最新10月30日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、カラオケ指標においてふたつの急上昇曲を確認できます。それが西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」、そしてNEWS「チャンカパーナ」です。
(YouTubeに公式音源が未掲載のため、Spotifyのリンクを掲載しています。)
西田敏行さんの訃報に伴い、「もしもピアノが弾けたなら」が主にダウンロードとラジオで急伸し前週のチャートで総合100位手前まで迫ったことについては「もしもピアノが弾けたなら」のチャート動向からみえてくる、デジタルアーカイブ充実の必要性(10月28日付)で紹介しています。そして当週、この曲のカラオケ指標が18位に上昇しています。
CHART insightでは総合および構成指標が20位まで掲載されており、各指標は21~100位が不明ながら101~300位は掲載されます(有料会員は21~100位も確認可能)。西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」において、緑で表示されるラジオ指標が前週も表示されていることを踏まえれば、同曲は前週の100位未満から18位に急上昇したことが解ります。
また10月30日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、NEWS「チャンカパーナ」のカラオケ指標が20→10位に上昇。前週の総合トップ20返り咲きについてはNEWS「チャンカパーナ」トップ20復帰…手越祐也のテレビ出演以降もチャートが安定する可能性について(10月26日付)で紹介しましたが、元メンバーである手越祐也さんの『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)出演以降、勢いは続いているといえます。
尤も、手越祐也さんがダンスボーカルグループXYに新たに加入したこと、西田敏行さんがナレーションを務めた『人生の楽園』や再放送された『ドクターX 外科医・大門未知子』(共にテレビ朝日)が高視聴率をマークしたこと等、当週10月30日公開分の集計期間内におけるトピックが先述した曲の勢いにつながっているのかもしれません(視聴率についてはビデオリサーチ社の視聴率掲載ページ(→こちら)をご参照ください)。
注目は2曲共に、CHART insightにて紫で表示されるダウンロードが下がっているということ。「もしもピアノが弾けたなら」は12→44位、「チャンカパーナ」は52→81位と推移しています。ダウンロードはテレビでの話題性が反映されやすいものの効果は長くとも1週間と捉えていましたが、一方でカラオケが引き続き伸びているという状況から、この指標についてはより長いスパンで考える必要があるという結論に達しています。
カラオケ指標は過去曲が長く支持される一方で、新曲は上位進出やロングヒットが難しいという特徴があります。言い換えれば、過去曲がデジタルも充実すれば総合でも週間、また年間単位でランクインする可能性があると捉えています。
((追記あり) ビルボードジャパン年間チャート発表、2023年度のチャートトピック10項目を挙げる(2023年12月8日付)にて、宇多田ヒカル「First Love」やポルノグラフィティ「サウダージ」の年間チャートエントリーについて紹介しています。)
「チャンカパーナ」においては手越祐也さんのテレビ出演もありながら、NEWSがデジタルアーカイブを解禁、強化したことがフックアップの大きな要因であり、ストリーミングについては安定していることが見て取れます。現在カラオケヒットを輩出している歌手がデジタルを意識しアーカイブを充実すれば、日本の音楽チャートはより面白くなるのではないでしょうか。