イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【海外ビルボード】モーガン・ウォーレン『I'm The Problem』収録曲がトップ3独占、グローバルは「Ordinary」が首位キープ

(※追記(5月28日19時01分):Global 200における日本の楽曲動向を追記しています。)

 

 

 

現地時間の5月26日月曜が祝日のため翌27日に発表された、最新5月31日付米ビルボードソングチャート(集計期間:5月16~22日)では、モーガン・ウォーレン feat. テイト・マクレー「What I Want」が首位に初登場。モーガン・ウォーレンは37曲収録のニューアルバム『I'm The Problem』から、36曲を100位以内に送り込んでいます。

 

今回のソングチャートは、同日付で首位初登場を果たしたモーガン・ウォーレン『I'm The Problem』の影響が大きく反映されています。『I'm The Problem』は当週493,000ユニットを記録し、今年最高となる週間ユニット数を記録しています。

 

モーガン・ウォーレン feat. テイト・マクレー「What I Want」は米ビルボードソングチャート1,180曲目の首位獲得曲にして、初登場での首位到達は83曲目に。モーガンにとって4曲目の首位獲得となり、テイトにとっては初(テイトにおけるこれまでの最高位は「Greedy」が2024年1月に記録した3位)。なおテイトは『So Close To What』が3月にアルバムチャートを制しています。初登場での首位獲得曲は、下記記事にて一覧化されています。

モーガン・ウォーレンの首位獲得は昨年11月に首位初登場を果たした「Love Somebody」(1週首位)以来となり、同曲もニューアルバムに収録。ポスト・マローンに客演参加した「I Had Some Help」が昨年5月以降通算6週首位、そして2023年度の年間ソングチャートを制した「Last Night」は同年3月以降通算16週に渡り首位を獲得しています。

モーガン・ウォーレンは『I'm The Problem』から6曲が当週トップ10入り。そのうちテイト・マクレーを迎えた「What I Want」のほか、「I Got Better」が7位に初登場。また「Superman」は16→8位に上昇したことで、ニューアルバムからは9曲がトップ10入りしたことになります。これはテイラー・スウィフト『The Tortured Poets Department』(10曲)に次ぐ記録となり、ドレイク『Certified Lover Boy』(9曲)に並んでいます。

またモーガン・ウォーレンはトップ3を独占。「Just In Case」が11→2位、「I'm The Problem」が6→3位にランクインし、米ビルボードソングチャート66年の歴史において主にカントリージャンルで活動する歌手として初めて、トップ3を占拠しています。

 

首位を獲得したモーガン・ウォーレン feat. テイト・マクレー「What I Want」はストリーミング3120万(同指標首位)、ダウンロード2,000(同指標順位記事未記載)およびラジオ390万(同様)を記録。ストリーミングでの首位獲得はモーガン・ウォーレンにとって5曲目、テイトにとっては初となります。また同曲はポップおよびアダルトジャンルのラジオ局に向けてプロモートされており、アダルトポップエアプレイチャートでは32位、ポップエアプレイチャートでは38位、カントリーエアプレイチャートでは55位にそれぞれランクインしています。

 

総合ソングチャートと集計方法を同一とするホットカントリーソングチャートにおいて「What I Want」はモーガン・ウォーレンにとって11曲目の首位獲得作品にして、初登場での首位到達は8曲目となり最多記録を更新。またテイト・マクレーはこのジャンルのチャート初進出にして首位を獲得しています。総合ソングチャートおよびホットカントリーソングチャートの同時制覇については、別途記事が用意されています。

1958年に開始した総合ソングチャートおよびホットカントリーソングチャートの双方を制したのは「What I Want」が30曲目となり、2025年においては初。2023年および2024年は4曲ずつ記録しており(1年における最多を記録)、2020年代では今回が10曲目に。なお1984年から2019年までの間にはわずか2曲しか誕生していません。

なおモーガン・ウォーレンは、「What I Want」は総合ソングチャートとホットカントリーソングチャートの双方で首位を獲得した4曲目となり、自らの持つ最多記録を更新。グレン・キャンベルジョン・デンバードリー・パートンケニー・ロジャースおよびテイラー・スウィフトが2曲で続いています。

 

モーガン・ウォーレンはテネシー州スニードビルの出身、一方でテイト・マクレーはカナダのアルバータ出身。カナダ人歌手が米ビルボードソングチャートを制したのはテイトが29組目となり、女性ではセリーヌ・ディオン(4曲首位)、ネリー・ファータド(3曲)、カーリー・レイ・ジェプセンアヴリル・ラヴィーン、アラナ・マイルズおよびアン・マレー(いずれも1曲)に続く7組目となります。カナダ人歌手による米ソングチャート制覇リストはこちら。

 

先述したようにモーガン・ウォーレンは当週のソングチャートでトップ3を独占、「I Got Better」が7位に初登場、「Superman」が16→8位に上昇(および最高位更新)したのみならず「Love Somebody」が18→10位に上昇しており、トップ10のうち6曲を寡占。3曲が初めてトップ10入りしたことでモーガン・ウォーレンのトップ10ヒットは18曲となり、主にカントリージャンルで活動する歌手として最多記録を樹立しています。

またトップ10のうち6曲以上を占めた歌手としても、モーガン・ウォーレンはカントリージャンル主体の歌手として初の記録を達成。2010年代半ばにカントリーからポップに転向したテイラー・スウィフトは2022年および2024年にトップ10を独占し、ドレイク、ケンドリック・ラマーおよび21サヴェージがその記録に続いています。

