イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) 前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年11月20日公開分)

(※追記(11月27日6時5分):アンジュルム「初恋、花冷え」におけるビルボードジャパン総合ソングチャートの当週順位を当初8位と記載していましたが、正しくは9位でした。つきましては訂正後の表に差し替えております。また同曲はサブスク未解禁につき、再生回数欄の表記を"(不明)"から"(未配信)"に訂正しています。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で夏以降再開しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

ビルボードジャパンは9月下旬、CHART insightが完全な形でリニューアルを果たしています。3月のリニューアル時には円グラフを累計ポイントの構成比(ソングチャートの構成指標にはないTop User Generated Songsチャートも含む)に切り替えるとしていましたが、実際は当週(最新週)における構成比が表示され続けていました。それが累計ポイントに切り替った形です。ゆえに、当週(最新週)の指標構成は見えにくくなっています。

 

 

<2024年11月20日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・超特急「AwA AwA

 11月13日公開分 1位→11月20日公開分 30位

・BE:FIRST「Sailing」

 11月13日公開分 4位→11月20日公開分 29位

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

超特急「AwA AwA」がフィジカルセールス初加算に伴い前週首位に到達したことについては(追記あり) ビルボードジャパンを制した超特急「AwA AwA」、指標動向からヒット継続の可能性を読む(11月14日付)で紹介。様々な施策の開催が影響しつつも『コアファンの熱量が功を奏した一方でライト層(歌手のファンというわけではないものの曲が気になる方)との乖離が生じている』と記しました。

ストリーミング指標はLINE MUSIC再生キャンペーンに伴い高位置をキープするも他のサブスクサービスとの乖離が目立ち、また前週は施策により伸びたダウンロード指標が当週300位未満となり加点されていないのも気になります(また動画再生指標も未加点の模様です)。超特急は引き続き「AwA AwA」にて、いずれコアファンに昇華するかもしれないライト層を獲得すべく動く必要があるというのが、厳しくも私見です。

 

BE:FIRST「Sailing」はデジタルオンリーの作品であり、現時点で公式動画は上記公式オーディオのみの状況ですが、動画再生指標は加点され続けている模様です。またストリーミングは、主要サブスクサービスにやや乖離はあるものの安定しています。この曲がロングヒットを目指すためには、たとえばタイアップ先の『ONE PIECE』とのコラボ動画をBE:FIRST側の公式YouTubeチャンネルにて公開することが有効と考えます。

 

 

さて当週のチャートでは、2週前に首位に到達したINI「WMDA (Where My Drums At)」が13→100位圏外と推移。早い段階で後退しています。

「WMDA (Where My Drums At)」については首位獲得時に紹介していますが(INI新曲がビルボードジャパンで首位獲得、一方で前作と大きく異なる点を注視する(11月7日付)参照)、フィジカルシングルにおける前作「LOUD」が総合ソングチャート登場2週目に首位を獲得し通算5週に渡ってランクインした一方、今作では通算3週のランクインにとどまり、前週100位以内に入っていた曲では最も高い位置から圏外に達しています。

INIは先輩のJO1同様に今年2枚のフィジカルシングルをリリースしており、初週売上はJO1が今年リリースしたシングルを上回る一方、総合100位以内ランクインはJO1「Love seeker」が通算12週、同じく「WHERE DO WE GO」が通算6週となっています。このことはともすれば、今週発表された『第75回NHK紅白歌合戦』でのアイドルやダンスボーカルグループにおける出場/不出場の差に表れているかもしれません。

このジャンルにおいては以前から出場している歌手よりフィジカルセールスが強くとも、紅白では以前出場した歌手が連続して出場する傾向も強いことが入れ替わりを難しくする一因と考えます(これにはNHKへの貢献度等も影響します)。ゆえに初登場を目指すには、何よりもロングヒット曲の輩出が前提に成るはずです。