けるのは自然なことでしょう。
2025年度上半期トレンドランキングではふたつのオーディションが人気となっていることが解ります。『グループ結成までの過程で自分の推しメンの行方をリアルタイムで追うことでグループへの親近感が高まり、人気を集めている』(『Z世代が選ぶ2025上半期トレンドランキング』をZ総研が発表! | 株式会社N.D.Promotionのプレスリリース - PR TIMES(6月3日付)より)ことから、ファンダムの熱量を紅白が意識するものと考えます。
④ Snow Manは復活出場を果たすか
STARTO ENTERTAINMENT所属タレントのNHK出演は、社名や体制を変更した後も昨年秋まで見合わせが続いていました。起用再開後もしばらくは主だった出演がみられませんでしたが、昨年CDデビューしたAぇ! groupの『Venue101』プレゼンツライブ出演等、徐々に増えている印象です。
STARTO ENTERTAINMENT所属歌手ではSnow Manのベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』が2025年度上半期にフィジカルセールス161万枚超えを記録しています。またベストアルバムがデジタル解禁されるとビルボードジャパンアルバムチャートでストリーミング指標を制し続け、結果的には上半期総合2位につけています。
Snow Manにおいては、紅白との確執があるという噂を耳にします。それが正しいかは解りかねますが、ベストアルバムがフィジカルのみならずデジタル、それも接触指標で人気という点からはコアファンそしてライト層双方の高い支持がうかがえ、紅白側が打診する可能性は十分あると考えます。なお、噂を発信するメディアは無責任な吹聴をやめ、紅白側および歌手側双方に確執の有無等真意を取材すべきです。
⑤ 活動終了前の嵐は出場するか
来年で活動終了することを発表した嵐(STARTO ENTERTAINMENTとエージェント契約を締結)にとって、今年が最後の紅白出演の可能性といえます。2009年から活動休止する2020年まで出演を続け、ソロもしくはグループでの司会経験もあるため尚の事、紅白側が打診することは間違いないでしょう。新曲の用意がなければ若干可能性は薄れるだろうとして、しかし目玉であることは間違いありません。
新曲が用意されない場合でも、特別企画枠での出場ならば十分考えられます。
⑥ 上半期最大トレンド曲「イイじゃん」でM!LKは初出場を果たすか
6月に発表された上半期のトレンドランキングでは、下記3つの調査すべてでM!LK「イイじゃん」が流行した曲の最上位に就いています。



(画像は上から順に『Z世代が選ぶ2025上半期トレンドランキング』をZ総研が発表! | 株式会社N.D.Promotionのプレスリリース - PR TIMES(6月3日付)、モデルプレス読者が選ぶ「ベストエンタメアワード2025上半期」トップ3発表 timelesz・M!LK「イイじゃん」などランクイン【全13部門】 - モデルプレス(6月5日付)、【2025年上半期】10代女子が選ぶトレンドランキングを発表! - 株式会社マイナビ│マーケティング・広報ラボ(6月11日付)より。)
『CDTVライブ!ライブ!』での複数回パフォーマンスや『ミュージックステーション』(テレビ朝日)への初出演は流行したことの証明といえます。また、メンバーの佐野勇斗さんが昨年の朝ドラ『おむすび』に出演しており、NHKとの親和性も高いといえます。
一方で、紅白の出場条件として重視されるのがビルボードジャパンソングチャートおよびトップアーティストチャートであり、ショート動画で主にUGC("踊ってみた"に代表されるユーザー生成コンテンツ)が高い人気を誇る「イイじゃん」は、しかしながらソングチャートへの登場が通算4週、また週間最高は45位という状況です。この結果から、同曲がヒットしたと断言することはできないでしょう。
仮に「イイじゃん」でM!LKの紅白初出場が決定すれば、ショート動画人気がビルボードジャパンの各種チャートを(良い意味で)凌駕するという新たな出場基準が生まれると言っても過言ではないはずです。さらにはビルボードジャパンがショート動画の取扱をより重視するようになるのではないでしょうか。紅白にて「イイじゃん」と、親和性の高いaespa「Whiplash」をメドレー形式で披露するというのも面白いかもしれません。
⑦ BE:FIRSTは出場するならばどの曲を披露するか
