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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2025年度第2四半期、ソングチャートを中心にビルボードジャパンの各種データ一覧表を掲載する

2025年度のビルボードジャパン各種チャートは、集計期間を52週と仮定すれば3月5日~5月28日公開分(一部は3月6日~5月29日公開分)が第2四半期となります。今回のエントリーでは、第2四半期のデータを紹介します。

今年度第1四半期のデータは下記リンク先をご参照ください。なお、第1四半期データ紹介時にはチャート傾向に関する簡単な解説を併記していましたが、今回からはチャート傾向についての解説を上半期および年間チャート時に記載し、ここではチャート自体の概要を記すにとどめています。

 

 

まずは総合ソングチャート、1~5位の定点観測データを紹介します。

ビルボードジャパンは昨年3月にCHART insightの仕様を変更したことで、指標の基となるチャートが公開されているフィジカルセールス、ダウンロードおよびストリーミングを除き、各指標20位未満100位以内の順位は記事掲載分を除き可視化されなくなりましました。よってそのような場合には”(20↓)”という表記を用いています。CHART insightのリニューアルについては下記リンク先をご参照ください。

また総合チャートが折れ線ではなく棒グラフで表示されたことにより、総合100位未満なのか完全にカウントされなくなったかは判別しにくくなりました。そのため、表では前週順位の掲載を控えています。

 

週間セールス10万枚以上のフィジカルセールスを記録した曲の一覧表はこちら。フィジカルセールス指標加算対象曲はセールス初加算週に総合ソングチャートでピークに達するものの、デジタル(特にストリーミングや動画再生といった接触指標群)が強ければポイントのさらなる増加、且つロングヒットにつながるはずです。この点については”ヒットの8段階"エントリーでも説明しています。

週間単位での上位進出は好いことですが、ロングヒットし年間チャートにランクインする作品ほど真の社会的ヒット曲に近づくというのがチャート分析者としての見方です。

 

続いては、ソングチャートを構成する各指標の動向について。フィジカルセールスについてはその影響度が特に一時的であることを踏まえ、その他5指標(ダウンロード、ストリーミング、ラジオ、動画再生およびカラオケ)のトップ20推移をまとめています。

所有指標のダウンロードは上位維持が難しいものの、ロングヒットする作品やアニメタイアップ曲では順位のキープがみられます。一方で接触指標は基本的にロングヒットの傾向にあり、特にストリーミングは総合上位キープ曲にて獲得ポイントの過半数を占めています。同じく接触指標である動画再生はショート動画での人気曲が上昇しやすい、またアイドルグループによる作品もヒットする傾向にあります。

ラジオは接触指標ながらもユーザー(リスナー)に選曲権がなく、季節やイベントの影響がより強く表れます。歌手側によるプロモーションの影響も相まって男性アイドルやダンスボーカルグループが最上位に就きやすく、ラジオレギュラー番組を持つベテラン歌手の曲も上位に登場しますが、ロングヒットしにくいのが特徴です。そして活用指標と呼べるカラオケは安定傾向にあり、新曲のランクインが難しいといえます。

 

ソングチャートの構成指標には含まれない各種データを掲載。なおTikTok Weekly Top 20チャートは2024年度にて終了となり、昨年12月2日のサイトリニューアル以降はアーカイブが確認できなくなっています。

”踊ってみた”や”歌ってみた”に代表されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)、ニコニコ動画、新人部門とも形容可能なHeatseekers Songsおよび2025年度に新設されたHot Shot Songsチャートを以下に。Hot Shot Songsチャートはダウンロード、ストリーミングおよび動画再生指標の合計ポイント増加順に並べたもので、連続して上位にランクインすることはあまりありません。

 

こちらはGlobal Japan Songs Excl. Japanの動向。ビルボードジャパンが2023年秋に開始したこのチャートは、米ビルボードによるグローバルチャートのうちGlobal 200から日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出したものです。

 

アルバムチャートでは昨年最終週よりストリーミング指標が加算対象に。表では総合首位作品の3指標動向、ならびに3指標それぞれの最上位作品を掲載し、所有2指標の合計売上数(ユニット数)およびユニット数におけるダウンロード数の割合も表示しています。

各指標における首位獲得作品はこちら。

ストリーミング指標が加わって以降の総合アルバムチャートでは、フィジカルセールスで20万枚近く売り上げれば最上位に就くことがほぼ可能と判明した一方で、ストリーミングが強くなければ急落するという傾向がより高まっています。週間チャートにおける総合とストリーミング指標の上位20作品を比較すると、接触が如何に大事かがよく分かるでしょう。

 

最後に、トップアーティスト(Artist 100)の週間1~5位リストも掲載。このチャートはソングチャートとアルバムチャートとを合算したものです。

 

 

以上、簡潔ながら各種データについて紹介しました。これらデータが、ビルボードジャパン2025年度年間チャートを読み解くための参考資料となるならば幸いです。

今回の説明はあくまで各種データの概要を記したものであり、データを細かく見ればより多くの気付きを得ることができるでしょう。今回の資料、そしてビルボードジャパンのCHART insightサービスを活用することをお勧めします。

 

ビルボードジャパンは最新チャートまでの26週分をまとめた2025年度上半期各種チャートを6月4日金曜午前4時に発表します。このブログでは同日7時を目処に総括エントリーを公開、またポッドキャストBillboard Top Hits (#ポッドチャート)”も同日13時を目処にアップします。