またトップ3独占においても、モーガン・ウォーレンはカントリージャンル主体の歌手として初の記録を達成。このトップ3独占はザ・ビートルズ(1964 5週)、テイラー・スウィフト(2022-2024 3週)、ドレイク(2021-2023 3週)、ケンドリック・ラマー(2024-2025 2週)、アリアナ・グランデ(2019 1週)に続き6組目となります。

 

「What I Want」はモーガン・ウォーレンが初めて女性歌手と組んだ作品。男女のコラボレーションによる首位獲得は今年においてレディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」(5週)、ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」(13週)に続く3曲目となります。「Luther」から「What I Want」に首位が交代したことで米ソングチャートにおける男女コラボレーション曲の連続首位は14週となり、2016年に記録した25週以来の記録となります(ドレイク feat. ウィズキッド & カイラ「One Dance」(9週)、シーア feat. ショーン・ポール「Cheap Thrills」(4週)およびザ・チェインスモーカーズ feat. ホールジー「Closer」(12週))。

 

モーガン・ウォーレンは『I'm The Problem』から36曲が100位以内同時エントリーを達成(なおアルバムは37曲入りですが、昨年7月に最高7位を記録し今年1月にチャートから外れた「Lies Lies Lies」は含まれていません)。一方でポスト・マローンにフィーチャーされた「I Had Some Help」は19位にエントリーしており、同曲を含む37曲が当週100位以内に登場しています。これによりモーガン・ウォーレンは、自身が2023年3月18日付で記録した36曲を上回り、100位以内同時エントリー曲数における最高記録を更新。なお同時エントリー曲数記録、および最新ソングチャートにおけるモーガン・ウォーレンによるリリース曲の順位は下記にて記載されています。

モーガン・ウォーレンは当週29曲が100位以内初登場を果たし、100位以内ランクインは105曲に。100曲を上回ったのは21組目、主にカントリージャンルで活動する歌手としては初となります。ソングチャートにおいて100曲以上ランクインを果たした歌手の一覧は、下記にて記載されています。

 

最新のトップ10はこちら。

1位 (初登場) モーガン・ウォーレン feat. テイト・マクレー「What I Want」

2位 (前週11位) モーガン・ウォーレン「Just In Case」

3位 (6位) モーガン・ウォーレン「I'm The Problem」

4位 (2位) アレックス・ウォーレン「Ordinary」

5位 (1位) ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」

6位 (3位) レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」

7位 (初登場) モーガン・ウォーレン「I Got Better」

8位 (16位) モーガン・ウォーレン「Superman」

9位 (4位) シャブージー「A Bar Song (Tipsy)」

10位 (18位) モーガン・ウォーレン「Love Somebody

 

テディ・スウィムズ「Lose Control」は当週トップ10内から後退したものの11位に入り、ソングチャート100位以内エントリーが通算92週に。グラス・アニマルズ「Heat Waves」(2021-2022 91週)を上回り、米ソングチャートにおける単独での最長エントリー記録を達成しています。2023年8月26日付にて99位に初登場した「Lose Control」は昨年3月に1週首位を獲得し、2024年度の年間チャートを制しています。

また「Lose Control」はトップ10入りが通算63週となり、こちらでも最高記録を樹立。なお米ビルボードが1991年11月にルミネイトによるデータを採用して以降、ソングチャートにおける首位やトップ10内のエントリー週数は総じて長くなっています。このテディ・スウィムズ「Lose Control」の記録については、別途記事が用意されています。

 

 

続いてグローバルチャートを紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。5月31日付ではアレックス・ウォーレン「Ordinary」がGlobal 200で4連覇、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では2連覇を達成しています。

アレックス・ウォーレン「Ordinary」はGlobal 200においてストリーミングが前週比1%アップの6970万およびダウンロードが同5%ダウンの11,000、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比3%アップの5040万およびダウンロードが同5%ダウンの5,000を、それぞれ記録しています。

 

Global 200において、米ソングチャートを制したモーガン・ウォーレン feat. テイト・マクレー「What I Want」はストリーミング3930万およびダウンロード2,000を記録し5位に初登場。またモーガンによる「Just In Case」はストリーミングが前週比83%アップの3210万およびダウンロードが同53%アップの3,000を記録し、56→9位に上昇しています。モーガンによるGlobal 200でのトップ10ヒットは5曲、テイトにとっては「Greedy」が2023年11月から12月にかけて通算2週首位を獲得して以来、2曲目となります。

 

JIN「Don't Say You Love Me」がGlobal 200で7位、Global Excl. U.S.では5位に初登場。Global 200ではストリーミング4280万およびダウンロード32,000、Global Excl. U.S.ではストリーミング3890万およびダウンロード19,000を記録しています。BTSのメンバーにおけるトップ10入りはGlobal 200においてジョングクが5曲、JIMINおよびJINが3曲、Vが2曲およびSUGAが1曲。またGlobal Excl. U.S.においてはジョングクが7曲、JIMINが5曲、JINおよびVが4曲、J-HOPEおよびSUGAが1曲となり、BTSとしては双方のチャート共に11曲がトップ10入りを果たしています。

 

 

 

※追記(5月28日19時01分)

 

日本時間の5月28日夜、Global 200の全容が発表されました。日本の楽曲動向については、Xにて発信しています。