BE:FIRSTは「空」が第92回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲として起用されています。NHKタイアップ曲の存在は出場の可能性を高める一方、ヒット規模の大小にかかわらずそのタイアップ曲を披露する傾向が高いのもまた紅白の特徴です。
そのBE:FIRSTは2025年度、「Spacecraft」「GRIT」で現時点におけるビルボードジャパンソングチャートの週間最高ポイントトップ2を占めています。加えて「GRIT」のフィジカルシングルに収録された「夢中」がロングヒットの兆しをみせており、ともすれば楽曲浸透度やライト層支持の面では「夢中」が最も高くなるかもしれません。NHK貢献度やチャート動向を踏まえれば、実績の面において出場の可能性は十分でしょう。
ひとつだけ懸念すべき点を記すならば、紅白は問題発言やスキャンダルに対し厳しい姿勢を採る傾向にあります。ゆえに夏以降の活動休止者が存在するBE:FIRSTが今年も紅白に出場できるかについて、100%の断言ができかねるというのが正直な私見です。
ただし、”起用することで非難を受けることを恐れすぎるゆえに起用を控える”という姿勢を、紅白に対し強く感じています。選出することへの責任を自覚し、出場理由を丁寧に説明することこそ紅白に必要なことだというのが自分の見方です。
以上7点を踏まえ、アイドル/ダンスボーカルグループというジャンルで今年の紅白出場可能性が高い歌手を挙げるならば、紅組がHANAおよびFRUITS ZIPPER、白組がSnow Man、timelesz、BE:FIRSTそして特別企画枠として嵐というのが現時点での見方です。CUTIE STREET、M!LKも選ばれる可能性は十分考えられます。
また紅白では連続出場した歌手の出場可能性が高い傾向にあることを踏まえれば、紅組では乃木坂46およびLE SSERAFIM、白組ではJO1の出場可能性も高いと捉えています。さらにはファンダムによる熱量の高さや数の多さも踏まえ、白組では前回初出場したNumber_iがその枠に入るかもしれません。
なお、冒頭でも述べたように今後新たなヒット曲が生まれる可能性は十分考えられます。そもそも紅白の対決というコンセプトは時代錯誤ではないか等を考えることも必要ですが、ひとまず今回は今年も紅白が放送されるという前提にて、アイドルやダンスボーカルグループのジャンルに絞り現段階での出場歌手予想を記した次第です。
最後に。今回の分析に用いたデータ等を下記に掲載します。
まずは、ビルボードジャパンが今月発表した2025年度上半期チャートについて。
Billboard JAPAN 2025年上半期チャート発表、Mrs. GREEN APPLEが“JAPAN Hot 100” “Hot Albums” “Artist 100”首位 https://t.co/x2VfNWpJNd
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年6月5日
上半期チャートに関してはソングチャート、アルバムチャートおよび双方を合算したトップアーティストチャートについて、さらなる分析を行っています。
また、今月発表された上半期トレンドランキングについてはこちら。
『Z世代が選ぶ2025上半期トレンドランキング』をZ総研が発表! https://t.co/qI4nAPuNTc pic.twitter.com/gMVobNKVFE
— PR TIMESビジネス (@PRTIMES_BIZ) 2025年6月3日
【発表】モデルプレス読者が選ぶ
— モデルプレス (@modelpress) 2025年6月4日
ベストエンタメアワード2025上半期TOP3🏆️
🔻全13部門https://t.co/EVwanLGLOB
🎖上半期の顔
timelesz 希空 大森元貴
🎖ベスト日本ドラマ
ホットスポット
あんぱん
波うららかに、めおと日和
🎖ベスト配信作品
タイプロ
オフライン ラブ
No No Girls(ノノガ) pic.twitter.com/v8lcY7TpUa
【2025年上半期】10代女子が選ぶトレンドランキング✨
— 【マイナビ】マーケティング広報ラボ (@mynavi_mktlab) 2025年6月11日
10代女子の間で流行ったヒト・コト・モノ・コトバ・ウタを発表~~~🐻🎉
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ヒト部門👑『大森元貴』
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