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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年5月7日公開分)

昨年夏以降再開したこのエントリー、今年に入ってからタイトルを一部変更しています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー再開の理由です。

 

 

<2025年5月7日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・&TEAM「Go in Blind (月狼)

 4月30日公開分 2位→5月7日公開分 92位

・CANDY TUNE「推し♡好き♡しんどい」

  4月30日公開分 7位→5月7日公開分 100位未満

RADWIMPS「賜物」

 4月30日公開分 9位→5月7日公開分 13位

 

当週におけるストリーミング表はこちら。

 

まずは前週首位に返り咲いたHANA「ROSE」について。当週は6位に後退しています。

主にアイドルやダンスボーカルグループの曲はフィジカルセールス指標加算2週目において、そのフィジカルセールスの急落に伴い総合でも下落幅が大きくなる傾向にあります。HANA「ROSE」はフィジカルセールスが46,866→4,676枚と推移したことに加えて、当週ストリーミング指標でトップ10入りした曲のうち再生回数前週比が最も低くなっていることが、ポイントの4割近い減少につながったといえます。

 

一方、前週初めてトップ10入りした曲のうちフィジカルセールス指標加算2週目となった&TEAM「Go in Blind (月狼)」は2位から92位、CANDY TUNE「推し♡好き♡しんどい」は7位から100位未満に急落しています。フィジカルセールス指標の急落を他指標で補填できなかったことが背景にあり、「Go in Blind (月狼)」はストリーミング指標300位未満に。4つのサブスクサービスではいずれも週間チャートにランクインしていません。

(総合チャートおよび構成指標における20位未満の順位はCHART insight有料会員のみが確認できますが、ビルボードジャパンでは有料会員のみ知り得る情報の掲載を可能としています。)

&TEAM「Go in Blind (月狼)」ではLINE MUSIC再生キャンペーンを採用したことで、LINE MUSICと他のサブスクサービスとで順位に乖離が生まれたのみならず、キャンペーンが前週のビルボードジャパンソングチャート集計期間最終日までだったために当週は企画の影響が及んでいません(上記リンク先参照)。企画期間を伸ばすことも一案ではありますが、まずは曲そして歌手の認知を高めることでライト層を増やすことが重要です。

その点において、5週ぶりに放送される『ミュージックステーション』(テレビ朝日)で&TEAMが初出場を果たすことは大きな訴求に成るかもしれません。

 

CANDY TUNEは「推し♡好き♡しんどい」が急落した一方、「倍倍FIGHT!」は当週71位に登場。後者は動画再生指標が当週まで8週連続で20位以内に、そしてストリーミング指標が前週まで7週連続で100位以内に入っていたことが総合チャート8週連続ランクインの主要因に(ストリーミング指標は当週100位未満に後退)。この「倍倍FIGHT!」は、「キス・ミー・パティシエ」のカップリング曲として既にフィジカル化されています。

(フィジカルセールス指標はフィジカルシングル収録の1曲のみに加算されるため、「倍倍FIGHT!」は同指標の加算対象外となります。)

「倍倍FIGHT!」がフィジカルリリース後にブレイクしたことを踏まえれば、「推し♡好き♡しんどい」やカップリング曲から後にブレイクする作品が生まれるかもしれません。たとえばFRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」はフィジカルセールス指標初加算時に総合13位に初登場するも翌週急落しますが、その後カラオケや接触指標群の人気に伴い、昨年夏以降37週連続で総合100位以内にランクインしています。

(FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」においてフィジカルセールス以外で20位以内に入った指標はないものの、ストリーミングや動画再生が強いため累計ポイント構成比はロングヒット曲のそれに近いといえます。)

CANDY TUNEそしてKAWAII LAB.は「推し♡好き♡しんどい」がブレイクする可能性を高めるべく、今後様々な施策を投入する可能性があります。今夜放送される『Venue101』(NHK総合)にてそのヒントが発信される模様であり、アイドルやダンスボーカルグループの運営側、そしてファンダムの方々にとっても参考になるかもしれません。